東電はほんとに福島第一原発から全面撤退しようとしたのか2

2011年9月12日 (月)

健介さんへ

 東電本部に設置した統合対策本部の件ですが、本来なら、首相は原子力安全委員会に任せて、専門家チームを作るべきだったと、元安全委員会委員長代理の住田氏は言っていました。http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid977.html

住田 原子力安全委員会ですけどね、安全委員会っていうのはね、これは確かに総理に任命された最高機関ですけどね、たった5人の委員がいるだけで、ま、議員職が何人かおりましたけど、今、でも100人ぐらいですね。それからエネ庁(エネルギー庁)の横に、保安院ですね、これはもう、100人いないはずです。それは要するにテーブルの上にあるものを見てるだけでありましてね、そういって計算をして何かやるという実行部隊っていうのはね、これだけの問題に対して見通しを与えるとなったら、数百人の人間がもう働かなきゃいけないですね」

山本浩之
「そうすると今回、この保安院と、それから、ま、当然、もちろん会見なり表に出てきてますけど、それ以外はどうなってるんですか」

住田健二
「いや、たとえば国で言いますとね、我々JAEA(ジャイア)という言葉で呼んでますけど、原子力研究開発機構とかね、たくさんあるんですよ。原子力研究開発機構っていうのは2000人近い大きな組織体ですね。それからエネ庁の下にある外郭団体みたいなものをね、数百人のとこがいくつかあるわけですね。で、それぞれ原子力の専門家がいて、今言ったようなことがやれる所なんですけど、それちょっとあんまり動いてるような様子がないんですね」

山本浩之
「どうして動いてないんですか」

住田健二
「知りませんね。知らんて言い方は…」

山本浩之
「動いてないのか動けてないのか、どちらでしょう」

住田健二
「命令が出なきゃ動けないでしょうね、それだけの大きな組織体は」

山本浩之
「命令がないと動けないってことは、命令がないということですか」

住田健二
「そういうことですね」

(中略)

青山繁晴
「すみません、一言だけ付け加えればね、先生は、やり方あるよってことをおっしゃってると思うんです。で、今回だったらね、たとえば内閣総理大臣の菅直人が、責任は全部俺が持つから、とりまとめ、原子力委員会の近藤委員長、あなたやって下さいと、それも責任は全部取るから、そのかわり全権限をあなたに与えるからというね、そういう非常のことをやらなきゃいけないんですよ。辻元さんはボランティア担当とかそんなことやってる暇があったら、原子力委員会の近藤委員長、これ総理呼んだんですよ。呼んだんですが、激しく叱責しただけなんですよ、何やってんだ!と言ってるだけで。そうじゃなくて、そんなのあとから叱ればいいんで、そうじゃなくて、あなたに全権限を与えるから、責任は私が取ります、それすぐやって下さい。近藤委員長は僕は受ける用意があると思います」

山本浩之
「ちょっと時間押してますけども、青山さん、それ以外に問題点を…」

住田健二
「すみません、ちょっと一言だけ言わせて下さい。今の場合はね、その責任は近藤先生でなくてね、原子力安全委員会の方にあるんですよ。それをやらなきゃいけない責任は。近藤先生は確かにね、言われて叱られてもね、反論されたと思いますけどね、近藤先生が責任を取れることじゃなくて、もし責任取るとすれば、こっちの私のいた所(原子力安全委員会)ですね」

山本浩之
「ここに関わってらっしゃる方々、大勢、ま、専門家いらっしゃって、その誰に責任があるかという話ではなくて、その人たち全員の力を結集して、どうこの事故から私たちのこの危険を防ぐかということですよね」

青山繁晴
「でも、そこは確かに先生おっしゃったとおり、原子力安全委員長の方が適任かもしれないですね。でも、とにかく指名する事が大事ですから」

住田健二
「総理がね、安全委員長を呼んで叱るんじゃなくてね、総理がね、あなた、私があとの始末は全部やるからというね」

青山繁晴
「そのとおりです」

山本浩之
「それが今回機能してないということは…」

住田健二
「思うとおりやりなさいということ。で、東海村の事故の時にはね、その役割は、そのやった人が、科学技術庁の当時の局長クラスの人がね、すでにそのレベルでもう判断をしてね、とにかくやりなさい、やってくれと、あとは何とかするからってことを言ってね、だから私が行った時にはもう全部準備ができてたわけですね」

 要するに、菅首相自ら東電に乗り込んでいって統合対策本部を作り、素人の政治家を集めて事故処理を指揮するというのが間違っていたのではないでしょうか。

 そうしたのは、東電が全面撤退するといったからだと、先日枝野氏も言いましたが、これは、そうした泥縄の組織を作ったことへの言い訳なのかもしれませんね。

 それにしても、東電はなぜ政府がこれほどはっきりと全面撤退と言っているのに、反論しないのでしょうか。今政府と喧嘩するのは”得策でない”と思っているのでしょうか。

 また、マスコミがこのことについての事実関係をほとんど追求しようとしないのはなぜなのでしょうか。不思議です。