平成16年度予算に対する反対討論

                                                                                               2004(H16).3.26

 
 平成16年度の予算に対して、一般会計には反対、4特別会計及び水道事業には賛成の立場から討論させていただきます。年間600億円という予算を市としてどのように構築するのか、予算特別委員会の5日間の会期中、客観的な立場でほとんどすべて傍聴しました。

   反対理由の第1点目は、建設関係の予算の決め方について疑問があると考えるからです。防災センターの建設工事には1億3千万円、FFビルの耐震改修・外装リニューアル事業には補助金として3億円が計上されています。現在、防災センターは3月末に委員会の報告書を提出する段階ですが、本庁舎を設計した会社に助言を受けているということがわかりました。今の段階で、以前設計した会社が関わっていることが、委員会の質問によってやっと出されたというプロセス自体、透明性を欠くと考えます。また、FFビルの改装計画については、3年間で27億円の工費を予定しているとのことですが、この予算枠がどこが主体となってどのように決定したのか?市はどのように関わったのか?さらに建設業者決定のプロセスはどのようになっているのかが不透明です。防災センター建築のプラン策定の際には、本庁舎を耐震壁で改築する案は庁舎が狭くなると却下されましたが、商業用途のFFビルの場合には問題なくその案が採用されるのでしょうか?売り場面積は狭くならないのでしょうか?疑問が残ります。また、吉祥寺シアターの管理運営計画策定が民間会社に委託されています。工事監理もこの会社に委託しているようですが、委託先の決定は選考基準を決め、プロセスも透明化するべきです。

   第2点目は、第1点として述べたように建設事業などの場合は予算の大枠がざっくりと決定されている印象があるのに、例えば、公立保育園改革は、独立採算的な視点で経費削減が進んでいます。市役所の各部署を事業制にして収支を出している訳ではないのに、なぜ保育園事業だけが独立採算的に評価されなければならないのでしょうか?バランスを欠いた進め方だと思います。これが2点目の反対理由です。

   第3点目は、ソフト面とハード面のサービスのバランスの問題です。例えば高齢者や障害者へのサポートについて言えば、3月の厚生委員会で障害者の方から陳情が出されました。その方の要望は、市に国や都の情報を速やかに知らせて欲しいという内容でした。今回の予算内容を見て、その方の指摘にあったようにソフト面の援助は非常に乏しいと感じました。ソフト面とは市が相談に乗ったり、情報を提供したりすることです。お決まりの印刷物ではなく、こういった方々が自立できるように、もっと実際的に生活に役立つ情報の提供が大事です。例えば往診に来てくれる医師や歯科医師、介護関係の業者などのリスト、それからどこへ行けば欲しい情報が手に入るかのアドバイスなどです。市に問い合わせれば、このような情報をすぐもらえる仕組みになっていますか? ホームページではどうなっているでしょう。今回の予算では高齢者や障害者の方へ物質的な援助、例えば記念品を上げたり、観劇に招待したり、お弁当の支給などが計上されています。またムーバス1000万人目の乗客にプレゼントをあげるという計画など、市のサービスは物品を提供するというハード面に偏りすぎているのではないでしょうか?

 第4点目は情報伝達の仕組みの問題です。学校と家庭の連絡方法について、何人もの委員から質問が出ました。他の自治体では携帯電話などを利用して、危険情報の伝達など速報性のある仕組みを始めているのに、武蔵野市では相変わらず紙によるお知らせと固定電話の連絡網を主体としているとの答弁でした。子ども達の安全を守るために、もっと効果的なやり方はちょっと考えれば出てくるはずです。

  第5点目は人材公募制度の検証の問題です。昨年は、図書館長が民間から登用され、今年は吉祥寺シアターの支配人が採用されました。庁内人事の活性化のためにもこのような新しい試みは賛成です。しかし、先日、予算特別委員会での図書館の来年度の取り組みを聞き、少しがっかりしました。採用されたときの新聞記事では図書館のインターネット利用サービスを拡充すると語っていたのに、来年度の事業計画ではその点には全く触れられていませんでした。新たな制度を導入したとき、やりっぱなしにせず、その後の検証と修正でよりよいものにすることが大事だと思います。

   最後に、私は今年になって防災センターの関連でいくつかの自治体を訪れる機会があり、職員の方々から話を聞くこともできました。財政危機のところもありましたが、思い切った仕組み・やり方が職員の方から提案され、実現されたケースもありました。予算をたっぷり掛けることだけが施策内容を充実させる訳ではないと実感しました。武蔵野市は財政的には豊かな自治体と言われています。しかし、最も重要なのは予算の金額ではなく、いかに生きた使い方をするかです。僭越ながら、このことを改めて申し上げます。

 以上を考慮し、武蔵野市のH16年度の一般会計予算に対しては反対、4特別会計及び水道事業には賛成とさせていただきます。

(2004.3.26  武蔵野市議会本会議  三宅 英子)