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3 補聴器に対する誤解2


補聴器をつけても、直ぐに楽に聞き取れるようにはならない
(補聴器をつける時期が遅いと、とても苦労する)

今まで補聴器をつけてなかった難聴者が、何らかの都合によって、そんではそろそろ補聴器をつけてみようかと志したとしましょう。
しかし、つけてみても意外に思ったように聞き取れないと思います。

ボクは補聴器をつけて10年以上経っても中々補聴器に慣れることができませんでした。フィッティング(補聴器の聞こえの調整)が悪いのでは、と言われそうですが、そうではなくてフィッティングをすればするほど、言い換えるなら健聴者に近付けば近付くほど新たな苦悩が始まるのです。

補聴器をつけてまず最初に気が付くのは、意味不明の「さーー」という雑音がかなり大きく入ってくることです。時には「ザーー」という音の場合もあります。デジタル補聴器ではかなり抑えられていますが、それでも気になります。イヤだなコレ、と思いますが、いわゆる生活雑音というもので、避けては通れない音です。

これは健聴者なら生まれ付き慣れ親しんでいる音であり、脳が当たり前のものとして覚えてしまっているので誰も気にする人がいないのですが、私たち難聴者は生まれて初めて聞く音なので、最初の頃は慣れずにとても疲れます。

音は反射します。ホールではなく普通の部屋でも、鈍いですが声は反響しています。これも健聴者は当たり前のものとして聞いていて、気にはならないようなのですが、自分は普通の部屋での残響音もうるさく感じました。気を使っていただいてるのに恐縮なのですが、声が大きいために部屋に反響して却って聞き取り難い場合もあります。

上手くイメージが沸かない人のために例えてみるなら、各家の匂いがあります。他の家に行くとその家独特の匂いがあることに気が付きます。それはあなたがその家の匂いに慣れていないせいで、逆にあなたの家にも独特の匂いがあるハズなのですが、あなた自身はもう慣れてしまっているので、自分の家に対しては全然匂いを感じません。しかし他人が入るとある種の匂いを感じます。

私たち難聴者は、補聴器をつけることで健聴者世界という新しい家に足を踏み入れることになると思ってください(完璧ではありませんが)。そこには健聴者の皆さんにとっては当たり前で意識すらしませんが、私たちにとっては初めて聞く音でビックリすることが沢山あります。そしてそれらが神経を疲弊させます。

難聴者としても、言葉が聞き取れることばかり考えてしまって、生活雑音が聞えることまでは、(元々「生活雑音」なんてなものは知らないので)最初は頭が回らないハズで、実際に補聴器を使ってみてビックリすると思います。

生活雑音も反響音も、皆その内慣れるといいますが、自分の場合は中々慣れることが出来ず、補聴器をつけるのに息を詰めて覚悟してからつける時もありました。

補聴器をつけないのが一番良いのですが、そうなると会話になりませんから、つけないワケにもいきません。

どうせ補聴器をつけるなら、出来るだけ早い方が良いと思います。
後々本人がとても苦労することになるかと思いますので。