新型コロナ・ウィルス感染症(COVID-19)の深刻度の国際比較のために:

一介の素人による初歩的な試論(改訂版)

 

【まえがき】

 この試論は元来、20205月に執筆・発表し、同年6月に改訂版を作成したものである。それから一定の時間が経つうちに種々の条件が変わり、本稿が持ちうる意味も大きく変わってきた。

@何よりも大きいのは、最初に執筆した時点では、ごく基本的なデータでさえも――本格的な専門家はさておき、一般人の目に触れる範囲内では――なかなか手に入らないという状況であり、だからこそ純然たる素人であることを自覚しながらも敢えて悪戦苦闘して自分なりの見取り図をつくろうと試みる理由があった。その後、この条件は大きく変わった。今や、各種情報は十分とまでは言えないにしても、相当程度に増え、純然たる素人が苦労して口を出す必要はなくなった。その意味では、もはや現時点では本稿にはさしたる意味はないということになるように思える。強いていうなら、早い段階ではこの程度のことをいうためにも結構苦労しなくてはならなかったということの歴史的証言という程度の意味があるかもしれない。

 Aここで取り上げたのは2020年春頃までの状況だが、その後、時間が経つにつれて、各国ごとの状況はかなり変わり、本稿で論じた国際比較もそのままでは通用しなくなった。その後の大きな変化にここで立ち入ることはできない。もし本稿になにがしかの意義があるとしたら、各国の情勢は非常に多様であり、そうした多様性を規定する要因も多様であるため、国際比較には慎重を要するという、ある意味では当然のことを、不十分ながら早い時期に指摘した点にあるような気がする。多くの論者が「外国はこうだが、日本ではこうだ」という主張を出しているが、そこでいう「外国」とは、どこの、いつの情勢なのかということをきちんと特定しないと、ほとんど意味がない。そのことを忘れて、ある人は「外国に比べれば日本の情勢はわりと良好だ。つまり日本はうまくやっている」と主張し、ある人は「外国に比べて日本の情勢はひどい。これはまるで駄目だ」と論じている。その際に念頭におかれている「外国」の状況がしばらく経つと大きく変わっても、そのことは気づかれないままに放置されがちである。こうして、「外国よりも日本はうまくいっている」論者と「外国に比べて日本はまるで駄目だ」論者が、それぞれ自分に都合の良いデータだけを引き合いに出して論争するという笑えない悲喜劇が続いている。渦中においては、これはある程度までやむを得ないことかもしれないが、もうしばらく時間をおいて、情勢がある程度落ち着いてきたら、各国の時間的経過を丹念に追った本格的国際比較が専門家たちによって行なわれるだろう。それを遂行するのは純然たる素人たる私の任務ではないが、とにかくしっかりした国際比較を読みたいという希望のみをここに記しておく。

 B国際比較の一つとして、日本と韓国の比較について、本稿では次のようなことを述べた。「日本ではややもすれば韓国との優劣を過剰に意識して、「韓国を真似るべきだ」派と「韓国はまるでダメだ」派という対抗図式が前面に出やすいが、どの国もそれぞれに「真似るべき点」と「真似るべきでない点」「真似たくても真似られない点」等々を持っているはずではないだろうか」。これはごく大まかな観察だが、今でも有意味ではないかと思っている。

 いずれにせよ、本稿は多くの点で限界をかかえたものであり、今の時点でわざわざ参照していただく意味はあまりないだろうが、とにかく「早い時期にこんなことを考えていた」という記録の意味もあり、敢えてホームページ上から削除することなく保存しておくこととする。その後の私の模索については、「新型コロナ・ウィルス問題再論――当たるも八卦当たらぬも八卦」(20207月執筆。その後に若干の追記あり)、および「三たびコロナ禍(Covid-19)をめぐって」(20211月)を書いた。更なる進展についてもいずれの機会に書くかもしれないが、今はここまででとどめておく。

(このまえがきは202010月および20211月に記し、20215月に一定の改稿を施した)。

 

もとの本文(改訂版[1]

 

新型コロナ・ウィルス感染症(COVID-19)(以下、簡略化のため、一種の俗称である「コロナ」の表記をとる)の広がりは世界的な現象となっているが、その全容はまだ明確に把握される段階に至っていない。そのこと自体は無理からぬことだが、初歩的な情報さえも整理されていないために、他国のことをよく知らないままに「外国ではこうだが、日本ではこうだ」とか「世界の中で日本だけが特異だ」といった言説を発する人が少なくない。私自身はこの問題について特段の見識を持っているわけではないが、少なくとも国際比較に不可欠な初歩的データくらいはもう少し整理した形で手に入らないだろうかということを、この間ずっと考えてきた。

