中度難聴(感音性難聴)WebSite 【 静かの森 】

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3 感音性難聴の実際

いつもお気遣いありがとうございます。
感音性難聴の聞こえ方のあれこれを紹介していこうと思います。

本当だと音声ファイルを使って「ホラ、このとおり」とやりたいところなんですが、しかしこれを説明するのが、中々難しいのです。
何故なら、こちらにしてみると「普通の聞こえ」というのが判らないので、比較表現のしようがないというのが実感です。つまりこちらからすると、「普通だとどう聞こえるの?」といったところなのです。

そんなわけなので、これまで見聞して得た知識から、僕なりに推察した普通の聞こえ方を指標にして、説明をしたいと思います。 オージオグラムを思い出してもらうと判ると思うのですが、感音性難聴は一般的に高音域になるに従って聴力が落ちてきます。これはどういうことかと言いますと、言い替えるなら結果として低音域の方が良く聞こえてしまうということになります。(勿論、逆の場合もあります)

低音域というのは、低い声ではありません。具体的に述べるなら、すなわち「生活雑音」のようなものです。日常生活の中で、自分は静かなところにいると思っていても、実は絶えず何かの雑音がしています。機械が低く唸る音とか、何かの振動とか、風の音、木の葉のざわめき。。私達は普段それらの音を無意識に耳にしているのです。

一方、話し声というのは個人によって低音高音の差はありますが、およそ1KHz辺りの高音域が中心となっています。

通常であれば、雑音と同じくらいに高音も聞くことが出来るので、必要な音 、つまり「言葉」を聞き分けることが出来るのですが、私達にとっては高音域が雑音の中に埋もれてしまっているので、普段の会話が聞取り難いですし、ちょっとした雑音でも聞き分けるのが難しくなるのです。

低音域が聞き取り難い感音性難聴の聞こえ方をアニメーションにしてみました。本来なら雑音の中でも聞き取れる言葉が、雑音の中に埋もれてしまい判り難くなってしまいます。 このアニメーションは、オージオグラムを元にオレンジ色を低音域の雑音、ピンクを言葉(高音域)として作ってみた概念図です。普通の聞こえの場合は、雑音と言葉が同等くらいの高さなので言葉の区別がつきますが、感音性難聴の場合は言葉が雑音の中に埋もれてしまい、言葉の区別がつき難くなっているのか判るかと思います。

感音性難聴の場合は、更に「聞き分け」の能力に障害があります。
平仮名「き」の音の構成を図で示したものです。kという子音とiという母音が合わさって「き」という音になっています。
話す言葉というのも低音と高音で構成されていると言えます。母音(a,i,u,e,o)と子音(k,s,t,h等)です。言葉を形作る子音は高音域に属するので聞き取り難いために、例えば「き」という言葉が「*ぃ」(「*」は不明瞭な音)という「音」に聞こえたりします。
すなわち、視覚に置き換えて表現するなら、物の細かい部分(輪郭)が見え難いということに該当すると思います。この状態を表現すると、次のような図になるかと思われます。

ピントが合ったリンゴの絵が大きくなったり小さくなったりしています。小さくなっても、形は判ります。ピントがぼやけているリンゴの絵が大きくなったり小さくなったりしています。元々ピントがぼやけているので、大きくしても形が良く判りません。
普通の聞こえ方感音性難聴の聞こえ方
図の大小は聴力の程度を示しています。例え普通の聞こえ方と同じくらいの大きさにしても、輪郭がぼやけてしまって形が把握し難いのが判るかと思います。

感音性難聴は音そのものがこもって聞こえてしまうため(視覚に例えるならぼやけて見えているようなものなので)、単に拡大しただけでは「より何となくは判る」といった感じで、大きくしても判らない部分は判らないという傾向があるのです。

従って、感音性難聴の補聴は輪郭を際立たせて拡大する必要があります。

それから重要なこととして、感音性難聴は内耳から神経系の障害ということを再確認する必要があると思います。
すなわち、神経系に故障がある場合、私達はマシンではないので音の輪郭の把握の程度には個人差が出てきてしまいます。これは聴力検査などの数値で出てこない部分なので、この数値だからこのくらい、という単純な法則性を当て嵌められない難しさがあります。