5歳児死亡 母親と祖母から虐待

                                                                                         スポーツニッポン 2003/11/17

千葉県警我孫子署は16日、5歳の女児を虐待したとして、暴行の疑いで母親の小西由美容疑者(27)=同県我孫子市=と祖母の恵子容疑者(53)=同=を逮捕した。女児は全身にあざがあり、同署は、二人が日常的に暴行を繰り返していた疑いもあるとみて調べている。暴行と死亡との因果関係がはっきりすれば、傷害致死容疑でも立件する方針。

母親と祖母の二人から殴る蹴るの虐待を受けていたのは由美容疑者の二女加織ちゃん(5)。15日午後10時半ごろ、搬送先の病院で死亡した。加織ちゃんは頭を強く打っており、病院の診断では、死因は小脳硬膜下出血とみられるという。

由美容疑者が15日午後3時すぎ「子供がぐったりしている。呼吸をしていないようだ」と119番。加織ちゃんの顔や手足に複数のあざがあり、搬送先の千葉県柏市の病院が警察に通報し、事件が発覚した。

調べでは、由美容疑者は11日午後3時ごろ、自宅で加織ちゃんの腰付近を蹴るなどし、恵子容疑者は11月上旬、加織ちゃんの頭を平手で数回殴った疑い。二人は「しつけでやった」と容疑を認めている。

加織ちゃんは00年10月と01年2月、今年1月の計3回、柏市の柏児童相談所に約1〜4カ月間、一時保護されていた。

最初の2回は加織ちゃんが当時通っていた我孫子市内の保育所からの「虐待の恐れがある」との通報がきっかけで、恵子容疑者は「しつけだった。反省している」と話していたという。

同相談所の職員が加織ちゃんを直接確認したのは今年4月の家庭訪問が最後。8月末に電話で話した際、由美容疑者は「加織は元気です」と答えたという。同相談所は「日常的な虐待は確認できず、ただちに生命の危険が及ぶとは考えていなかった」としている。

我孫子署によると、由美容疑者は数年前に夫と離婚し、現在は恵子容疑者と小学2年の長女(8)、加織ちゃんとの4人暮らし。長女については「外見上は虐待された様子はない」(同署)という。

由美、恵子両容疑者はいずれも無職で、生活保護を受けていたとの情報もある。

≪虐待は日常的≫ 児童相談所は加織ちゃんへの虐待を把握、近所の人も虐待を目撃していながら、悲劇は防げなかった。柏相談所の野口泰弘次長は「家庭とのかかわりを続けてきたのに、こんなことになってしまい残念だ」と無念さをにじませた。加織ちゃんは「悪いことをしたらぶたれる」と話していたという。

加織ちゃんは同年代の子より体が小さく、おとなしい子だった。隣に住む主婦(66)によると、家の中からは日常的に恵子容疑者が「この野郎」などと怒鳴る声や「ドシーン、ドシーン」と何かを放り投げる音が聞こえ、真冬に家の外で加織ちゃんの頭から水を掛けていたこともあった。由美容疑者は家を空けがちで、恵子容疑者が孫の面倒を見ていたという。主婦は「加織ちゃんは日ごろから顔が腫れて傷だらけで、かわいそうで見ていられなかった。でも怖くて通報できなかった」と話した。