比較のデータとしてすぐ思い浮かぶのは感染者数と死者数だが、いずれも掌握度にばらつきがあり、公表されている数字を単純に比較できるのかという疑問を引き起こす。それ自体はやむを得ないことだが、感染者数と死者数を比べるなら、感染者数の方が信頼性がずっと低く、比較に適さないのではないかと思われる。

というのも、未掌握の感染者の中には多数の無症候者が含まれるはずだが、これは目に見えないものであり、その規模を推定するのは極度に困難である。最近になって、いくつかの国で抗体検査の実験が行なわれ、そこから実際の感染者数を推定する試みがなされているようだが、それによれば、実際の感染者数はこれまで掌握されてきた感染者の数十倍とか数百倍といった数字が挙げられている。これはほとんど「全く分からない」というに等しい感じであり、各国ごとにどの程度のばらつきがあるのかも見当の付けようがない。これに対し、死者は目に見えるものである以上、これを隠し尽くすというようなことはあまり現実的でない。もちろん、コロナ死とそうでない死をどう見分けるか、どういう範疇の人をコロナ死として計上するかといった問題があるから、公表死者数がそのまま現実を反映しているわけではないが、その各国ごとのばらつきが感染者数の場合ほど大きいとは考えにくい。

本来であれば、「超過死亡」――通常の年に比べてどのくらい死亡が多いか[2]――をとりあげた方が確実な比較になるのではないかとも考えられるが、これまでのところ超過死亡の統計は限られた国についてしか得られない模様である[3]。そして、とりあえず得られる限定的データに基づいた試算によれば、今年の超過死亡は「コロナ死」とされている死亡をかなり上回るとはいえ、何倍にもなるという規模ではないようである。ということは、各国ごとのばらつきがあるにしても、それは感染者数に関するばらつきほど大きくはなく、留保付きであればそれなりに比較に適したデータと言えるのではないか。ということで、とりあえずの出発点として、死亡者数のデータを考えるのが重要だ――それ以外の要因を無視してよいというのではないが、あくまでもとりあえずの出発点という趣旨である――という点はおそらくあまり異論がないと思われる[4]

当たり前の話だが、死亡者の絶対数だけが問題であるわけではなく、人口比の方がより重要である。人口の多い国でたくさんの人が死んでも(個々にはもちろん深刻な悲劇だが、社会総体としては)あまり驚くに値しない。だが、人口のわりに多数の人が死ぬなら事態は一層深刻である。ところが、日々の新聞に報道される「世界各国のコロナ情報」というものは死者の絶対数を伝えるだけで、人口比は伝えていない[5]。各国の人口というのはごく基本的な情報であり、その気になれば誰でも調べられるはずではあるが、素人の一般人が網羅的に調べるのはハードルが高い。やはりどこかに、誰でも簡単に参照できる形でそういう情報がまとめられていた方がよいのではないかと、かねてから考えていた。何人かの知人(コロナ問題専門家ではないが、私よりは統計に強い人)に尋ねてみたところ、世界各国のコロナ死の人口比に関する網羅的データはインターネット上に載っているはずだが、パッと見てすぐ分かるものがどこにあるかはよく知らないというような返事だった。どうしてこんな基本的・初歩的情報さえも見つけにくいのかと思っていたところ、たまたま高校時代の旧友で生物物理学者の片岡幹雄氏(奈良先端科学技術大学院大学名誉教授)が、どのサイトを見ればよいのかを教えてくれた[6]。これに励まされて、文字通りの素人が悪戦苦闘しながら一覧表を作ったり、それをもとに初歩的な考察を試みたりしたのが本稿である。

人口あたりの死者数(死亡率[7])が状況の深刻度を示す重要指標だということはいうまでもないが、その他にもう一ひねり付け加えられないだろうかと考えた場合、高齢化率というファクターが思い浮かぶ(これは私の独創ではなく、多くの人が非系統的にではあれ指摘していることである)。コロナで死ぬ人は高齢者だけには限られないが、統計的には相当高い比率で高齢者に集中している。つまり、高齢者というのは明白なハイリスク・グループである。高齢化率の高い国はハイリスク・グループを多数かかえており、高齢化率の低い国は逆である。ハイリスクグループを多数かかえている国で死亡率が高くてもあまり驚くに値しないが、ハイリスクグループが少ないにもかかわらず死亡率が高いなら、その国の事情は非常に深刻だということになる。だとすると、死亡率と高齢化率の比をとるなら、それは当該国の状況の深刻度を示す重要な指標となるのではないか。

