平成16年度決算に対する反対討論


                                                                                           

        2005(H17).9.29

むさしのリニューアルの会派を代表して、平成16年度の決算に対して、一般会計には反対、4特別会計及び水道事業には賛成の立場から討論させていただきます。

 

まず、今回の決算特別委員会の中で、今後の武蔵野市の税収についてのマクロ的な見通しについて質問を行いました。その内容は「H16年度で、これまでで初めて個人市民税の割合が固定資産税より下回ったことを指摘した上で、高齢化による今後の武蔵野市の税収の見通しをどう考えるか?」というのが主な質問点でしたが、理事者側の答弁は楽観的過ぎるものでした。武蔵野市の高齢化傾向は市勢データなどでもハッキリ出ていますし、2007年以降の団塊の世代の退職を考えれば、将来的な個人市民税の税収の減少は当然予測されるはずだと思います。歳入状況は2ヶ月毎に検討しているとのことですが、短期的な税収だけではなく、市の財政が10年後、20年後にどうなっているのかは市民にとっては重大な問題です。今回の質疑の中でこういった見解が全く見えないことは行政の姿勢として評価できません。これが決算に反対する一つ目の理由です。

次に、今後の市財政の厳しい方向性を前提にすれば、財政運営をもっとスリムにしようとか、これまでの経費の見直し行おうなどの具体的な取り組みが各部署の答弁の中からもっと見えてくるはずだと考えます。残念ながらこういった危機感は、全体的な質疑を通してほとんど感じられませんでした。例えば職員共済会交付金では、補助金の収支決算報告が合計金額しか示されないまま、ここ数年約6,300万円もの支出がそのまま認められてきました。今回、資料要求でその中身が少し明らかになりましたが、公務員の厚遇が批判される今、透明性を欠くこのようなやり方は不適切だと感じます。武蔵野市の土日手当の廃止も3月からすでに半年もの期間が過ぎましたがいまだに決着がついていません。市民の視点からすれば悠長なやり方です。2極化が強まる社会構造の中で、住民の生活実態や感覚をつかみ取り、市政をもっとスリムにする努力が求められるのではないかと思います。これが反対する2番目の理由です。

第3に今年の3月の一般質問でも取り上げましたが、武蔵野市の専門委員のあり方についての疑問です。他の自治体も調べましたが専門委員を設置している場合は、大体が委員会などに所属する委員として具体的な役割・期限が決まっていて、武蔵野市のように市長や市のブレーンのような形で専門委員を11名も設置しているところは見当たりませんでした。具体的な問題点を上げると

1) メンバーの中には、元職員や幹部・教育長・図書館長であった方などが何人も含まれていて、例えば、これまでの教育長がお目付役な形で専門委員に残れば、新しい教育長が思い切った取り組みをしようとしてもブレーキがかかるのではないでしょうか。このような人選が果たして適切と言えるかの点。
2) 一度一つの専門委員の業務が終了しても、次の年度にはまた新たな専門委員の職を同じ委員にスライドするといった曖昧なやり方が実施されている点
3) 市議会の承認も必要とせず、市長の権限で決定できるにしても、専門委員の名簿が公開されていない現状は透明性に欠ける点。
4) 公会計制度研究専門委員を除いては、一年間の成果を具体的に公表している委員が非常に少なく、何をやっているかが客観的に見えづらい点

以上4点です。結論としては、このような専門委員に頼り切ったやり方ではダメで、現状の職員の専門性・モチベーションを高めることが必要だと思います。他の自治体の動きを見ても当然の流れではないでしょうか。この意味で現在の武蔵野市の専門委員制度のあり方を抜本的に変える必要があると考えますので、これが3番目の反対理由です。

