JR参院質疑主なやりとり 垣内剛社長 (共同通信社 '05/05/17) |
垣内剛社長 107人もの方が亡くなられ、500人を超えるお客さまが負傷された。亡くなられた方のご無念やご遺族の方のご心情を察すると胸の張り裂ける思いで、まさに痛恨の極みだ。私に課せられた責務は、ご遺族やけがをされた方々への誠心誠意の対応に万全を期することであると考えている。当社の安全への取り組みや企業風土に対する批判に謙虚に耳を傾け、安全に対する取り組みや風土改革に生かすなど、国土交通省から指示があった安全性向上計画の策定に全力を挙げて取り組みたい。また内部だけでなく、外からの視点を取り入れることが必要と考え、社外の有識者からなる安全諮問委員会を設置し、安全性向上策の推進を図りたい。
山本香苗議員(公明) 現場ではスピード超過が常態化していたという報道があったが事実か。
徳岡研三専務 そのような事実はない。運転士など30人程度に聞き取りをしたが「そういうことはない」と答えた。
山本 ダイヤの見直しをするのか。遅れた場合の回復運転の手順について明文化するべきだ。
垣内 ダイヤは少し遅れが常態化しているので、実態に合わせて直したい。回復運転はあくまでも制限速度内の話。制限を超えて運転することはないよう、きちんと指導したい。
仁比聡平議員(共産) 運転士の安全再教育は、個人責任の追及はやめて科学的な運転教育に転換すべきではないか。
垣内 再発防止の教育は当然の責務で、知識、技能の付加や気持ちの沈静化も目的としてやってきた。大部分はその趣旨を生かせた教育だったと思うが、社員にはやや疑義のあるものもあったようだ。他社の例も参考にし、また現場の長に任せているやり方にも一定の標準を設け、より適切で効果的な手法を検討していきたい。
渕上貞雄議員(社民) JR西日本は国交省の指導を守ると思うか。
梅田春実国交省鉄道局長 日勤教育で草むしりをしているのではとの指摘があり、JR西日本に照会したが、環境整備の一環でやっているという返事だった。運転士のスキルアップにつながる日勤教育はいいが、草むしりを再教育の一環としてやってはならないと指導した。JR西日本からは、再教育の一つとして草むしりをしないことを社内で徹底したと聞いている。
岡田広議員(自民) 事故直後の会見で言った置き石説は責任回避ではなかったのか。
徳岡 結果的に責任転嫁ととられ、事故調委の調査に予断を与えたことは深く反省している。決して責任転嫁を図るという目的ではなく、現地の状況について知り得た情報をできるだけ早く知らせることを念頭に公表したが、大変申し訳ない。
佐藤雄平議員(民主) 事故は、過密ダイヤ、安全対策への投資不足、日勤教育、利益至上主義が原因ではないのか。
垣内 いずれも直接は関係ないと思っている。
佐藤 そういう社長の認識が問題ではないか。安全対策の役員を置くという報道があった。名目だけなら意味がない。社長と同等ぐらいの権限を持たせるべきだ。
垣内 今後の人事については、会社をいかに強くしていくか、多方面から検討している。明確なものは持ち合わせていない。今後の問題だ。
弘友和夫議員(公明) 日勤教育や過密ダイヤについて、社長は先ほど「直接の原因ではない」と言ったが、それでは事故はなぜ起こったのか。
垣内 4つのことが直接影響したかというと、背景要因としてはあるのかもしれないが、個別の事柄が直接関係あったのかどうかは分からないということで答えた。新聞報道や厳しい意見に謙虚に耳を傾け、再生の際には重要な意見として踏まえてやっていく。
弘友 大阪支社長が安全について「どこかで割り切らなければならない」と発言したことが報じられているが事実か。
垣内 その場にいなかったので明確に言えないが、当人は「安全は絶対です」と言っている人間。そういう趣旨にのっとった発言だと思う。誤解を招いたとしたら問題だと思う。
末松信介(すえまつ・しんすけ)議員(自民) 風土改革は時間がかかるが、いつのタイミングで責任を取るのか。
垣内 大惨事を引き起こし、会社と私自身、大きな責任を感じている。しかし被害者への対応や福知山線の再開、風土改革のきっかけをつくらねばならず、そういうことが責任の果たし方と思っている。風土改革は三年や五年、十年かかるであろうが、私自身長くやるとは思っていない。今の時点でいつとは言えないが、しかるべき時期に(責任の取り方は)きちっとしたい。
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