もちろん、それぞれの国の事情は大きく異なっており、深刻度が高いとか低いといっても、それが何を意味するのか、その高低はどういう要因によって規定されるのかは一概には言えない。だから、この指標だけで何か明確な結論が出せるというようなことを主張する気は毛頭ない。それにしても、世界各国を網羅する形でこの指標の一覧表をつくるなら、ひょっとしたら何かが見えてくるのではないか――結論が出るという意味ではなく、これから検討すべき課題ないし論点を思いつかせるという意味で――という考えから作ってみたのが末尾の付表である。

この表を見ていく際に、あらかじめ気をつけておかねばならない点がいくつかある。この表はそれぞれの国の状況の深刻度を反映したものと一応考えられるとして、その理由は多岐にわたるので、深刻度の高い国はその国の対応策がまずかったとかその逆ということが単純に言えるわけではない。ウィルスの型が変異しているため地域によって感染力も重症化度も違うという説があるが、それ以外にも、それぞれの国のもともとの医療体制充実度、国民の健康状態、感染が広がり始めたタイミング、生活習慣、気候と風土等々、たくさんの要因が作用しているはずである。である以上、他の諸要因を考慮しないまま各国の対応の巧拙と結果としての深刻度を結びつけるのは性急に過ぎる。もっとも、他の条件が比較的似通っている国々をグループとして取り出すなら、そのグループ内での比較を行なうことで対応策と深刻度の相関を見出すことができるかもしれないが、どういうグループをとりだすのがよいのかということ自体が、これから考えなくてはならない問題である(以下では、グルーピングのための一つの仮説を出してみる)。

また、前述のように、コロナ死の掌握度は感染者数に比べればそれほど大きなばらつきはないと考えられるが、それでもやはりかなりのばらつきがあるはずだから、この表の数字を絶対視することはできない。あくまでも大雑把な目安程度に考えるべきだろう(付表では一応4桁で算出してみたが、実際には下の方の桁の数字は実質的意味がないと考えた方が無難だろう)。

さて、この表は深刻度の高い方から低い方の順に並べてあるが、これをどのように分けてみるのがよいだろうか。どこかに明確な断絶があるわけではなく、わりと連続的に並んでいるので判断に迷うが、全部で132の国ないし地域が含まれているので[8]、単純に44カ国ずつ3つの層に分けて、ベルギーからアルジェリアまでを「高位層」、アイスランドからスーダンまでを「中位層」、ラトヴィアからエチオピアまでを「低位層」としてみる。これは機械的かつ便宜的な区切りだが、それぞれの層にどういう国が含まれているかを見ると、興味深い傾向が見られる。

いま世界の国々を、@欧米諸国、A東アジア・東南アジア・豪州諸国、Bロシア・旧ソ連諸国、東欧、バルカン、中東諸国、Cアフリカ、南アジア、ラテンアメリカ諸国と分類すると、@はほとんど全部が高位層に属している(例外はアイスランドだが、これも中位層の一番上)。逆に、Aは大半が低位層に属している(例外はフィリピン、インドネシア、マレーシア)。この両極に挟まれるようにして、Bの多くは中位層に属している(高位だったり低位だったりする国もいくつかあるが、その数はあまり多くない)。そしてCはどこかの層に集中しているということはなく、高位・中位・低位にランダムに分散している。これをどう考えるべきか分からないが、Cのうちには最近になって急速に感染が広がっている国がかなりあり、そうした国は早い時期から感染が広がっていた諸国とはフェイズが違うのかもしれない。また統計的掌握度のばらつきが特に大きいのではないかとも思われる。今後、もう少しフェイズが進み、また統計的掌握度が上がれば何らかの傾向性が見えてくるかもしれないが、現段階ではそういうことは言えない。そこで、以下ではCを対象から除外して、@ABのみについて検討してみる。

