むさしのリニューアルの会派を代表して、ただ今の平成17年度の決算に対する委員長報告に賛成の立場から討論させていただきます。 まず決算について討論する前に一言申し上げたいと思います。9月21日の本会議の決算の総括質疑やその後の決算特別委員会で、邑上市長の主要な施策の成果に関する説明書の中の冒頭の部分を取り上げて、「前市長の施策を批判して市長になったのに、長期計画を着実に実行するなどと表現しているのは前市政の踏襲・継承と読めておかしい」などと批判する議員がいました。前市長が立てた予算を年度途中で引き継いだ場合に、新しい市長が独自性を発揮することは困難なことです。また、予算を引き継ぐという言葉尻を捕らえてあれこれ言う姿勢には疑問を感じます。決算の中身を批判するのであれば、もっとマクロ的な財政上の課題を示したり、裏付けデータを示しながら具体的な施策のあり方を指摘するべきで、そういった視点がないと説得力がありません。 ではH17年度の決算について述べたいと思います。まず評価できる点を指摘したいと思います。 第一番目には市長市役所交際費から香典の支出を廃止するなどの改革を行った点です。7年前に私は前市長の市長・市役所交際費の使い方を問題として監査請求を行いましたが、当時の監査委員はすべての訴えを却下しました。その後2度の裁判では私の主張の過半が認められましたが、もし当時の監査委員が前市長の支出の違法性を指摘し、是正させていたならば武蔵野市の市長交際費のスリム化はもっと早くに実現していたのではないかと感じます。そこで、市長にお伝えしたいのは、例えば現在市のホームページに掲載されている市長・市役所交際費の支出基準にについて会費等を公費から払う基準なども明記して、公費から支出する市長交際費の支出の仕方をきちんとした制度として武蔵野市に定着させて欲しいと言うことです。 2番目に専門委員の見直しが行われた点は評価できます。これまで一般質問でも指摘してきましたが、地方自治法で定められているにしても、武蔵野市の専門委員制度は他の自治体には見られない仕組みで、市長の裁量で10人以上の専門委員を雇ってきましたが、勤務時間も場所もはっきりとは決められておらず、1年間のレポートの成果もない専門委員さえいるなどいくつもの問題点を抱えています。専門委員を設置するなら、1年間の成果をチェックする具体的な仕組みが最低限不可欠です。 3番目はこれも今まで提案してきたことですが、市民意見募集に対する行政側の回答を公表し始めた点です。タウンミーティングなどの報告書などが典型的な例です。このようなやり方は、前市長の時代にはなかった新たな動きで、邑上市長の良さが出ていると感じます。 4番目は水道事業の努力と成果です。27日にインターネットで決算特別委員会を見て、武蔵野市の水道水の特徴がよくわかったと、市民の方から指摘されました。部長が交代して雰囲気がずいぶん変化したように思います。いろいろな場でアピールして、市民から愛される水作りに徹して欲しいと感じています。 5番目はムーバスサミットなどのイベントの見直しを行った点があります。邑上市長の持ち味である、あっさりしたイベントのあり方をもっと打ち出して欲しいと思います。 最後は武蔵野市の財政分析としての「バランスシート」(H17年度版より「武蔵野市の年次財務報告書」と名称が変わりました)です。毎年新たな視点や切り口を加え、継続している点は評価できます。ただ、少し生意気な言い方をすれば、決算特別委員会のやり取りではこの冊子がまだまだ各職員レベルでは使われていないように感じます。この冊子が真っ黒になるまで活用されれば、財政に強い職員が増えて、決算委員会の場での説明にも説得力が生まれるのではないかと感じます。 次にいくつかの課題を挙げたいと思います。 1番目は今回の決算特別委員会でのやり取りの中でお役所用語である「研究します。」「検討します。」といった言葉が連発していた点です。市長もよく使いますが、研究や検討をするなら、いつまでに結果を出すのか、期限を区切って説明すべきで、曖昧な言い逃れでその場しのぎの答弁は何もしないと言っているのと同じです。市役所改革をするならこういった点を具体的に変革するべきです。 2番目は、財政をもっとマクロ的に見るべきだと思います。例えば、H17年度の国保事業会計から支出される医療費は約61億円、老人保健会計からは医療給付費として約99億円、介護保険事業会計からは保険給付が約69億円です。これらの総額は約230億円となり、4特別会計を合わせた歳入合計890億円の26%にも上ります。さらに、この歳入額890億円の中には一般会計から各特別会計に支出された約42億円の繰入金が含まれています。H18年度の武蔵野市の人口13万5000人に占める65才以上の高齢者の数は約25,000人、高齢化率は18.7%となっています。H20年度の予測では高齢化率が19.5%となり、市民の5人に1人は65才以上の高齢者となるデータも公表されています。三位一体改革とこのような武蔵野市の少子高齢化の実態を考えると、今後の財政面は武蔵野市だからと言って安心できる状況ではないと思います。さまざまな施策にまんべんなく経費を掛けるやり方を見直すことが急務ではないかと感じます。例えば、セイフティネットを構築するための具体策を福祉の現場と連携しながら検討することや、今後の財政面の裏付けをどうするのかという視点を持って、子育て事業なども含めて、武蔵野市として優先させるべき施策は何と何かを立ち止まって組み立てる必要があります。武蔵野市が住みたいまちナンバーワンだから、高級マンションが売れ、高額所得者が流入して個人市民税が増える、また団塊の世代が退職することに伴い住民税が増える、などといった一時的な見解や我田引水的な発想ではなく、少子高齢化、ニートの増加、団塊の世代の定年、貧富の拡大などの社会状況をもっと客観的に中長期的に分析し、武蔵野市のまちの将来がどうなるかをもっと具体的に語るべきではないでしょうか?このような将来展望に対する危機感が決算特別委員会の幹部や職員の方々の答弁からはほとんど感じられなかったのは残念です。今後の大きな課題だと感じました。 また、最後に付け加えますが、市民が主役をテーマとする市政であるならば、決算書・予算書で市民が市の財政をチェックできる仕組みにもっと積極的に改善すべきだと思います。 以上を以て、平成17年度の武蔵野市の決算に対してむさしのリニューアルを代表し、委員長報告に賛成、平成17年度の武蔵野市一般会計、4特別会計、1企業会計に賛成の討論と致します。 |