広田が昭和12年11月2日に駐日独大使ディルクセンに示した平和交渉の根本原則(第一次和平案)
一、内蒙古には外蒙古と同じ国際的地位を持つ自治政府を樹立する。
二、北支には満州国境より天津・北平にわたる非武装地帯(不駐兵区域)を設定し、中国警察隊がその治安維特に当る。直ちに和平が成立する時に北支の全行政権は南京の手に存するが、この場合日本としては行政長官として親目的人物を希望する。もし直ちに和平が成立しない場合は新しい行政機関を設ける必要かおる。この新機関は平和が結ばれた後にもその機能を継続する(ただし今日までのところ日本側には華北新政権を設立する意向はない)。
三、上海の非武装地帯を拡大し、国際警察隊を設けてこれを管理する(ただし今は提議してしていない。)
四、中国の排日政策を廃止する(去年張群と川越大使との交渉の際に示した態度で処理する。
五、共産主義に対し協同して戦う。ただし中ソ不可侵条約と抵触しない。
六、日貨に対する海関税を改善し低減する。
七、中国政府は外国人の中国における権利を尊重せねばならない。 |