まず目につくのは@とAの鮮明なコントラストである。欧米でコロナ死が多く、アジアでは比較的少ないということはこれまでも指摘されてきたことだが、これに高齢化率を加味して考えても、欧米で深刻度が高く東アジア・東南アジア・豪州で低いという対比は変わらないということになる。どうして欧米とアジアでこんなに大きな差異があるのかについては、さまざまな仮説が出されている(ウィルスの型の変異、BCG、生活習慣、白血球の型、遺伝子の型、過去に類似のウィルスに感染したときにできた免疫の効果等々)。この問題についてはまだ結論が出ていないが、とにかく現に差異が非常に顕著である以上、理由はともあれこうした差異があるということは事実として確認しないわけにはいかないだろう。次に、Bの諸国は地理的に欧米とアジアの中間に位置し、深刻度も大まかにいうと中程度であるのが注目される。一体これは何を意味するのだろうか。もし欧米と東アジア・東南アジア・豪州の差異を規定する要因がきちんと探り出されるなら、その要因がBの諸国ではどのようになっているかも明らかになることが期待される。Bが地理的にも深刻度でも@とAの中間だというのは単なる偶然なのか、それとも何らかの要因が@>B>Aの順で作用していることのあらわれなのか。結論を出すのはまだ早いが、とにかく興味深い問題である。

以下、@ABのそれぞれについて、グループ内での相対比較を考えてみる。まず、@(欧米諸国)というグルーピングの中での相対比較をみると、ベルギー、スペイン、イギリス、イタリアが深刻度が高く、ドイツ、オーストリア、ノルウェーあたりが相対的に深刻度が低い。これは一般的にいだかれている常識的直感とほぼ合致するが、イタリアがトップスリーに入っていないのはやや意外の感を与える。これはイタリアの高齢化率が高いことと関係する。イタリアの死亡率はイギリスよりも高いが、高齢化率を加味すると逆転するということになる。ドイツは死亡率が欧米の中で相対的に低いだけでなく、高齢化率の高さを加味して考えると、更に一層深刻度が低いという評価になる。ベルギー、スペインの高さとドイツ、オーストリアの低さはどういう要因によって説明されるのかは興味深い問題であり、おそらく今後検討が積み重ねられるだろう。

欧米諸国の中で特異な政策をとっているスウェーデンはどうかというと、かなり高い部類に属する。もっとも、高齢化率が高いので、その点を加味するとやや深刻度が下がる(死亡率では第6位、高齢化率を加味すると第9位)。わりと高めである点を重視するか、それとも比較的緩い政策にもかかわらず極度に高くはない点を重視するかは微妙である。前者の観点に立つならスウェーデンの政策は失敗だったという評価が示唆されるが、後者の観点に立つならそうはいえない。この問題をめぐっては今後も議論が続くことだろう。

Aは後回しについて、Bについて簡単に考えてみる。ここにはいろんな国が含まれるが、大まかにいって欧米とアジアの中間の位置にある(地理的にも、深刻度の面でも)ということは前述したとおり。こういう国々を一括して一つのグループと考えてよいかどうかも疑問の余地があるといえばある。ただ、Cが高位・中位・低位に幅広く分散していて何の傾向性もないのに比べればBは中位に集まる傾向があるという意味では、やはり何らかの理由で類似性があるのではないかという推測ができそうである。

このグループのうちのロシアは、急激に感染者数が増大してきたわりには死者数が少ないことが人々の注目を引いており、死者を隠しているのではないかといった推測も提起されている。その可能性がないと言い切ることはできず、ある程度の過小評価になっている可能性はあるだろう。ただ、掌握が万全でないというのは他国についても言えることだし、目に見える死者というものを完全に隠しきることには限界があるので、その度合いをあまり誇大に見るのも問題ではないかという気がする。ロシアの死者が「異様に少ない」と映るのは欧米諸国と対比しての話であって、世界的にいえばそれほど少ないわけではない。付表におけるロシアの深刻度は58位(死亡率では59位)であって、全体からみれば比較的高い方である。またロシア・旧ソ連諸国および東欧諸国というくくりでいえば、ロシアは大まかに中間的な位置を占めている。そう考えるなら、細かい意味での正確性はさておいて、大まかな傾向としてはこの程度の位置にあるのは驚くに値しないように思われる。

さて、日本を含む東アジア・東南アジア・豪州諸国(Aグループ)について検討してみよう。先に指摘したようにフィリピン、インドネシア、マレーシアを例外として、このグループの大半が低位層に含まれている。このように、グループ全体として深刻度が低いというのが最も顕著な特徴であることを最初に確認しておく。

