127議席をめぐる都議選は、過去最少の220人による少数激戦が繰り広げられている。選挙戦はあと4日。毎日新聞社の総合的な取材と世論調査結果を参考に、42選挙区の終盤情勢をみる。
◆2議席うかがう自民−−墨田
◇千代田区
内田氏は神田地区を中心に組織を引き締め、都議会議長などの実績を掲げて地盤を固める。上田氏は都議会のあり方や子育て、福祉などを改革の立場から訴え、若い世代や新住民、女性などに支持を拡大。柏崎氏は都議会の自公民との対立軸を明確にし、都政批判票の取り込みを狙う。
◇中央区
7選を目指す立石氏は都民負担軽減などを訴え、長年積み重ねた支持基盤を強化する。桑名氏は共産支持層を基礎に、石原知事への批判色を前面に出して上積みを狙う。梶川氏は中山義活衆院議員の支援を受け、月島、勝どきなど新住民への働きかけに力を入れる。
◇港区
大塚氏は元衆院議員の父の地盤に加え、ソフトな改革路線で無党派層にも支持を広げる。来代氏は町会、各種団体や区議団をまとめ、公明推薦も得て組織を固めた。窪田氏は党支持者のほか街づくり活動人脈などで票を集める。清原氏は都議の父の根強い支援者のほか、PTAなどにも働きかける。菊地氏は過去の区長選、都議選での知名度と、独自のマニフェストで浸透を図る。志良以氏は国民党党首として都政などの刷新を唱える。
◇新宿区
吉倉氏は着実に支持基盤に名前を浸透させてきた。秋田氏は支援の区議と支持者固めを図り、大山氏は現職としての実績と党の政策を訴える。民主は2人当選を目指して追い込みを図る。富田氏は都議会民主党の政調会長としての手腕を訴え、猪爪氏は街頭から無党派層への広がりを目指す。
◇文京区
鳩山氏が知名度を生かし、古くからの鳩山支持票の掘り起こしと無党派への浸透を図る。中屋氏は遊説と個人演説会を中心に、深谷隆司元通産相の後援会などの票を固める。小竹氏は組織票を固めた上、福祉政策などを訴え、広がりを見せる。増子氏は若い世代を中心に子育て支援などを訴え、追い上げを図る。
◇台東区
服部氏は街頭活動のほか、個人演説会などで後援会を引き締める。中村氏は徒歩遊説や個人演説会を続け、地元区議らの支援を受けて支持者を固める。現職2氏に挑む秋間氏は組織票固めのほか中小企業対策などを訴えながら支持を広げる。
◇墨田区
政党公認5氏が競い、自民が2議席確保をうかがう。石井氏は組織の引き締めに力を入れる。桜井氏は街頭での活動や個人演説会で保守票を固める。藤崎氏は街宣や徒歩遊説などで名前を浸透させる活動を続ける。阿藤氏は若さをアピールし、サラリーマン増税反対などを訴える。小沢氏は自転車で区内を回り、知名度アップに力を入れる。
◇江東区
山崎氏は組織を引き締め、保守層の支持を固める。柿沢氏は衆院議員だった父の後援会の支援で地盤を固め、新住民にも浸透する。木内氏は組織力と力強い弁舌で安定した支持を集める。東氏は改革を訴え、組織票を固めるとともに現都政批判層にも浸透。大沢氏は一貫した姿勢と教育、財政の課題解決を強調して支持を広げる。
◆5党公認、6氏が混戦−−八王子
◇八王子市
5党の公認候補6氏らが争う混戦。東村氏は厚い支持基盤に浸透し、堅実な戦いぶり。自民は森喜朗前首相、安倍晋三幹事長代理らの応援を得て、石森氏、串田氏の2人当選を目指す。清水氏は都立八王子小児病院の存続などを訴え、支持層の拡大を図る。相川氏は、労組票を固め、無党派層への浸透も図る。佐久間氏は福祉、環境重視の都政への転換を訴える。坂口氏は「住民本位の政治」を掲げる。
◇立川市
宮崎氏は安定した戦い。酒井氏が支持を広げ、浅川氏が追い上げる。宮崎氏は日替わりで目的の地域を集中して遊説する手法で市内全域への浸透を図っている。酒井氏は犯罪被害者支援策など1期目の取り組みを強調。無党派層への呼びかけに懸命だ。浅川氏は市議3期、都議1期で培った実績を強調。石原都政の批判票の取り込みを狙う。
◆民主一本化で激戦に−−武蔵野
◇武蔵野市
民主が公認候補を市民の党と一本化して情勢が一変し、最終盤までもつれこむ激戦の様相。小美濃氏は土屋正忠市長と保守系14市議から全面支援を受ける。松下氏は民主党の菅直人前代表に支援され、知名度アップに全力を挙げる。宮本氏は「都議会は共産以外オール与党」と主張する。
◇三鷹市
