5.海底資源をめぐる競争

 国連海洋法条約では、各国の海岸線(基線)から200海里を排他的経済水域(図8参照*32)とし*31、さらに、自国の陸地から延長して大陸棚が200海里を超えて広がっていると証明できる場合には、その範囲に最大350海里まで資源の開発権を認めています*33
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 北極海では、氷の面積が減少し、資源開発と通航が容易になりました。北極海の海底には、天然ガス、石油、金属等豊富な天然資源が眠っているといわれ、ロシアが2007年に北極点下、海底約4,000mに国旗を立てました。これに対し、アメリカ、カナダ、デンマーク、ノルウェーの沿岸国が地質調査をする等、対抗しています*33
 アジアでは中国が海底資源探査に積極的です。東シナ海は豊かな漁場であると共に海底資源も豊富です。中国は日中中間線付近で1999年に平湖ガス田を開発し、現在、春暁、天外天等6ヵ所のガス田が開発されています。春暁、断橋は埋蔵地域が日本側海域に掛かっているため、問題になっています*34
 南シナ海では南沙諸島に中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの周辺6カ国が領有権を主張しています*35。中国は2011年には、国際海底機構から西南インド洋海嶺に位置する海底資源探査の認可を受ける*36等積極的に動いています。

   
国土面積約38万km2
領海(含:内水)約43万km2
接続水域約32万km2
領海(含:内水)+接続水域約74万km2
排他的経済水域約405万km2
領海(含:内水)+排他的経済水域約447万km2
図8「日本の領海等概念図」
出典:海上保安庁海洋情報部ウェブページより*32

 また、海外の海底資源開発ベンチャー企業も、パプアニューギニアや太平洋諸国の海底熱水鉱床の探査を行い、商業開発を目指しているとのことです*23
 公海では、開発を希望する国が、国連の機関、国際海底機構(ISBA)に申請して認めてもらえば採掘できるのです*26。中国は2011年探査船「蛟龍号」の開発を発表し、7,000mの潜水を目指しています。そして、これにより世界の海の99.8%を探査可能といっています*37。日本も、公海の調査に力を入れてほしいと思います。

 参考資料
*31 「排他的経済水域」、「フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)日本語版」ウェブページ、[2011年11月6日(日)02:06更新]、
URL:http://ja.wikipedia.org/
*32 「日本の領海等概念図」、海上保安庁海洋情報部ウェブページ、[2011年11月13日検索]、
URL:http://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/ryokai_setsuzoku.html
*33 「もう少し知りたい北極争奪」、朝日新聞グローブ(GLOBE)ウェブページ、「北極に関するデータ集01」、[2011年11月11日更新]、
URL:http://globe.asahi.com/feature/081006/data/arctic01.html
*34 「東シナ海ガス田問題」、「フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)日本語版」ウェブページ、[2011年10月30日(日)02:47更新]、
URL:http://ja.wikipedia.org/
*35 「南シナ海」、「フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)日本語版」ウェブページ、[2011年11月7日(月)00:59更新]、
URL:http://ja.wikipedia.org/
*36 田北真樹子、「中国、インド洋で資源探査へ 国連機関許可、印は懸念」、産経新聞、YAHOO!JAPANニュースウェブページ、2011年8月2日(火)7:55配信[8月2日(火)10:22更新]、[2011年8月9日検索]、
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110802-00000099-san-int
*37 如月隼人編集、「中国の深海探査艇、3人乗せ水深5000メートル潜行に成功」、サーチナ、excite.ニュースウェブページ、[2011年7月21日11:10配信 (写真:サーチナ&CNSPHOTOより)]、[2011年11月5日検索]、
URL:http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20110721/Searchina_20110721025.html
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0721&f=national_0721_068.shtml
ポータルサイト「サーチナ」URL:http://searchina.ne.jp/

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