「分裂」民主、議席伸びて修復? カギ握る新顔20人

2005年07月04日   朝日新聞

 民主党が大きく議席を伸ばし、東京都議会第2党になった都議選。しかし、同党は選挙前に都議会の会派が分裂状態に陥り、ごたごたを抱えたまま選挙を戦った。石原慎太郎知事の都政運営にどのような姿勢で臨むのかを巡る路線対立もある。6日にも当選者による初会合を開く予定だが、会派の一本化が当面の課題になる。議席伸長を喜んでばかりいられないのが現状だ。

 当選から一夜明けた4日朝、都議会民主党で幹事長を務める名取憲彦氏(大田区)はほっとした表情を見せた。苦戦が伝えられ、定数8で6位当選だった。

 同会派は3月以降、予算特別委員会で浜渦武生副知事への「やらせ質問」を所属議員にさせたとして、混乱した。

 名取氏らに批判的なグループが公然と執行部を批判。浜渦氏の問責決議案採決では、「反対」を決めた執行部に対して6人が造反し、このうち2人が会派除名に。選挙中には「都議会民主党」に対して、除名された2人に他会派の1人を加えて新会派「民主党東京都議会議員団」を立ち上げる事態となった。

 選挙で、執行部では政調会長が落選した。「やらせ質問」に関連し、都議会の調査特別委員会(百条委)への出頭要請に応じず、同委で「刑事告発に該当する」とされた影響も出たとみられる。

 名取氏は「新会派を解消して一緒になるよう、こちらから働きかけるつもりはない。都連の問題になる」との姿勢だ。

 2年前の知事選では民主党が推す候補ではなく、石原知事支援を鮮明にした。「知事寄り」との党内の批判には、「都政のことをわからない国会議員が言う話ではない。これからも是々非々で、姿勢は変わらない」。

 一方、都議会民主党の前幹事長で新会派を立ち上げた田中良氏(杉並区)は、自らは8人中2位と上位当選だったが、新会派のメンバーの1人が落選、1人が勇退。4日朝、「こちらから戻してくれとは言わないが、都連から話があれば応じる」と話した。

 「石原都政を変える」。選挙中も「親石原」の執行部の姿勢を批判してきた。石原知事に対する路線対立は残るが、「都連が統一会派を組んでくれと言えば、執行部による除名が間違っていたということだ」。

 調整を委ねられた民主党都連は、初会合の案内の中で「改めて統一した会派結成届を提出する必要がある」と呼びかける。「2年後には知事選もある。身内で争っている場合ではない」と幹部は話す。

 党前代表の菅直人衆院議員も4日、「これで本格的に再スタートできる。自民党に対抗する民主党への期待は高まっている。支持に応えられるよう、しっかり会派を立て直してほしい」と話した。

 同党は当選した35人のうち新顔が20人で、会派内でも大勢力になる。新顔たちが会派運営に大きな影響を与えるのは確実だ。

 その一人、野上幸絵氏(練馬区)は「知事とべったりではなく、正すべき所は正すのが議会の役割だ。今回、しがらみのない新人が多く当選した。必要があれば党を変えていけると思う」と話す。