その上で、このグループ内で相対的に深刻度が高い国としては、先ずいま触れたフィリピン、インドネシア、マレーシアがあり、それに続くのがシンガポール、韓国、中国ということになる。これらはどれも高齢化率が低い(特にフィリピン、インドネシア、マレーシア)ので、そのことが死亡率のわりに深刻度指標を高いものにしていると考えられる。逆に、日本の深刻度がこれらよりも低いのは高齢化率が高いせいであり、死亡率で見ると日本の方が韓国・中国・シンガポール・インドネシア・マレーシアよりも高い。そういった相対的差異はあるが、大まかにいえばシンガポール・韓国・中国・日本はそれほど大きくは違っておらず、だいたい同じくらいということもできる。これはある意味で驚くべきことかもしれない。これら諸国は状況も対策も大きく異なっているが、それでも結果的な深刻度はそれほど大きく隔たってはいないということになる。

このことから、対策の差異は結果にあまり影響しないという結論を短絡に出すことはできない。結果には対策以外の無数の要因が作用していることはいうまでもない。また一口に対策といっても、そこには多様な要素が含まれる。よく取り上げられるPCR検査実施度はそのうちの一つに過ぎず、それ以外にも、感染者隔離施設の準備度、病床数、CTスキャン実施度、人工呼吸器の数、その他多数の要因が複合的に作用しているだろう。そして、ある国の対策があらゆる面で優れているとか劣っているとかいうことはあまりなく、それぞれの国ごとに「ここは強いが、ここは弱い」といった凹凸があるのではないか。だとすれば、それぞれの国の持つ強みと弱みが相殺し合っているということも考えられる。日本ではややもすれば韓国との優劣を過剰に意識して、「韓国を真似るべきだ」派と「韓国はまるでダメだ」派という対抗図式が前面に出やすいが、どの国もそれぞれに「真似るべき点」と「真似るべきでない点」「真似たくても真似られない点」等々を持っているはずではないだろうか。

Aグループ内の相対比較で深刻度が明確に低いのは香港と台湾である。台湾の状況の良好さはよく報道されるところだが、その要因がどこにあるのかは、今後丁寧な検証が必要とされるだろう。

ニュージーランドとオーストラリアも深刻度が低い方に属する。もっとも、欧米に比べるなら「圧倒的に低い」と見なされる両国も、「東アジア・東南アジア・豪州」というくくりで見れば、その中では中程度であり、香港や台湾ほど低いわけではない。そもそも豪州を東アジア・東南アジアとひとまとめにすることが妥当かどうかという疑問もあり得るが、この点も今後の検討課題となるだろう。

最後に、東アジア・東南アジア・豪州諸国はこれまでのところ相対的に良好な部類に属するが、その理由はまだ判然としておらず、対応策が相当異なる国々を含んでいる以上、対応策が優れているからだと考えることはできない。ひょっとしたら、現状の良好さは単なる僥倖のおかげかもしれない。だとしたら、現状に満足して「我が国はうまくやっている」という自己過信に浸るならば、来たるべき次の波では手痛いしっぺ返しを食らうかもしれない。その可能性がどのくらいあるかは分からず、そうであってほしくないという願望をいだくのは当然だが、「ひょっとしたらそうなってしまうかもしれない」という可能性だけは念頭においておくべきではないかと思われる。

 

 以上の試論は非常に雑なものであり、しかも明確な結論をもたらすのではなく、今後検証されるべき論点をいくつか提示したにとどまる。その意味で本稿は大した意義を持つものではないということを私自身よく自覚している。ただ、冒頭にも触れたように、この程度の基礎的データさえも確かめることなしに「外国はこうだが、日本はこうだ」とか「世界の中で日本だけが」といった議論が今なお横行している現状では、せめてこの程度のことだけでも押さえておいた方がよいのではないかと考えたのが本稿執筆の動機である。あらゆる意味で穴だらけの試論であり、自分でもこれに固執する気はないが、とにかく今後の議論のための捨て石になるなら幸いである。

2020521-24日)

 

