「電力の安定供給に関する意見書」について 電力の安定供給に関する意見書・・・提案者:島崎(自民)・田辺(公明)・山下(市民クラブ) 結果・・・可決 賛成24名・・・自民(9)・市民クラブ(5)・公明(3)・民主(6)・桜井 反対6名 ・・・共産(3)・市民の党(2)・三宅 ずっと再開に慎重だった佐藤栄佐久福島県知事が、7月10日東電福島第一原発6号機運転再開を認めたことで、この夏の首都圏の電力危機は何とか回避される見込みのようです 。 大規模な停電が起きると、マンション住まいの身には、電気は勿論、水道もトイレも使えなくなるという大変困ったことになるわけで、私も電力の安定供給を望みます。しかし便利な都会暮らしの安定継続を叫ぶ前に考えなければならないことがあります。 この意見書では、東電への国の監督を厳しくするようにと一応は言っているものの、結論として、「地元住民を説得して早く原発の運転を再開するように国は働きかけよ」ということに重点があります。 今回の電力危機は非常に人為的なものです。東京電力が長年にわたって、シュラウド(炉心部の隔壁)のひび割れを隠し続けたことが内部告発によって発覚したことにより、原発の運転停止に追い込まれたことが原因です。そしてずっと原発政策に協力してきた地元の住民や自治体が最も怒っているのです。会長以下トップは退陣しましたが、東電の隠蔽体質は変わっていません。またデータの改ざんがばれると、今度はひび割れがあっても問題ないなどと、安全基準の方を変えようとする始末です。そんなことから、私は原発の早期運転再開には反対でした。 福島、新潟の原発が運転停止となって以後、国も東電も夏の電力需要のピークに向けて節電PRに躍起でした。電気予報なるものも登場しました。しかし福島原発6号機再開によって、個人の節電ムードは一気に後退してしまいそうです(大企業などはある程度節電を続けるようですが)。 そういうことを考えると、電力危機が遠のいたことに、安心と同時にある種残念な気持ちが残ります。良くも悪くも日本人はお上の指示に忠実な民族だと思います。節電に協力しろと言われれば、よく従って危機は乗り越えられただろうと推測します。 そして一部の原発が休止したままでも何とかなるという実績ができれば、もう原発はこれ以上作らなくてもやっていけるという主張に説得力が増し、個人は電気の大切さを再確認し、メーカーは省エネ仕様の製品作りにもっと力を入れるようになり、全体としてよい方向に向かったのではないかと考えるからです。これは、特に現実離れした考え方ではないと確信しています。 |
電力の安定供給に関する意見書 東京への電力の供給については、原子力発電所が立地する新潟県及び福島県を始め、電源が立地する他県の長年にわたる理解と協力によって担われてきています。東京電力(株)は、これまで、原子力発電所を新潟県及び福島県内に17基設置し、合計1,730万キロワットの電力を首都圏へ供給してきました。原子力発電は、長期的、安定的なエネルギーの確保と地球環境の保全という観点からも、その重要性は認識されているところです。 今回の東京電力(株)による一連の不祥事は、電源立地地域住民に対し、原子力発電に対する不安と不信を呼び起こしています。安心・安全が何よりも求められている原子力発電所において、点検・補修等におけるもろもろの不正問題が発生し、事業者の信頼は失墜し、ついには全プラントの停止という最悪の事態に至っています。 その後、地元の理解を得て新潟県の柏崎刈羽原子力発電所6号機は5月7日に再開し、同7号機も6月18日に起動したとの報道もありますが、この2基のみで夏の電力供給が間に合うのか、マスコミ紙上でも大きく取り上げられています。仮に、供給不足に伴う停電というような事態になれば、国民生活に重大な影響を与え、我が国の社会経済全体にとっても多大な影響を及ぼすことは明らかです。 当然、このような事態を迎え、市民・企業・行政を挙げて、一層省エネに取り組まなければならないことは言うまでもありません。 このため、関係当事者は、引き続き電源立地地域の住民と同じ目線に立ち、何よりも地元住民における安心・安全の確保を最優先に考え、信頼回復へ向けた早急な取り組みが必要です。 よって、武蔵野市議会は、政府に対し、東京電力(株)に対する指導・監督の徹底を図り、一日も早く、電力の安定供給に向けた運転が再開出来るよう強く要請します。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。 平成15年 6 月30日 武蔵野市議会議長 田 中 節 男 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣 総務大臣、経済産業大臣、環境大臣あて |