平成18年度予算に対する賛成討論
    2006(H18).3.30
三宅 英子
        

むさしのリニューアルを代表して、平成18年度の予算に対して、一般会計、4特別会計及び1企業会計に賛成の立場から討論させていただきます。

まず冒頭に27日の予算特別委員会の最終日の反対討論に対して若干意見を述べたいと思います。予算に反対も賛成も各議員が自由に行うことができるのは当然です。但し、議員として公的な場所で発言する以上その発言には一定の責任を持ち、議員としての品位を保持することは大切だと考えます。

例えば、27日の反対討論の中である議員は「邑上市長は嘘を繰り返していたことになるのではないか。」「虚偽的答弁」などと発言されました。前市長の時代に予算に反対する議員の討論でこのように、市長の名誉を傷つけるような内容を聞いたことはありません。批判は自由ですが、市民によって選ばれた市長職に対して一定の敬意は保つべきではないでしょうか。

それでは賛成討論に入ります。

第1番目に、今回邑上市長がH18年度の予算を前年度比マイナス3.1%、17億円を減少させ、スリム化した点を評価します。武蔵野市では少子高齢化が進み、税収面では特に個人市民税の徴収が今後厳しい環境にあることに加え、団塊世代の退職など高齢化がますます進行します。定率減税の廃止などを考慮しても市の財政は今後厳しい状況にあると考えます。国保事業会計・老人保健会計・介護保険会計の3会計へはH18年度で約30億円の繰出金が計上され、今後これら会計の抜本的建て直しは極めて困難で、市の財政負担はさらに増加することが予測されます。これまでの財政運営を客観的に見ると、単年度会計の中で近視眼的に新規事業などに経費を投入してきた傾向は否めないと思います。市独自にバランスシート・連結決算などに取り組んだことは評価できるものの、予算特別委員会の中ではバランスシートのデータを活用した今後の財政運営に対する分析や説明がほとんどありません。つまり、折角の長いレンジでの財政分析が結果として具体的な財政運営に生かされていなかったのではないかと考えます。今後の自治体の財政の方向性を考えると、単年度会計の欠陥を克服するために具体的な方向性やプランを考えることこそ大切なテーマです。着手した事業の効果を測定し、事業の見直しを行うことはもちろん、例えば公共施設の建設についてもバランスシート上の減価償却累計額と関連性づけるなど大局的な視点が必要です。そうすれば建築のイニシャルコストだけでなく、維持費や改修費用を含めどのようにすれば公共施設をトータルにローコストで運営できるかの視点が加わってくるはずです。

第2番目には、このような視点で、「武蔵野プレイス」を考えると、隔地駐車場については今後時間を掛けた調査や検討が必要だとしても、トータルなまちづくりやスリムな施設づくりなどの観点から邑上市長の縮減案の方向性については評価できます。建設費・維持管理費などの数値的な面はもちろん大切ですが、建物のボリュームをただ大きくすれば良いというような感情的な議論だけで終始するのではなく、今後のまち全体がどうすればもっとセンスのある雰囲気になるのか、どうすれば多くの人たちが来たいまちになるのかという視点こそが大切です。みどりやスペースが多く、ゆったりと散歩できるまちである田園調布・自由が丘・代官山・表参道・青山などに全国から多くの人々が集う理由をもっと真剣に考えるべきではないでしょうか。これらのケースは、建築家が最初から建設計画に関わったことで有名なまちであり、現在でも多くの人たちに愛されていることは言うまでもありません。

第3番目に、お役所の前例主義をなくすことは今後の市政運営の中で重要です。前市長の時代から引き続き現在でも、補助金や市長交際費に代表される交際費・食糧費など、支出する客観的な基準が曖昧なものや、事後のチェック体制が甘い費目が多くあります。この観点から、市長・市役所交際費の支出基準を明確にし、市長の交際のあり方に一定の姿勢を出したこと、今回の補助金の見直しに着手する点、事業が適切であったかどうかを事後評価するシステム作り、などは適切な取り組みとして大きく評価できます。また、個人的には、セレモニーに顔を出すだけが市長の役割ではないと考えます。大切なのは、例えば「タウンミーティング」のように幅広い市民の声を聞く場所に出掛けて、現在の問題点がどこにあるか、市民のニーズ・要望に耳を傾けることだと思います。東京都のように市役所の他の部署の交際費などにも共通の基準を定め、市長交際費とのバランスを考えてスリム化することや、交際費・食糧費のHPでの公表を実施して欲しいと考えます。

第4番目に、これまで要望してきたわかりやすい財務諸表や資料についても、今後検討していく旨の前向きな発言がありました。行政の説明責任の一環として、是非、職員の皆さんの力で財務諸表の見直し、わかりやすいデータ集などを実現させて頂きたいと要望します。

第5番目には、11人いた専門委員を縮減させたことは評価できます。前市長が市長になってから長年の間退職後の幹部職員や教育長などを専門委員とし、その役割も市議会では公表されず、公会計専門委員以外はほとんど結果報告も必要とされないままに専門委員の制度は維持され続けてきました。公的な仕事を任せるならば、その役割や委任する期間を明確にすること、結果報告を義務づけるなど適切な対応が必要だと考えます。

第6番目には、昨年9月の豪雨被害の後、すぐに対策を立てたことは評価できます。北町地区の水害対策、北町こどもクラブの移転などに着手したことは市民の安全の点からも正しい決断だと考えます。もし本予算の一般会計が否決されると、こういった具体的な対策に今後遅れが出るのではないかと少し気がかりです。

以上のような観点から、今回の邑上市長のH18年度予算は、これまでの財政や市政運営の問題点に対して効率性・公平性・客観的な基準などで見直す姿勢が見られ、評価できると考えます。

以上をもって、武蔵野市のH18年度の一般会計予算、4特別会計及び1企業会計に賛成の討論とさせていただきます。