First part     Sight      Food & Smile      Invitation      Decision
Waiting      Reason      Pieces      start
Interval     Monologe 桑原仁王切原
Second part     It's still early? 1      He'll obstruct it 1
    
 あの日「待ってるから」とブン太に抱きしめられた時、私はそっと背に腕を回した。
 じんわりと広がった温もり。
 あったかい。
 手を繋いでいた時にも、『あたためられている』って感じがしたけれど。
 身体を抱きしめられるのは、もっとあたためられているような気がする。

 溶かされそうなほど。
 解かされそうなほど。

 ブン太は、熱い。

 私はきっとブン太を好きになっている。
 なのに何故、「好き」の一言を言ってあげられないんだろう。
 何が足りないんだろう。


 私に足りないものは、何…?





  Pieces





 下校の途中、手を繋いでいつもは静かにしているブン太が、何の前触れもなく口を開いた。


「今日、隣のクラスの奴に告白されたんだって?」


 私が視線を向けると、ブン太の顔は前を向いたままだった。
 声や表情からして、どこか怒っている、と言うより拗ねているような感じがする。

 それはいいんだけど…何で知ってんの?
 誰にも言ってないのに。


「うん。そうだけど?」
「…何て…答えた…?」
「別に。「付き合ってる人がいるからごめんなさい」って」
「それで、相手は何て言った?」
「「知ってる」って。「それでも言いたかったんだ」って」


 隣のクラスだし名前くらいは知ってる人だったけど、相手はずっと私の事を見ていたと言う。
 これも特に誰にも言っていないが、最近になって、そんな風に告白してくる男子が増えた。
 何でわざわざ、私が誰かと付き合い出してから告白してくるんだろう。

 だから今日私は、少し残酷だったかもしれないが、相手に訊いてみた。
 「ずっと好きだったのなら、どうして今になって言うの?」と。
 もっと早く言っていれば、何も変わらなかったかもしれないけれど、何か変わっていたかもしれないのに。
 別にそうだったらいいとは思わないけど、それまでの気持ちがもったいないな、と思う。

 やはり相手は少し悲しげな苦笑を浮かべて、
「丸井と付き合い始めてから、前より綺麗になった。
 丸井がそうさせてるんだと思ったら、ずっと気持ちが強くなって…今言わなきゃいけないと思った」
 と言った。
「言うのがもう少し早ければ、とは何度も思って後悔したよ」
 とも。

 そんな相手に私は自然と、「…ありがとう」と言っていた。
 どうして「ありがとう」なんて言葉が出てきたんだろう。
 告白されて「ごめんなさい」は言った事があるけれど、「ありがとう」なんて言った事はなかったのに。
 …私がたった今、人を好きになるそういう気持ちを、理解しようと努めているからだろうか。
 すらっと、何の迷いもなく素直に、感謝を伝えられたんだ。


「…揺れた?」
「は?」


 ブン太が相変わらず前を向いたままで訊いてきた。
 意味がよく解からなくて瞬間的に問い返すと、今度は罰が悪そうな顔をして俯き、口をきゅっと引き締める。
 もごもごと口の中で何事か呟いているようだが、私にはそれがガムを噛んでる音にしか聴こえない。
 なるべく怒っている風に聴こえないように「何?」ともう一度訊く。


「…だからさぁ…ソイツのこと「いいな」とか思った?」
「恋愛対象になりそうかって言いたいの?」
「ぅん、まぁ…そういうこと」
「…他の人考える余裕なんかないよ」


 ぽつりと呟いた私の言葉にブン太は「えっ?」と、驚きと期待の入り混じった声を出して、やっと私の方を向いた。
 私もブン太と目を合わせる。


「不安なの?」
「えっ?」
「私が離れていかないかって、不安なの?」
「んー…うん、ちょっとだけな。不安だ」


 ブン太が意外と素直に答えたので、少しだけ罪悪感が芽生えた。
 ブン太が不安に思うのはきっと、私がいつまで経ってもハッキリしないからなんだろうな。
 私はその不安を書き消してやりたいと思ったのか、無意識に繋いだブン太の手を強く握った。
 ブン太は一瞬驚いたように私の顔を見ながらポカンと口を半開きにしたが、すぐに口を引き締め、前を向いた。


