11.海洋産業

 海洋開発に関連して、次のような産業が産まれ又は活性化されることが期待されます。
(a)漁業・養殖業:単に漁獲するだけの漁業から、計画的に魚介類を育成し、漁獲する漁業になります。養殖も海洋牧場に発展します。特に、東北沿岸部を豊かな漁場になるように整備します。また、海面及び海中に設置したセンサネットワークで魚群を探知します。魚群の動きを予測し、その情報を海洋開発センター(仮名)に配信します。
(b)海産物加工業:漁業・養殖業、また、飲食業と提携して6次産業化を進めることにより、経営が合理化され、競争力が強化されます。日本のおいしい魚介類を海外に宣伝することにより、販路を拡大します。
(c)調査・分析:生態系及び資源調査のため、深海調査船・探査ロボットの開発が進みます。深く、長く潜れる構造やセンサ技術が重視されます。また、水中カメラ、水中センサ、採取ツール、分析ツール(顕微鏡、化学・分子分析、遺伝子分析等)の発展が期待されます。大量の3次元画像データについては、コンピュータを利用した処理技術が発展するでしょう。また、地震・気象予知ネットワークも発展するでしょう。
(d)鉱工業・エネルギー資源:海中での掘削・資源の採取のため技術革新が期待されます。また、資源を利用した工業の発展が期待されます。鉱床に多く含まれるマンガンを利用した工業、海水に多量に含まれるマグネシウムを利用した工業が注目されます。コバルト、ニッケル、チタン、レアメタル、金、銀の採取も期待されることから、各種工業は活気づくでしょう。
(e)医療・製薬業:深海の生物を研究することにより、未知の細胞・有機組織を発見でき、新たな薬品・サプリメントなどが開発される可能性があります。また、生物の諸機能をヒントに、生命や医療に関する新たな情報が得られる可能性もあります。
(f)農業:海上に浮かぶ人工島での農園は、世界食糧危機に対する予防対策になります。海上での農業には挑戦・解決すべき課題が多々あるでしょうが、これを乗り越えて成功することが期待されます。農耕法には人手をかけない大規模経営が求められるでしょう。
(g)電力・通信等:探索・調査のための基地局に、通信・電力を供給する必要があります。また、国の電力不足を補うことが期待されます。沿岸や海上の浮島に風力発電や太陽光発電を設置し、直流送電します。波力発電や海洋温度差発電も考えられます。通信は海中無線が困難なので光ファイバを敷設することになりそうです。海洋中に立体的にセンサを配置したセンサネットワークから情報を基地局に集めるようになるでしょう。なお、海上では無線が有効と思われます。海中では超音波(ソナー)を使った通信も期待されます。
(h)観光業:ダイビングスポット、海洋牧場、探査基地を含む観光コースや、海洋動物のアトラクションなどを盛り込みます。綺麗な海・景色にすることが肝要です。
 このように海洋開発を通して広い分野で産業が活性化します。そして、産業の活性化により雇用が生まれます。
 産業活性化が第9の宝、雇用の創出が第10の宝です。

トップページ