4番目は、予算に計上して実施されなかった事業についての疑問です。H16年度の予算では環境衛生費の中に計上されていた燃料電池コージェネレーションシステム設置の198万9千円は、決算書では環境衛生費の中では計上されずに、別の款である教育費に移行され、大野田小学校の建設費用の中に含まれたようです。H16年度の予算の概要では特徴ある事業として、北町高齢者センターに設置される予定と記載されていたのですから、計画通りにできなかった理由やなぜ大野田小学校に変更したのかをまず行政側からきちんとした説明があって当然ではないでしょうか?款から款にただスライドされて、数字合わせで終わって済まされる問題ではありません。そもそも、あまり必要性のない事業だったのではないのでしょうか?他の委員からの質問にもありましたが、予算の概要の中身が決算では実際に結果がどうなったかをもっと具体的に説明する仕組みを作るべきだと思います。次回の決算特別委員会では是非取り入れて欲しいと考えます。これが4番目の反対理由です。

 5番目に、今回の委員会の中での答弁で共通していた傾向は、結果についての言い訳が多い点です。例えば、9/4に起きた大雨被害の場合は、市民の安全を確保する観点から今回の体験を次につなげようとすれば、修正点をもっと前向きに考えられるはずです。テンミリオンハウスの活性化についても、以前にも指摘されている訳ですから登録者数が減少している施設の実体の調査を行うなど、一歩進めてやっていくのは当然ではないでしょうか。具体的な指摘や提案がそのまま放置されていては、改善は進みません。認知症発症・進行予防に関する研究事業も、予算の概要書では32グループを立ち上げると明記されていたにも拘わらず、実体は16グループとのことで、その進捗状況もはっきりしません。介護保険制度の改正に向けても、市民からの陳情も出ているのですから、もっと具体的に市民の知恵を借りる姿勢や仕組みの工夫があって良いのではないかと感じました。教育委員会の定例会の進め方ももっと委員が主体的にテーマ設定などの意見を出して活性化できないかと質問しましたが、現状の仕組みではできない、という答弁で終わりでした。武蔵野市の教育の問題解決のために、どうすれば有機的に教育委員の方々を関わらせることができるのか、と具体的に考えるべきではないでしょうか。スポーツ振興事業団の改編についても同様です。教育委員の皆さんも一緒になって指定管理者制度の方向性・課題などについて、実質的に議論する場を作るべきです。以上が反対理由の5つ目です。

  しかし、一方で今後の行政のあり方に対する明るい方向性が見えた答弁もありました。オルガンコンクールについての他の議員からの質問でしたが、文化事業団の担当者からは、今回の反省点を基にすでに次回のコンクールに向けて地域の方々やこども達と委員会などを立ち上げているとの答弁がありました。このようなアイディアとやる気・独自性については高く評価したいと感じます。さらに、納税課の担当者からは徴収率を上げるための1年間の取り組みや競売の成果などの説明がありました。苦労の多い部署で、このような地道な努力は賞賛に値すると思います。この他、武蔵境のコミュニティスタジオにおける若者との取り組みや新しい教育長がスタートさせた教育企画会議の今後については可能性を感じました。

 最後に、これまで継続的に主張してきたわかりやすい予算書や決算書の作り方、データ集づくりなどいまだにほとんど改善されていませんが、今回もこのことを強く要望します。また、決算特別委員会が終了した後に「生涯学習スポーツ課の事業概要」が配布されたことに対しては、あまりにも安易な仕事のやり方なので深く反省して欲しいと考えます。この件については、

1) 議会への資料や報告書などの配布方法について、総務課・議会事務局との連携の仕組みを洗い直し、もっとスピードアップさせること。
2) 議会事務局は予算や決算特別議会の定番的な事業報告類についてはチェックリストを作成し、遅れている部署に催促する仕組みを作ること。
3) 報告書類の提出の期限設定に対して、各部署がシビアーな意識を持つこと。

の3つを強く要望します。今後こんなことを繰り返すようなら職員平均1000万と言われる給与をもらう資格はありません。

 以上で、むさしのリニューアルの会派を代表して、平成16年度の決算に対して、一般会計には反対、4特別会計及び水道事業には賛成の討論とさせていただきます。

(2005.9.29  武蔵野市議会本会議  三宅 英子)