教育基本法改正問題について教育基本法改正の論拠
今回の教育基本法改正の「論拠」は次の三点に集約される。 しかし、1については、文科相は今国会での答弁で「日本政府の発意によりまして、帝国議会の審議を経て制定されたもの」であり「押しつけであったから日本にあわないものができたかといえば、必ずしもそうではない」「そういった経緯の中でみずから制定したものという理解」に立つと答弁している。(日本人が戦後、戦前の教育の反省の上に立って、教育の目的を、人格の完成や平和的な国家及び社会の形成者として主体的に行動する国民の育成としたことは、決して「押しつけ」ではなかった。) こうして、結局、政府がとりうる教育基本法改正の公式見解は、3の「時代対応論」のみ、ということになった。 これは、結局1及び2の見解に立つものと思われるが、それが実際の改正案文にどのように反映しているかというと、それは、現行「教育基本法」の第2条「教育の方針」(「教育の目的」を達成するための国及び地方公共団体の義務」を規定した条項)を廃して、「教育の目標」を新設し、20項目に及ぶ「国民が備えるべき資質」を列挙している点に表れている。 つまり、来るべき新しい時代(?)に対応するためには、昔の日本の美徳(?)を取り戻す必要があり、そのためには今後国民が身につけるべき資質(20項目を超える)を政府が明示しその定着を図っていく必要がある。そのための最も効果的な方法は、それを「教育基本法」に規定することであり、そうした資質を身につけることを国民に義務として課すことである、というものである。 |