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補聴器初めて物語 その壱

「補聴器つけるなら、耳穴式のオーダーメイド。耳にピッタリフィットしますので、音が耳穴から漏れてハウリングすることもありませんし、目立たなくて済みます。お勧めはこの補聴器。これはドイツ製で、米国のレーガン大統領も使ってるんですよ。この写真です。ほら、ね?うほほほほ。。」

1988年(昭和63年)春、これから大学の研究室で活動することだし、そしてその先社会に出ることだから、いつまでも耳が悪いままなのも具合が悪かろう、、という親の勧めもあって、僕は下宿先の近くにあったチッポケなプレハブ造りの補聴器屋へ赴いたのでした。

そこは白衣を着た一人のおっさんがいるだけのおよそ8〜12畳くらいの広さの店で、何とも心もとない感じがしたものでした。但し、中はスッキリとして清潔な感じでした。

オーダーメイドの耳穴式補聴器は1つが18万円。両方つけるとなると、18×2でしめて36万円(当時は消費税なし)。これが補聴器として安いのか高いのか、補聴器なんぞとおよそ縁がない生活をしていた僕には見当も付きませんでした。
ただ、「36万円」という額は高いなぁとは思いました。その値段に見合うものなのかどうか、「お試し期間」が欲しいものだと思ったんですが、オーダーメイドですし、当時は「お試し」なんぞは夢のまた夢的な話でした。。

「ドイツ製」「レーガン大統領」を連呼する補聴器屋オヤジが胡散臭いとは思いましたが、僕としてはどうせ使うんだったら良い物にしておいた方が良いと考えたので、「耳にピッタリフィット」の耳穴式のオーダーメイド補聴器を注文することにしたのでした!

そうこうしてる内に、数週間後、補聴器が出来た旨の連絡が入り、僕はモノを受け取りに行きました。

店頭で試しに付けてみると、何だか周りの空気がワサワサした感じでした。「どうですか?音が大き過ぎて頭が痛いとかありますか?」補聴器屋オヤジの声が、何だか録音テープみたいに聞こえました。
何しろ初めてなもんで、どういうものなのかさっぱり判らない。特に何ということもないので、そのまま受け取って、僕は帰路に付いたのでした。

しかし、帰る途中ちょっぴり嬉しかったです。
これまでの多少不自由な生活から開放されることになるということで、そう思うと何だかワクワクしました。何と言っても、これをつけることで何でも聞こえてしまうわけで、そうなると壁の向こうどころか100キロくらい先のヒソヒソ話まで聞こえてしまい、ウッカリしてると世界を征服してしまうかもしれないワケです。

その昔「600万ドルの男」というアメリカのSFテレビドラマがあったけど、僕は「世間の相場+36万円」の男なのだなぁムフフ、、と見当違いの希望を胸に抱いて明るい気持ちで帰宅したのでした。

ところが。。