【追記】注6で名を挙げた片岡幹雄氏は私の分析方法の弱点を事前に指摘してくれていたが、私はその指摘を咀嚼しかねたまま最初のヴァージョンをホームページ上にアップロードし、フェイスブックにも紹介した。フェイスブック上では上垣彰、鳥飼将雅の両氏が批判的コメントを寄せてくれた。これら3氏のコメントは少しずつ趣旨を異にするが、私の分析手法の危うさを衝く点で共通している。もともと私はこの方面の素人だということを自認しており、それほど大胆な主張をするつもりはなく、本文でも結論めいたことはあまり書かず、「とりあえずこういったことについて今後検討してもよいのではないか」といった問題提起に主眼を置いていた。その限りでは、こうした批判を受けるのは想定内のことであり、それ自体として驚くべきことではない。問題はそれがどの程度深刻であり、行論にどの程度の修正を迫るかという点である。

私の当初の想定は、死亡率と高齢化率を組み合わせて「深刻化度の指標」のようなものをつくれるのではないかという点にあり、それを付表でいうA/Bであらわしていた。もちろん、これは敢えて過度の単純化を冒したものだということは自分でも意識しており、付表の数字それ自体はあまり実質的意味を持たないかもしれないと書いていたが、それでもごく大まかな傾向は捉えられるのではないと考えていた。しかし、数量的分析に通じた人の目から見ると、少なくともこのままでは「ごく大まかな傾向」さえも捉えられるかどうか疑わしいということらしい。そこで、手堅さを欠く仮説を取り除いた場合にどの程度議論が変わるかを検証するため、新たに付表2と付表3をつくってみた。最初の表がA/Bを重視し、その高い方から順に並べていたのを改めて、A/Bの欄を削除して、その代わりに死亡率の高い方から順に並べたものが付表2であり、それを若干簡略化したのが付表3である。

付表2を当初の付表と比べるなら、当然ながらあれこれの国の順位が上がったり下がったりしているが、本文で@ABCと名付けた各グループがおよそどの辺に位置しているかについては、それほど大きく違ってはいない。付表3は現時点で明確な特徴づけのできにくいCを除いて@ABのみを抜き出したものだが、これを見ると、@が高くて、Aが低く、Bがその中間(但し、Bの一部は低位にまで分散している)という趨勢は明瞭である。ということで、大胆すぎる仮説に基づいた当初の付表の代わりに、より無難な付表23を主たる素材として考えても、各グループに関する大まかな特徴づけはそれほど大きくは変わらないようである(なお、当初の原稿執筆後の動向を見ると、ラテンアメリカ諸国で急速に感染が広がり、死者数も増えているので、Cのうちのラテンアメリカについては@同様、高位グループに入るというまとめ方ができるのかもしれない。アフリカについては依然として不明である〕。また、「深刻化度」を死亡率と高齢化率の組み合わせで測るという思いつきは本文のあちこちで触れたとはいえ、実質的にはそれほど決定的な役割を果たしていたわけではない。高齢化率への言及が大きな位置を占めていた個所はスウェーデンについての記述と東アジア諸国の比較に関する部分くらいである[9]。この2個所については論の立て方をある程度修正する必要があるだろうが、それにしても、それぞれに関して「今後、こういう点を検討する必要があるのではないか」という問題提起をしたこと自体は、いまでも有意味と思える。

こういう風に考えるなら、本稿に手堅さを欠く部分があったのは確かだとして、そうした「勇み足」を除去しても本文の大筋はあまり変更を要しないのではないかというのが現時点での暫定的感触である。最初から「一介の素人による初歩的な問題提起」と銘打っていた小文である以上、私としては一石を投じることができただけで満足であり、これから先は、もっとふさわしい人たちによって議論が深められることを期待したい。

202061日)

付表(後の方に付表2と付表3が続く)

国名

A:
人口100万人あたりの死亡者数(2020519日)

B:
2018
年における高齢化率(%)

