煩悩番長 - For Season.
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ゲーム名For Season.〜めぐりゆく季節の中で〜--------
対応OSWindows95 / 98
メーカー戯画

家庭教師になって女の子の学力を上げつつ仲良くなることを目指す育成SLGゲーム。用意されている5人の女の子の中から最初に3人だけ選択するのですが、複数人数の同時攻略は不可。他に、主人公の(義理の)妹とのエンディングもあり。「タイトルはFour Season.なんじゃあないの?」とか思ったりするかもしれませんが、舞台は7月から翌年1月までなのでそうではありません。それよりも個人的には、タイトルの最後にピリオドが付いているのは何故なのかが気になってしようがないっす。

1週間のうち、月曜日から土曜日までが自動的に育成が進んでいく部分で、日曜日に街中をうろついてイベントを探したり(午前、午後の2回のみ)、育成のための準備を整えることとなります。もっとも、イベントは前述の自動部分でも起こることが多いのですが。このイベント部分でのコマンド選択によって、好感度(というのが内部データとしてあるらしい)が上下して、攻略できるかどうかに関わってきます。



このゲームの特徴は育成のシステムです。通常の育成ゲームの場合は「××をさせる」というような指示をして、その行動の成否でもってパラメータが上下するというのが多いと思います。このゲームにも、「数学」「国語」「英語」の3教科の選択という要素はあるのですが、その選択も含めて「アイテムを与えて勉強の環境を整える」というのがプレイヤーが行う行動になるのです。

最初に、分かる人にはこの一言で分かるので書いておきますが、ディアブロのアイテム管理と同じシステムです。

画面には3人の女の子の部屋が表示されます。そこには勉強机と壁があり、その2つはマス目によって区切られています。ここに参考書などのアイテムを配置していくのですが、アイテムはそれぞれ大きさが決まっています。例えば、配置するためには2*3のマス目が必要になるものという感じです。勉強机と壁には限度がありますから、置けるアイテムの数にも限度があるというワケです。あるアイテムを置きたいのに空いているスペースが無いので諦めるとか、今置いてあるアイテムを取り去ってそこに置くとかいうような試行錯誤が必要になり、これが非常に楽しいのです。逆に言えば、面倒って思う人はこのゲームは遊べないってことですな。

また、このシステムが更に楽しくなっているシステムに、「MBRポイント」があります。これは、部屋に勉強関係以外(学力の向上には全く関係しない)のアイテムを置くことにより、そのアイテムが持っている「MBRポイント」を得られるというものです。勉強に関係しないアイテムはゲームが進むにつれて自動的に増えていくのですが、勉強に関係するアイテムはこの「MBRポイント」と引き換えて入手しなければなりません。重要なアイテムを入手するためにはより多くの「MBRポイント」が必要になりますが、そのためには勉強以外のアイテムを多く配置しなければならない…またこの勉強以外のアイテムってのがデカイし…そうすると、勉強関係のアイテムを置く場所が圧迫されるし…でも、勉強関係のアイテムを手に入れるために「MBRポイント」が必要だし……ってな具合ですね。

こういう3すくみの状態ってのは、ゲームを面白くしますね。うまく機能していると思います。



育成のシステムにおいてのもう1つの特徴が、「フキダシ」で表現された学習模様です。勉強をすることによって学力の数値が直接上がるのではないのです。

勉強中、英文や数式などが書かれたフキダシが、各キャラクターの頭から空中に飛び出していきます。ある程度出ると、このフキダシは消えるのですが、このフキダシが出る時と、それぞれがくっついてより大きなフキダシになる時に学力が上がるというシステムになっているのです。このフキダシの数やフキダシの大きさによって、キャラクターの学力の度合がビジュアル的に把握できます。

このフキダシをより多く、大きく出させて、より早く画面から消す(次のフキダシを出させるため)というように、いろいろなアイテムを与える順番等を考えていかなければなりません。ここら辺が、「××の数値を上げるため…」といったデジタルな雰囲気があった育成ゲームと異なるところです。後半、各キャラクターの学力が上がって、スゴイ勢いで大型のフキダシが大量に現れ、次々と合体して消えていく様は、「ポポポポポン!」という小気味いい効果音もあって非常に爽快感があります。ここまで気持ちのいい育成ゲームというのも珍しいですね。



これまで説明してきた育成部分だけに限らず、画面内に動きが溢れていて気持ちがいいです。画面横や下からシュッと出てくるウインドウ、多彩な消え方が用意されているメニュー、拡大縮小するオブジェクトなど、様々な動きがストレス無い素早さで動いてくれます。効果音もその気持ちよさを引き立てていますね。

システム面はとてもセンス良く作られていると思います。

そうそう、休日に街を出歩いてイベントを探すのですが、このゲームではドコでイベントが発生するかが分かるようになっています(行き先にカーソルを合わせると、チカチカと点滅する信号が出る)。これがあるおかげで、面倒な(不毛な)攻略はしないで済んでいるのも嬉しいところです。



数少ない不満点としては、起動時に出るメニューでいちいち「ゲームの起動」を選択してボタンを押すという2ステップを踏む必要があるということ。これはゲームがインストールされていれば、「ゲームの起動」をデフォルト選択にしていれば良かったんじゃないかと思います。それだけで1ステップ減るワケですから。

もう1つはセーブがしにくいということ。本来、「休みの日の最初と最後」の2回セーブが出来るところが、イベントの関係により「休みの日の最初」でセーブできないことが頻繁にあり、プレイしにくくなっています。

もう1つ、これは他のゲームでもよくありますが、「選択した行動を主人公が取らない」ということ。例えば、"A"と"B"の言葉を選択する時に、"A"を選択したのにその後の展開は「冗談だよ」とか言って違うニュアンスになるというものです。これ、大嫌いなんですよね。ある意味、サギ(笑) そういう選択が少し見受けられたため、気分を害しました。



ストーリーとキャラクターに関しては、あまり強い印象はありません。ありがちというか、平凡というか。パッとしないなぁと。絵は悪くないんですけれどね。でも、女の子が脱いでいく過程のCGが、全く同じポーズってのは気に入りませんね(このゲームに限ることではないのですが)。とても不自然ですから。ちなみにH度は低めです。

そんなワケで、比較的簡単に楽しめる、爽快な育成ゲームとして高く評価しています。Hを求める人にはあわないでしょうが、そうでなければ損はしないのでは。
 
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