「…不安に思わなくていいよ」
「…不安じゃない」
「私はブン太を好きになるまで、他の誰も好きにならないの…きっと」


 一つの作業を終えなければ次の作業に移れない。
 それ以外の術を知らない。
 私は自分で思うよりも、ずっと不器用だ。
 こんな私が本気になったら、どうなるんだろう。
 未知の感情は、自分をどう変えてしまう?

 ブン太を見ると、前を向いたまま少し赤くなっていた。
 でも何を意固地になっているのか、「不安じゃない」と呪文のように繰り返している。
 手のひらは最初に繋いだ時よりも、固く握られていた。

 そんなブン太に、私は何故か救われたような気がした。




















 いつの間にか季節も変わり始めてきて、やがて三月を迎えた。
 三年生達が卒業し、少しだけ広くなった校舎。
 購買や学食の買い物で図々しい三年生に間に割り込まれる事もなくなった二年生の中には、既に世代交替したんだと言わんばかりに校内を闊歩し始めている者などもいる。
 私はと言えば、特に親しい先輩もいなかったので感傷に浸る事もなく、あと数日の授業を消化すればまた新しい一年が始まるんだなぁくらいにしか思わなかった。
 二年から三年に上がる時はクラスも変わらないし、来年度から受験生だけど、立海はエスカレーターだから私はそのまま高等部に上がるつもりだし。

 毎年何も変わらない。
 ただ今年から、隣にブン太がいるようになっただけだ。

 その存在がどんなに私を変えているかなんて、私は何も気づいてはいなかったけれど。





 部活のない放課後、私はあまり人気のない図書室に来ていた。
 借りていた本を返しに、そして新たに別の本を借りる為にだ。
 ブン太は本だらけの場所に行く気にはならないようで(頭が痛くなるそうだ)、教室で寝て待っている。
 掃除も終わりほとんどの生徒が下校している中、教室で一人ぽつんと佇む様子は想像すると淋しげで。何故だか早く戻ってあげた方がいいだろうかという思いが頭をもたげた。
 数十分ほど続けていた本の物色をやめ、近くにある手頃な本を数冊抜き取ると、カウンターまで持っていき貸出カードに記入する。
 見慣れた当直の図書委員から本を受け取り、小脇に抱えて図書室を出た。

 余所の教室の前を通り過ぎると、やはり中には誰もいなかったり、たまに生徒が数人残って雑談に興じているくらいだった。
 待たせ過ぎたかな、と思いながら階段を降り、自分の教室へ向かう。

 一つ二つ同学年の教室を過ぎていくと、静かだった廊下に女子の声が長く小さく響いた。
 よく聴き取れなかったけれど、最初の「どうして!?」という言葉だけは拾えた。
 声は切羽詰まっているような感じで、いかにも修羅場真っ最中、みたいな。
 私はそれに特に興味もないので、ただ真っ直ぐ自分の教室へと向かった。
 するとどうだ、女子の声が近づいただけでなく、次に聴き慣れた男子の声(というか音みたいな感じだったけれど)が聴こえたのだ。

 ああ…ブン太か。
 という事は今告白されてる真っ最中か。

 終わるまで別の場所で待っていようかと思ったが時既に遅く、私は教室のドアに手をかけていて脳が開けろと命令した後だった。
 ガラッというドアのスライドする音と、声の主が「好きなの!」とブン太に抱きついたのは同時だった。
 私が次に目にしたのは見知らぬ女子の背中と、ブン太の驚く顔と宙に浮いた手。
 女の子は突然の乱入者に振り返り、私の顔を見るなりキッと睨んだ。
 ブン太の方は私が嫌なタイミングで戻ってきたと思っているのか、目を見張ったまま瞬きもせず固まっている。


