中度難聴(感音性難聴)WebSite 【 静かの森 】

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1 補聴器の種類

一口に補聴器といっても色々なタイプがあります。パソコンの世界が日進月歩の勢いで進んでいるように、補聴器の世界も刻々と発展を続けています。

そしてその多様性から、「これなら絶対間違い無し」といういわゆる「定番」タイプもなくなってきたのではないでしょうか。
各人が自分の聞こえの状態を把握して、そして、そのニーズに合わせて、自分で考えて選ぶ時代になってきたと言えるでしょう。

形状による分類

(1)箱型
小型携帯ラジオのような機体で音を収集し、そこからコードを引いてイヤホンで聞くもので、比較的古いタイプのものです。数ある補聴器の内、最も安価です。デメリットとして、主として胸ポケットに機体を入れて使うことになりますが、布の擦れるガサガサという音が入ったり機体近くの予期しない音が入ったりする、耳から離れたところで音を拾うので聞こえが自然ではない、目立つ、イヤホンコードの引っ掛かりに注意しなければならないこと、持ち運びに不便(気の持ちようですが)であること等が挙げられます。しかし、例えばテレビの音を聞くというように、聞き取りたい対象が近くにあってハッキリ一つに特定している場合などは効果的でしょう。

(2)耳掛け式
メガネと併用されることもありますが、いずれにしても耳に掛けて使用することから、こう呼ばれています。おそらく皆さんもたまに街中で見掛けることがあるんではないかと思います。機体が耳の後ろにくることになり、箱型補聴器に比べ非常にコンパクトです。また、耳穴式のものに比べ容量が大きいことから、多くの機能や搭載されたり出力が大きいことが特色です。聴力が70dB以上の中度〜重度の難聴者向けです。音の取り入れ口が耳の上の方にあるので、自然な音を聞くという概念からは若干外れるというデメリットがあります。電話の際にも受話器を通常より少し上にずらして使うことになります。
昔は補聴器の存在が疎ましく思われていたことから隠さなければならないものだったので、耳の後ろであっても目立つことから色は肌色がポピュラーでした。しかし、目が悪いなら眼鏡をつけるのが当たり前のように、補聴器も前向き志向になり、耳が悪いなら補聴器をつけるのが当たり前になりました。最近では様々な色や、更にシースルーのものがあります。自分のは残念ながら、そういったものが出る直前に買ってしまったので、昔ながらの肌色です(非常に残念!シースルーのものが欲しかったのに!!)。補聴器も体の一部ですし、お洒落に楽しくきめたいものです。ラインストーンでワンポイントの飾付けをするのも良いでしょう。補聴器を目立たせることによって、自然に難聴がアピールできて理解が得やすくなる利点もあります。

(3)耳穴式
耳の穴にすっぽり収まるタイプです。半分ほど機体が外に露出しているもの、完全に耳穴に隠れるものと2種類のものがあります。後者をカナル式、カナルタイプと呼びます。一旦耳介で集めた音を拾うので、補聴器の中ではもっとも自然な聞こえであると言えます。見た目が目立たないという利点もありますが、うっかりするとつけたまま顔を洗って壊してしまうデメリットがあります。

音の加工方式による分類

(1)アナログ式
一般的な方式で、ボリュームを上げればそのまま全ての音が大きくなり、下げれば全ての音が小さくなります。ラジオやカセットテープのボリュームと同じと考えてもらえばOKです。この場合、全ての音を一律的に拾うので、静かな場所で一対一で話す場合は良いのですが、表に出たり普通に騒がしい場所では余計な音まで大きく聞こえ、困ることがあります。例えばオフィスやレストランで普通に録音したものを再生して、音量を上げ下げすれば判って頂けると思います。音の加工をしないので、安価です。

(2)プログラマブル式
「プログラム出来る」という意味のタイプで、アナログ式なのですが、特定の音域をある程度セーブしたり強調したりして、聞き易く加工出来ます。専用の機械で操作することになります。以前はこのタイプがデジタルと称されたようですが根本はあくまでもアナログです。本格的なデジタル補聴器の台頭により今ではまず見掛けませんが、骨伝導式補聴器のように、ほとぼりが冷めた頃を見計らって「最新方式で安価に新発売」されるかもしれません。

(3)デジタル式
高価ですが、技術開発により日々進歩しています。現在主流となっています。
パソコンや専用マシンに接続して、周波数毎に調節することが可能で、とても木目細かい設定が出来ます。連続して鳴る周波数を雑音として認識し、会話の妨げにならないようその周波数の音量を押さえます。また必要以上に大きな音を押さえたり、自動的に音量の調節をしてくれます。比較的無理なく会話を聞き取ることを重点的に考えて作られているといっても過言ではないでしょう。

しかし個人の聴力によっては、アナログ式補聴器でも十分事足りる場合もあるようです。アナログ式の補聴器で事足りる場合はデジタル補聴器の必要性はないと言えるでしょう。購入する前に、実際に試聴し比べて確認する必要があります。試聴を拒む補聴器店は避けた方が無難でしょう。

機能的な分類

(1)指向性
中度難聴者の実感として、一番悩ましいのは会話が聞き取れないことです。世の人は車の音が聞こえなければ危なかろうとか言いますが、中度難聴者はそういう音は、健聴者と比較すれば若干小さいにしろ聞こえています。他のコーナーでも述べましたが、例えばドアをバターン!と閉める音が聞こえなくて悩んでいるという人はまずいないと断言できます。やはりコミュニケーションの要である「言葉」の聞き取りが重要になってくると言えると思います。
そんなニーズに答えて、開発されたのが「指向性」という機能です。会話の聞き取りに特化した機能で、顔が向いている方向の一定エリアの音域を強調し、残りを押さえます。デメリットとして、当然ながら会議など周りで話す会話は聞き取り難くなります。(話す人に顔を向ければある程度解決されますが)また、かなり重度の難聴者の場合、後ろから来る車等の音に気が付かない危険性も考えられます。

(2)非指向性
一般的なタイプで、音の方向に分け隔てなく等しく音を拾います。デメリットとして、会話をしている時に必要のない周囲の雑音に悩まされがちになります。


上記の分類に基づいて、例えば「ボクの補聴器は、デジタル式の耳掛けタイプで、指向性のものです」なんてな言い方をします。