元菅内閣主要閣僚の執拗な「仲間のかばい合い」から見えること

2014年9月13日 (土)

 元菅内閣の主要閣僚は、今後も「菅元首相が東電の全面撤退を阻止して日本を救った」と主張するつもりのようですね。

このことは9/11のプライムニュースにおける福山元官房副長官の話しぶりでわかりましたが、その中で、司会者がなぜ清水社長の電話で撤退と聞いたとき、もしそれが全面撤退なら大変なことになるのはわかりきったことだから、「撤退は全面撤退かどうかなぜ聞かなかったか」と質問していました。

それに対して福山氏は明快に答えませんでしたが、実際は、それを再確認するために菅元首相に話す前に枝野氏が吉田所長に電話して全面撤退ではないことを確認しています。

この番組ではそこまでの追求をしませんでしたが、おそらく、菅元首相に全面撤退と伝えた海江田、枝野氏ら主要閣僚らの責任が大きいとしたのでしょうが、いかにも中途半端な印象を受けました。もっとも海江田氏は逃げ腰のようですし、枝野氏の場合は少なくとも現場が撤退しないことを知っていました。

いずれにしてもこの「東電が全面撤退しようとしたか、しなかったか」の議論は誠につまらないはなしで、要するに、それほどの危機的状況だったのですから、官邸だけでなく東電も含めて今後どう事故対応に当たるべきかを冷静に議論すべきだったのです。

この段階では、まだ水素爆発は起こっていませんが、状況に応じて、事故対応に当たる以外の職員の退避を考えることは当たり前ですし、何人残すか、それ以外の人をどこに退避させるかを議論するのも当然です。そもそも残った人間がいつまでもがんばれるわけではないし、交代要員も必要でしょうから。

つまり、こんな危機的状況の中で他の人の責任を追及しても仕方がないのです。責任追及は事故が収束して後にやればいいことで、それより全員一致して事故対応に当たることが求められていたのです。

ベントを誰が止めたかと言う議論についても同じです。菅元首相が事故発生後、「イラ菅」ぶりを全面展開して関係者をどやし続けていなければ、武黒氏の「官邸がぐちゃぐちゃ言ってんだよ、四の五のいわんでベントを止めろ」などと言った発言も生まれなかったでしょう。

こんなつまらない話を、長くやればやるほど民主党にとっては損だと思うのですが、元菅内閣の主要閣僚はがんばりますね。おかげで、この東電撤退問題の解決はまだまだ長引きそうです。しかし朝日新聞も「撤退報道」を誤報と認め謝罪したし、朝日新聞以上に過ちを認めない政治家たちということで、彼らは歴史的教訓を残すことになるでしょう。

こうした元菅内閣の閣僚達の態度を見ていると、日本人の悪しき「仲間のかばい合い」が偽証を生む状況を彷彿とさせますね。これを戦前昭和の軍人達の「仲間のかばい合い」と比較してみると、なぜ、日本はあんな意味不明な戦争を止められなかったか、その真の事情がわかるような気がします。