新車と交換、中国向け欠陥トラック――三菱自、5800台を回収。
1985/10/07, 日本経済新聞 夕刊

 【北京七日=山本特派員】三菱自動車工業が中国に輸出した大型トラックに大量の欠陥が発生したとして大きな問題になっていたが、七日付海外版人民日報は同社が中国側との間で欠陥車(FP418型八トントラック)五千八百二十四台を回収、新車と交換するとともに、中国側に与えた損害を賠償することで合意したと報じた。同社北京事務所もこの報道を確認、双方は七日から欠陥車回収と賠償の具体策の協議を始める。
 三菱自動車の欠陥トラック輸出問題は九月上旬の人民日報が一面でこれを大きく報道、中国では全国的な問題として関心を集めていた。中曽根内閣の靖国神社公式参拝と絡めて、日中関係の今後に暗雲を投げかけていた。
 三菱側は直ちに上田常務を団長とする調査団を派遣、中国自動車工業輸出入公司や中国機械輸出入総公司との間で善後策の協議を進めてきた。
 今回の合意では、欠陥発生の原因が同社の設計ミスにあることを三菱側が認め、全面的に中国側の要求に応じる形になっている。「欠陥車が発生した場合、その欠陥部品だけを取り換えるのが国際慣例だが、中国の国民感情、日中経済関係への影響を考慮してこうした措置に踏み切った」と同社では述べている。FP418型トラックの販売価格は一台約四百万円。全量引き取るとなると三菱自動車は二百億円を超す損失をこうむることになる。