「…邪魔してごめんなさい」


 私はワンテンポ後に抑揚なくそう言い、開けたのと同じスピードでドアを閉めた。
 また図書室にでも行ってしばらく時間を潰そうと踵を返す。


 それにしても、ブン太は今でもモテてるんだなあ。
 周りの女子は、誰かと付き合っていようがいまいが関係ないと思ってるのかな。私に告白してきた男子みたいに。
 『好き』って、そういうものなんだろうか。
 …あの女の子、あんなにハッキリと迷いなく相手に「好き」って言えて、すごいな。羨ましい。
 迷ってばかりの自分が、どこかおかしいんじゃないかとすら思えた。
 「好きなの」と言ってブン太にドーンとぶつかっていった彼女を思い出す。

 …………

 …うん?
 何だろ、モヤモヤする。
 すごい嫌な気持ちっていうのは解かるんだけど…こういうの、何て言ったっけ…?


 突き当たりの階段前で壁に向かって立ち止まっていると、背後から誰かがバタバタと駆けてくる音が聴こえた。
 足音は私のいる場所へ向かっていて、私は振り返らなくてもそれが誰なのか解かった。
 やがて背後で足音が止まり、無言で私の腕を取って振り向かせた。

 ブン太は必死に追いかけてきた、という顔をしていたが、それは一瞬にして驚愕の色に染まった。
 何に驚いてるの?
 私が首を傾げると、ブン太は斜め向きの私の身体を真っ直ぐ自分に向け、絞り出すように口を開いた。


「…泣いてん、の…?」
「は?」
「いや…だって…」


 ブン太は恐る恐る私の頬に触れ、その手のひらを私に見せる。
 覗き込むと、確かに濡れていた。
 私は頬に残る謎の涙を無造作に拭う。


「何でだろう」


 だって、泣くような事ないし。
 私がそう言うと、ブン太は何故か悲痛な顔をし、私の肩を掴んだ。


「なあ…なあ、俺もう…自惚れても、いい…?」
「何が?」
「…お前は、俺が好きなんだよ。だからさっきの場面見て嫉妬して泣いたんだろ?」


 嫉妬? 嫉妬って泣くもの?

 …違うとも言えないのか。
 さっきのモヤモヤは、嫉妬でもあるんだ。


「……うん、そうだね」


 まるで他人事みたいに答えたけれど、心の中はひどく動揺していた。

 『好きだから』嫉妬した?
 私が、ブン太を、好きだから…
 付き合う前にもそんな事を言われたけど、あの時とは違う。
 私が先に行動を起こしたんだ。私は自分で泣いた。

 どうしよう、顔、上げられない。
 やましい事なんて何もないのに、重大な秘密を一人で握っているみたいに後ろめたい。


――」


 バサバサッ…

 ブン太が突然抱きしめてきたので、私の抱えていた本が全て床に落ちてしまった。
 本が傷んでしまうと思ったが、すぐに思考は別の事に切り替わった。
 私は身をよじってブン太の身体を押し返す。
 身体を離したブン太は、少し傷ついたような顔をした。


「…ついさっき他の人が触れたブン太に触れたくない」


 何言ってるんだろう。まるで子供のワガママだ。
 でも、だって。
 さっきの女の子がつけていたんだろうか、ブン太から知らないコロンの匂いが微かに香った。
 それに気がついたら、あのまま抱きしめられてなんかいられなかった。


「俺も…他の感触が残ったままを抱きしめんのは嫌だな」


 ブン太は私の言葉の意味するものが解かったのか、そうでないのかは解からないけど、いそいそとブレザーとベストを脱ぎ出した。
 そしてそれを脇に投げ捨てて、「これでいいか?」と笑う。

