大前研一氏「福島第一原子力発電所炉心溶融事故」についての卓見(2)

2011年4月12日 (火)

前回に引き続き、大前研一氏の前回以降の関連動画を紹介します。

放射能に汚染された水の海洋投棄に最も強く反対してきたのは日本だということ(アメリカの原子力空母寄航やロシアの原子力潜水艦解体に関連して)。なのに、日本がいとも簡単に(周辺国への連絡もせずに)放射能汚染水を世界共有のものである「海」に放出したことで、日本に対する世界の見方が「同情と哀れみから怒りと侮蔑に変わった」と言っています。

 韓国の大統領が、この件に関して、野党から”無能だ”(抗議も出来ないという意味?)と批判されたことに対して、”無能なのは日本だ”といったとか・・・。

(4月10日)汚染水1万390トンを海に放出 周辺諸国の反発(大前研一ライブ) http://www.youtube.com/user/BBT757program#p/a/u/0/9MfteXqFHzM

日本政府の避難命令の出し方の誤り、農産物の出荷停止命令の出し方の誤り、放射能測定方法におけるIAEAと日本の違い、”原子炉そのものは破損していない”という枝野官房長官の誤り(当初はうまくやっていたが・・・)、計画停電の誤り、などの指摘は的確だと思いました。

また、計画停電ではなくて、電力使用のピークを抑えるという発想に切り替えるべきという氏の主張に関連して、水力における揚水発電の利用、電力の残りが5%になったらテレビや携帯で節電警報を出すシステムの導入、夏の甲子園野球放送取りやめ、などの提言もおもしろいと思いました。

さらに、東西グリッド(60→50サイクル変換施設)の容量の拡大、現在休止中の柏崎刈羽原子力発電所の夏限定再開、(将来の電力需要をまかなう方法としては)HDVC(高圧直流送電)を活用すること(サハリンからの送電も可能)などの指摘も重要です

なお大前氏は、石原都政について”12年間もやっていて何もしていない”と批判しています。氏はかって東京都知事選に出馬して石原氏(青島幸夫氏の間違いでした4/12 19:00)に負けたことがありますから、その思いもあるのだろうと思いますが、石原氏と違った氏独自のグローバル発想はアトラクティブだと思いました。

(4月3日)福島原発、政府、東電の対応と東北再生のシナリオ(大前研一ライブ) http://www.youtube.com/user/BBT757program#p/a/u/1/0Igl8bSdBKs

ところで、大前氏は福島第一原子力発電所の事故は、政府(原子力安全・保安院)はレベル5だというがレベル6ではないかと言っていました。ところが、本日(4/12)政府はレベル5から二階級特進ならぬレベル7だと発表しました。これでチェルノブイリ事故と並んだわけですが、”一体どうなっているの?”と訝らざるを得ません。一体何が起こっているのでしょうか。