A/B

ベルギー

786

18.79

4183

スペイン

593

19.38

3060

イギリス

513

18.4

2788

イタリア

529

22.75

2325

アイルランド

314

13.87

2264

エクアドル

159

7.16

2221

フランス

433

20.03

2162

アラブ首長国連邦

23

1.09

2110

スウェーデン

371

20.1

1846

アメリカ合衆国

278

15.81

1758

オランダ

334

19.2

1740

イラン

85

6.18

1375

ルクセンブルク

171

14.18

1206

スイス

218

18.62

1171

クウェート

28

2.55

1098

ペルー

85

8.09

1051

カナダ

155

17.23

899.6

ブラジル

79

8.92

885.7

パナマ

65

8.1

802.5

トルコ

50

8.48

589.6

メキシコ

41

7.22

567.9

ドミニカ共和国

40

7.08

565

ポルトガル

122

21.95

555.8

デンマーク

95

19.81

479.6

モルドヴァ

54

11.47

470.8

ドイツ

97

21.46

452

北マケドニア

51

13.67

373.1

オーストリア

70

19

368.4

カタール

5

1.37

365

ホンジュラス

15

4.69

319.8

ルーマニア

58

18.34

316.2

バーレーン

7

2.43

288.1

サウジアラビア

9

3.31

271.9

イスラエル

32

11.98

267.1

スロヴェニア

50

19.61

255

ノルウェー

43

17.05

252.2

ハンガリー

48

19.16

250.6

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ

41

16.47

248.9

フィンランド

54

21.72

248.6

エストニア

48

19.63

244.5

チリ

25

11.53

216.8

オマーン

5

2.39

209.2

ボリビア

15

7.19

208.6

アルジェリア

13

6.36

204.4

アイスランド

29

14.8

195.9

アルメニア

22

11.25

195.6

アフガニスタン

5

2.58

193.8

カメルーン

5

2.73

183.1

フィリピン

8

5.12

156.3

チェコ

28

19.42

144.2

ポーランド

25

17.52

142.7

セルビア

26

18.35

141.7

コロンビア

12

8.48

141.5

ガボン

5

3.56

140.4

ソマリア

4

2.87

139.4

シエラレオネ

4

2.97

134.7

タジキスタン

4

3.02

132.4

ロシア

19

14.67

129.5

ベラルーシ

19

14.85

127.9

チャド

3

2.48

121

マリ

3

2.51

119.5

エジプト

6

5.23

114.7

クロアチア

23

20.45

112.4

コンゴ共和国

3

2.68

119.4

リトアニア

22

19.71

111.6

キプロス

14

13.72

102

南アフリカ

5

5.32

93.99

モンテネグロ

14

14.97

93.52

パキスタン

4

4.31

92.81

イラク

3

3.32

90.36

ブルキナファソ

2

2.41

82.99

アルバニア

11

13.74

80.06

ウクライナ

13

16.43

79.12

ニジェール

2

2.6

76.92

ブルガリア

16

21.02

76.12

ギリシャ

16

21.66

73.87

アルゼンチン

8

11.12

71.94

モロッコ

5

7.01

71.32

ギニアビサウ

2

2.82

70.92

モーリシャス

8

11.47

69.74

マルタ

14

20.35

68.8

インドネシア

4

5.86

68.26

セネガル

2

3.09

64.72

アゼルバイジャン

4

6.2

64.52

エルサルバドル

5

8.29

60.31

マレーシア

4

6.67

59.97

レバノン

4

7

57.14

スーダン

2

3.58

55.87

ラトヴィア

11

20.04

54.89

チュニジア

4

8.32

48.08

キューバ

7

15.19

46.08

キルギス

2

4.49

44.54

グアテマラ

2

4.81

41.58

ウルグアイ

6

14.81

40.51

ハイチ

2

4.95

40.4

バングラデシュ

2

5.16

38.76

ケニア

0.9

2.34

38.46

コートジボワール

1

2.86

34.97

シンガポール

4

11.46

34.9

トーゴ

1

2.87

34.84

韓国

5

14.42

34.67

ギニア

1

2.93

34.13

ジャマイカ

3

8.8

34.09

ナイジェリア

0.9

2.75

32.72

ガーナ

1

3.07

32.57

インド

2

6.18

32.36

スロヴァキア

5

15.63

31.99

パラグアイ

2

6.43

31.1

スリナム

2

6.91

28.94

中国

3

10.92

27.47

カザフスタン

2

7.39

27.06

ニュージーランド

4

15.65

25.56

オーストラリア

4

15.66

25.54

ヨルダン

0.9

3.85

23.38

コンゴ民主共和国

0.7

3.02

23.18

日本

6

27.58

21.75

コスタリカ

2

9.55

20.94

サカルトヴェロ(グルジア/ジョージア)

3

14.87

20.17

ザンビア

0.4

2.1

19.05

タンザニア

0.4

2.6

15.38

パレスチナ

0.4

3.13

12.78

南スーダン

0.4

3.4

11.76

リビア

0.4

4.39

9.111

ウズベキスタン

0.4

4.42

9.05

タイ

0.8

11.9

6.723

ヴェネズエラ

0.4

7.27

5.502

スリランカ

0.4

10.47

3.82

香港

0.5

16.88

2.962

マダガスカル

0.07

2.99

2.341

台湾

0.3

14.56

2.06

ネパール

0.07

5.73

1.221

エチオピア

0.04

3.5

1.143

典拠

A欄:

https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries

B欄:

https://www.globalnote.jp/post-3770.html?fbclid=IwAR3Q5gmH2xzbCTkYkU6OeAD7_HkSTk99e9uN6XQfhiNx-oc5KeAT5jlhnhM