3選を目指す吉野氏が都政のパイプ役としての実績を訴え、組織を手堅くまとめて安定した戦いを展開する。松本氏は駅頭での演説や遊説で知名度を上げ、支持層を広げる。伊沢氏は自転車で細かく街を回り、無党派層の取り込みを狙う。大城氏は安心して子育てできる環境の実現など身近な政策を訴える。浦野氏は民間の感覚で都政の無駄を見直すと主張する。
◇青梅市
4選を目指す野村氏を新人2人が追う展開。野村氏は竹内俊夫市長や自民党系市議、公明党の支援を受ける。小鮒氏は若さをアピールするとともに、昨年発覚した自民党青梅総支部不明朗会計問題を批判する。工藤氏は「オール与党が福祉を切り捨てた」と訴える。
◇府中市
現職2氏を新人2氏が追う。比留間氏は保守系市議12人の支援を受け、手堅く支持層を固める。尾崎氏は連合系労組に加え、菅直人・民主前代表に支援される。民主の公認に漏れた備氏は世代交代を掲げ、市内をくまなく歩き回る。唯一30代の小林氏は若さを強調、介護保険充実などを訴える。
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◆立候補者(届け出順)
◇千代田区(定数1−3)
柏崎泰正 37 党地区役員 共新
内田茂 66 党都総務会長 自現=[公]
上田令子 40 市民団体代表 民新
◇中央区(定数1−3)
立石晴康 63 スポ少団長 自現=[公]
桑名文彦 34 党地区役員 共新
梶川康二 38 [元]衆院秘書 民新
◇港区(定数2−6)
来代勝彦 60 [元]区議 自新=[公]
菊地正彦 52 会社会長 無元
大塚隆朗 45 党支部長 民現
窪田光 46 党地区役員 共元
清原和幸 46 都議秘書 無新
志良以栄 68 国民党代表 諸新
◇新宿区(定数4−5)
猪爪まさみ 49 [元]区議 民新
富田俊正 46 党都政調会長 民現
吉倉正美 54 [元]衆院秘書 公新
大山とも子 49 党都委員 共現
秋田一郎 39 党都役員 自現
◇文京区(定数2−4)
中屋文孝 39 保護司 自現=[公]
鳩山太郎 31 財団法人参与 無現=[公]
小竹紘子 63 党地区役員 共元
増子博樹 45 [元]区議 民新
◇台東区(定数2−3)
秋間洋 46 党地区常任委 共新
服部征夫 62 学校法人理事 自現
中村明彦 58 飲食店経営 民現
◇墨田区(定数3−5)
阿藤和之 34 党地区常任委 共新
石井義修 64 党都幹事長 公現
桜井武 70 党都役員 自現
小沢昌也 50 党都政策委員 民新
藤崎繁武 51 [元]区議 自新
◇江東区(定数4−5)
柿沢未途 34 [元]NHK記者 民現=[ネ]
木内良明 60 党都副幹事長 公現
大沢昇 40 党支部幹事長 民元=[ネ]
東巨剛 68 [元]衆院秘書 共現
山崎孝明 61 党支部長代行 自現
◇八王子市(定数5−7)
東村邦浩 43 公認会計士 公現
串田克巳 52 [元]衆院秘書 自現
相川博 56 党都役員 民現
清水秀子 53 [元]小学校教諭 共現
坂口幸〓 69 社保労務士 無新
石森孝志 47 [元]市議 自新
佐久間寛子 51 [元]市議 ネ新=[民]
◇立川市(定数2−3)
酒井大史 37 行政書士 民現=[ネ]
浅川修一 50 党地区常任委 共元
宮崎章 64 農業 自現
◇武蔵野市(定数1−3)
小美濃安弘 42 党総支部役員 自現
宮本徹 33 党地区委員長 共新
松下玲子 34 [元]酒造会社員 民新=[ネ]
◇三鷹市(定数2−5)
浦野英樹 36 出版会社員 無新
大城美幸 41 [元]市議 共新
松本丞史 42 行政書士 民新
吉野利明 58 党総支部長 自現=[公]
伊沢桂子 40 [元]市議 無現
◇青梅市(定数1−3)
野村有信 64 医師 自現=[公]
工藤敬一 56 党地区常任委 共新
小鮒将人 37 [元]製造会社員 民新
◇府中市(定数2−4)
比留間敏夫 71 病院理事 自現=[公]
備邦彦 57 [元]市議 無新
尾崎正一 73 党都会計監査 民現=[社]
小林幹典 38 党地区副委長 共新
◆名鑑の見方
氏名、年齢(7月3日の投票日現在)、肩書、党派(自は自民、公は公明、民は民主、共は共産、ネは生活者ネット、社は社民、諸は諸派、無は無所属)、現元新別。=の後は政党の推薦・支持
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