 春とはいえまだ少し肌寒い廊下で上着も着ないブン太を、私は不思議と愛しく感じた。
 そこまでやってくれるんだ、と思いつつも、「馬鹿だね」と苦笑する。


にあっためてもらうから」


 ニカッと笑ったブン太は、また私を抱きしめた。
 今度は知らない匂いはしなかった。


 ブン太の熱に包まれて、私はやっと気づいた。

 私に足りなかったもの、それは『熱』だ。
 ブン太が私に向ける熱と、私がブン太に向けていた熱の温度差は、あまりにも開いていた。

 でも今は。
 どうしてだろう、私も熱い。
 内側から、熱い。


「…ブン太…好き」
「!!」
「やっと解かった。『好き』って、こういう感じなんだ」


 パズルの最後のピースがぴたりと綺麗に嵌ったようだった。

 顔も身体も全てが熱い。ブン太の背に回した手の指先が震える。
 ああ、誰かを好きになるとこんなにも怖くなるものなんだ。


…」
「私は、ブン太が好き」
「俺…俺も、好きだよ…」
「うん…好き…」


 確認するように何度もそう言っているうちに、想いが溢れて止まらなくなりそうになる。
 なんて厄介な感情だろう。この感情には、どんな抗いもきっと無駄なんだ。

 自分が自分じゃなくなってゆく。
 それが不愉快ではないんだけれど、どこかむず痒い。


 ブン太は私の身体を引き離すと、そっとキスをしてきた。

 三度目のキスはとても淡い感触。
 けれどこのたった数秒のキスは、今までのどのキスよりもひどく鮮明だった。


「…よかった」


 顔を離してから、ブン太がホッとしたような笑顔を見せる。
 「何が?」と訊くと、ブン太は少し考えてから、「いろいろ」と答えた。


のこと好きになって。好きになってもらうまで待って。こうして、好きになってもらえて。よかったなって。
 あ、モチロンキスもよかったぜ!」
「……」
「…顔赤いぞ?」


 からかうように顔を覗き込むブン太をひと睨みすると、ブン太は「う」と怯んで半歩下がった。
 私はしゃがんで自分の横に落ちた本を拾い、ついてしまった折り目を伸ばしては膝の上に重ね、また脇に抱えて立ち上がる。
 ブン太も投げ捨てた上着を拾って、ベストだけ着ていた。ブレザーはまだ着る気にならないらしい。


「帰るか」
「うん」


 鞄を取りに教室へ戻る。先程の女の子は、さすがにもういなかった。
 それまで私達は何も言葉を交わさなかった。いつもはそれが普通だったけれど、何だか息苦しい。
 気まずいのとは違う。ただ多分、意識してるのは私だけなんだろう。
 動悸が激しい。

 学校を出て、春めいてきた通学路を歩く。
 桜は小さな蕾をつけていて、来月の初めには例年通り満開になりそうだ。

 いつもと違うのは、繋がっていない、手。

 私から何気なく繋いでいたのに、今は、どうしてそんな事が出来たんだろうと思った。
 今さらだけど、これが『恥ずかしい』とか『照れくさい』ってやつなんだろうか。
 自分の変わりように寒くなって身震いした。

 無意識に早足になり、隣のブン太を追い抜かしてしまう。


「っおい!」


 腕を掴まれて振り返ると、お互い立ち止まって顔を見合わせた。
 ブン太は口を開けて何か言いかけたがそれを飲み込み、別の事を言った。


「あの、蒸し返して悪いんだけど、さ」
「うん?」
「教室で…何て言うか、俺と、さっきの子を、見た時…」
「うん」
「何で、「邪魔してごめん」とか言ったの?」
「ああ、何だその事」


 小さく息を吐いて、大した事じゃないという風に私が言うと、ブン太はちょっとムッとした。


「ブン太に言ったんじゃないよ。あの子に言ったの。
 告白してるところなんて、普通誰にも邪魔されたくないでしょ」
「彼女なら邪魔してもいいと思う」
「私は思わない。だから席を外したの」
「俺なら邪魔する」


 私は口の中でぽそっと聴こえないように「…子供」と呟く。
 それに気づいたのかどうかは知らないけれど、ブン太は私の両手を取ると、真正面から見つめてきた。


「俺は邪魔するぞ。を誰にも盗られたくないからな」
「…好きにすればいいじゃない」


 こういう価値観の違いをどうこうしようとは思わない。
 盗られる、なんてどうして思うんだろう。ブン太の方から離れていくならまだしも、私から離れていく事はないのに。
 私が、はぁっ、と話を打ち切るように短い溜め息を吐くと、ブン太は先程の張り詰めた表情はどこへやら、気の抜けた情けないような呆れたような顔をした。


