「イラク特措法の制定反対に関する意見書」について イラク特措法の制定反対に関する意見書・・・提案者:梶(共産)・大野(市民の党)・三宅 結果・・・否決 賛成13名・・・共産(3)・民主(6)・市民の党(2)・桜井・三宅 反対17名・・・自民(9)・市民クラブ(5)・公明(3) イラク武力攻撃(イラク戦争)に関しては、3月市議会(第1回定例会)で、次の2通の意見書が可決され、総理大臣等宛に提出されました。 1)「イラク問題と平和に関する意見書」 内容は「国連決議に基づかない軍事行動すべてに反対することを要望する」などです。 2)「イラクへの軍事行動即時中止と、国連による平和的解決に関する意見書」 こちらは政府に対し「アメリカ、イギリスなどによる軍事行動への支持を撤回し、軍事行動を即時停止するよう国際社会に働きかけることと、国連による事態の平和的解決の実現に向けた外交努力を全力を挙げて行うことを強く求める」というものです。 前者は全会一致で可決され、後者も賛成多数で可決されていました。 ところが今度の新しい市議会で、自民系などの議員が増え議会が右傾化したことで、今回の「イラク特措法の制定反対に関する意見書」は否決されてしまいました。 「イラクに自衛隊を派遣する目的は、イラクの早急な復興を支援するためである」などという説明を本気で信じている日本人は一体何人位いるでしょうか。真の理由は、アメリカにゴマをするためです。小泉首相がブッシュ大統領に口約束したから、またプロレスラーみたいなおっさん(アーミテージ国務次官補)に「こんどはグラウンドへ出て試合をやれ」と言われたから、そして石油利権の分け前をより沢山もらいたいから、という以外に何の理由があるのでしょうか。 国連決議もなく戦争を開始し、その理由とした大量破壊兵器も見つからない(そもそも、そういう情報はガセネタで、米英首脳はそのことを知っていたという報道が最近ドンドン増えています)という状況の所に、憲法に抵触するおそれのある海外派兵をすることには賛成できません。 また「PKO協力法」は、今回政府与党も適用できませんでした(派遣の根拠となる国連機関からの要請がないため)。そのため、イラクへの経済制裁解除を決めた「国連安全保理決議1483号」を自衛隊派遣の根拠とする苦しい理屈付けをしたのが今度の法案であり、一部の自民系の人たちが言うような国連の要請に基づく派遣ではありません。アメリカの有言無言の圧力によるものです。 自衛隊を派遣して米英と同類であるとハッキリすればする程、日本と比較的良好だった他のアラブ諸国の反発を買うというマイナス面もあるわけで、アメリカについて行くことが得だとは限りません。また「イラクに自衛隊を派遣しないとなると、北朝鮮の問題でアメリカが動いてくれなくなる」という議論も説得力がありません。この問題で強硬なのはむしろアメリカの方であって、北朝鮮船の臨船チェックをつい最近始めたことでも分かるように、日本は長い間北朝鮮に対しては甘やかし政策でやり過ごしてきたのです。 米大統領の戦争終結宣言以来、すでに何十人もの米英兵が殺されています。米兵が狙われる事件は1日に平均25件発生しているという、米政府の発表を最近テレビのニュースで知りました。そんなところへ事情に疎い自衛隊が行って何が出来るでしょうか。最近では小泉首相以下「自衛隊員が死ぬこともあり得る」などと発言しています。まるで「自衛隊員が何人か死んでくれた方がアメリカに顔向けできる」というような意図を感じます。 韓国は早くから医療部隊をイラクに派遣しているようですが、これも当選する前は反米発言の多かった盧武鉉大統領の、アメリカ向けパフォーマンスだと思います。韓国はイラクに部隊を派遣するより、北朝鮮に対する腰の引けた態度を改めるのが先でしょう。「太陽政策」などと、一見理想主義的な寝言を唱えて裏でこっそり大金を渡している間に、とんでもないことになっていることをしっかり認識するべきでしょう。 では日本はどうすべきか。何もしないでよいのか。そんなことはありません。こんな大きな話は一介の市議会議の扱う問題ではなく、あれこれ言っても仕方ないかも知れませんが、とにかくもっと治安が落ち着いてから、医療や建設などの組織を送ることを考えるのがよいのではないでしょうか。そういう目的に自衛隊を送ることも選択肢になるでしょう。阪神大震災でも、最初にワッと来て早く帰ってしまったボランティアよりも、細く長く、小さな手助けをずっとしてくれた人たちの方が好評だったという話もあります。 そしてクルド人自治区などでずっと以前から活動してきた大西健丞さん(鈴木宗男と断固対決した人)の「ピースウィンド・ジャパン」など、イラクで活動する内外のNGOに対する支援を強化することも重要だと思います。 |
(2003/7/13) |