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2 補聴器に対する誤解

「耳目あたわず」なんと言われるように、目と耳は感覚器として同列に扱われることから、「メガネも補聴器も、まぁ似たようなもの」と思われがちですが、実はそうでもありません。


補聴器をつけても、全て聞き取れるわけではない
補聴器をつけても、普通の聞こえにはならない
補聴器は、「より聞き取りやすくなる」もの

健聴者にとっても難聴者にとっても補聴器に関する誤解のトップはこれなんじゃないかと思います。特に健聴者の方々にとっては理解できない部分が多いことかと思います。

「補聴器初めて物語」に記載してありますが、ボクも補聴器をつける前は補聴器をつけたら普通の人並みか、それ以上に聞こえるものだと勘違いしていました。

健聴者から見ると、丁度目の悪い人がメガネをかけるとチャンと見えるように、難聴者も補聴器をつければ(ましてや補聴器はメガネとは違ってマシンですし)普通と同じように聞こえるハズに決まってると思っているのではないでしょうか。

しかし結論から言いますと、補聴器をつけたからといって必ずしも全て聞き取れるようになるわけではないのです。メーカーの宣伝はあくまでも「宣伝」です。必ずしも良く聞き取れるというわけではありません、なんて絶対に言えません。
より聞き取りやすくなる、といったところでしょうか。 例えば何もつけていないと30%くらいしか聞き取れないものが、補聴器をつけることによって80〜90%くらいまで聞き取りが向上するということです。 しかし、中には100%聞き取れるようになる人もいれば、逆につけても雑音が酷くなるばかりでサッパリ効果がないという人もいます。何故でしょうか?

感音性難聴は言ってみれば神経性の難聴です。例えば内耳にしても一つの単純な器官ではなく、たくさんの神経細胞から構成されており、どの部分がどのくらい壊れているのかは人それぞれで、どの周波数がどういう具合に聞こえが悪いかは千差万別です。難聴者が100万人いたら、100万通りの聞こえの悪さがあります。 デジタル補聴器は、周波数毎に微調整が出来るというのが売りですが、あくまでも音を加工するだけのことで、神経の故障まで面倒を見てくれるワケではありませんし、そんなこと出来るハズがありません。

つまり、補聴器の機能は、聴力測定結果を元にとある周波数を増幅したり、または会話に不要な周波数を聞こえないように押さえたりする、すなわち音の大小を細かく調節するだけのことであって、それとは別に内耳に届いた言葉が最終的に神経の中をどのような形になって伝わって脳に届くのか、神経の中身までは保証していません。言葉を識別するための、最後の詰めのサポートは何もないのです。最後の詰めの前に、出来るだけ聞き取りやすいような音に加工するのが補聴器なのです。 仮にこの条件をクリアしたとしても、私たちは万全の構えでもって静寂の中で暮らしているワケではありません。環境要因の作用を受けます。

聴覚器官以外の、聞こえが悪くなる主な要因を挙げてみます。
@ 精神的、または肉体的な疲れ
A 普通の会話における声のトーンの変化
B 周りがざわめいている
C 机の引出しを閉める等の衝撃音がある
D 聞き取りにくい声の質

これらの要因が色々組み合わさって、健聴の方には理解し難い状況が生み出されます。

この内、とりわけやっかいなのがAで、話手の声のトーンが聞き取りの苦手な周波数や音質にはまってしまうと、言葉の中身を聞き取るのが出来なくなります。すなわち、同じ人が同じ単語を話しても、聞き取れる時と聞き取れない時があるということです。
この逆のパターンもあって、Dの聞き取りにくい人の声がある一定の条件にあてはまると、案外スラスラと聞き取れたりします。

そんなワケで、本題からズレますが、これだけはご理解ください。

私たちは一生懸命聞き取ろうとしてます。
決してその気がないワケではありません。