「なあ〜、何でお前そんなに冷めてんの? 俺のこと本当に好き?」
「冷めてないし、好きだよ」


 キッパリ言い切ると、ブン太は少々頬を赤らめて言葉に詰まった。
 その間にびゅう、と一陣の春風が吹き抜け、私達の髪や服、全てのものを撫ぜていく。
 風の強い季節だから普段から髪をまとめていた方がいいだろうかと思いながら、乱れた髪を軽く手櫛で直した。


「…不安に思わなくていいよ」
「…不安じゃない」


 数日前にもこんなやり取りしたっけ。
 私もブン太も成長がないらしい。
 おかしくて、クスッと笑いが洩れた。
 ブン太はますます赤くなった。


「…私はブン太から離れないから。絶対に」
「っぁ…」


 私の告白にブン太は何か言おうとしたが、開いた口からは高い音が洩れただけで、それは声にはならなかった。
 次に何か言われる前に、私は「安心した?」と言ってブン太の手を引き、下校を再開し始める。
 ここに突っ立ってても通行の邪魔になるだけだし、今はもう顔を突き合わせてまで話す事はないと思ったからだ。
 言いたい事は言った。ブン太だって文句はないだろう。

 少し歩いてから、繋がってるブン太の手がもぞもぞと動いた。
 何事かと思って手を緩めると、ブン太の指が私の指に絡まってきた。俗に言う『ラブラブ繋ぎ』か。
 いいんだけど、これは、しかし…


「…気持ち悪い」
「えっ!? 嫌!?」
「嫌じゃないけど、指の組み方が普段と逆で気持ち悪い」
「俺はいつも左の親指が上だぞ?」
「私は逆なの」


 組み方を変えるのが嫌ならこの繋ぎ方をやめてほしいとすら思った。
 どんな繋ぎ方だろうが、手が繋がってるならいいじゃない。
 最後の一言にそんな意味合いを乗せ、微かに眉間に皺を寄せてブン太を見た。
 ブン太は渋々指を一段ずらして握ると、「気持ち悪っ!」と小さく叫んだ。


「でしょ? これでいいの?」
「んー…まあこんなモンは慣れだし、俺はこのままでいい」
「そう」


 目を合わせ、ふっ、と微笑む。
 ブン太はまた微かに赤くなって、照れくさそうに笑った。ブン太の意地が不思議と嬉しかった。


「俺…安心したっ!」
「うん?」
「…離さねーから。俺も」


 「安心した」とは、先程の事を言ってるんだろう。
 照れ隠しなのか、ブン太は空いてる方の手を自分の髪にくしゃっと差し込み、顔は前を向いたまま横目で私を見ていた。
 それにつられるように、私の顔にも熱が上がってきたような気がした。
 どちらからともなく、握った手に力を込める。


 繋がり絡まり合う手のひらと指が熱かった。
 私が熱いのか、ブン太が熱いのか。あるいはどちらも熱いのか。
 答えは特に要らないけれど。

 生まれて初めての『恋心』というやつに翻弄される。
 心臓が煩い。


 付き合う前までは絶対恋愛対象にはならないだろうと思っていたブン太。
 それがこうして彼氏として隣にいる。
 私はと言えば、ブン太の一言一言に、恋する乙女さながらの反応をし始めている。

 まいった。本当にまいった。
 こんなに好きになるなんて。



 でもこれでやっとハッキリ言える。


 私の初恋は、好きな人は、丸井ブン太です。





to be continued…





**********************

中書き
 やっとここまで書けました! 長かった…!(視点を分けてたから余計に)
 話の中ではまだ春になったばっかなんですね〜…
 とりあえず、これで一区切りつきました。
 あ、でもこの話のブンちゃんサイドも書きたいかも…


 2004年7月20日


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