付表2

国名

A:
人口100万人あたりの死亡率(519日)

B:
2018
年における高齢化率(%)

ベルギー

786

18.79

 

スペイン

593

19.38

 

イタリア

529

22.75

 

イギリス

513

18.4

 

フランス

433

20.03

 

スウェーデン

371

20.1

 

オランダ

334

19.2

 

アイルランド

314

13.87

 

アメリカ合衆国

278

15.81

 

スイス

218

18.62

 

ルクセンブルク

171

14.18

 

エクアドル

159

7.16

 

カナダ

155

17.23

 

ポルトガル

122

21.95

 

ドイツ

97

21.46

 

デンマーク

95

19.81

 

イラン

85

6.18

 

ペルー

85

8.09

 

ブラジル

79

8.92

 

オーストリア

70

19

 

パナマ

65

8.1

 

ルーマニア

58

18.34

 

モルドヴァ

54

11.47

 

フィンランド

54

21.72

 

北マケドニア

51

13.67

 

トルコ

50

8.48

 

スロヴェニア

50

19.61

 

ハンガリー

48

19.16

 

エストニア

48

19.63

 

ノルウェー

43

17.05

 

メキシコ

41

7.22

 

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ

41

16.47

 

ドミニカ共和国

40

7.08

 

イスラエル

32

11.98

 

アイスランド

29

14.8

 

クウェート

28

2.55

 

チェコ

28

19.42

 

セルビア

26

18.35

 

チリ

25

11.53

 

ポーランド

25

17.52

 

アラブ首長国連邦

23

1.09

 

クロアチア

23

20.45

 

アルメニア

22

11.25

 

リトアニア

22

19.71

 

ロシア

19

14.67

 

ベラルーシ

19

14.85

 

ブルガリア

16

21.02

 

ギリシャ

16

21.66

 

ホンジュラス

15

4.69

 

ボリビア

15

7.19

 

キプロス

14

13.72

 

モンテネグロ

14

14.97

 

マルタ

14

20.35

 

アルジェリア

13

6.36

 

ウクライナ

13

16.43

 

コロンビア

12

8.48

 

アルバニア

11

13.74

 

ラトヴィア

11

20.04

 

サウジアラビア

9

3.31

 

フィリピン

8

5.12

 

アルゼンチン

8

11.12

 

モーリシャス

8

11.47

 

バーレーン

7

2.43

 

キューバ

7

15.19

 

エジプト

6

5.23

 

ウルグアイ

6

14.81

 

日本

6

27.58

 

カタール

5

1.37

 

オマーン

5

2.39

 

アフガニスタン

5

2.58

 

カメルーン

5

2.73

 

ガボン

5

3.56

 

南アフリカ

5

5.32

 

モロッコ

5

7.01

 

エルサルバドル

5

8.29

 

韓国

5

14.42

 

スロヴァキア

5

15.63

 

ソマリア

4

2.87

 

シエラレオネ

4

2.97

 

タジキスタン

4

3.02

 

パキスタン

4

4.31

 

インドネシア

4

5.86

 

アゼルバイジャン

4

6.2

 

マレーシア

4

6.67

 

レバノン

4

7

 

チュニジア

4

8.32

 

シンガポール

4

11.46

 

ニュージーランド

4

15.65

 

オーストラリア

4

15.66

 

チャド

3

2.48

 

マリ

3

2.51

 

 

コンゴ共和国

3

2.68

 

イラク

3

3.32

 

ジャマイカ

3

8.8

 

中国

3

10.92

 

サカルトヴェロ(グルジア/ジョージア)

3

14.87

 

ブルキナファソ

2

2.41

 

ニジェール

2

2.6

 

ギニアビサウ

2

2.82

 

セネガル

2

3.09

 

スーダン

2

3.58

 

キルギス

2

4.49

 

グアテマラ

2

4.81

 

ハイチ

2

4.95

 

バングラデシュ

2

5.16

 

インド

2

6.18

 

パラグアイ

2

6.43

 

スリナム

2

6.91

 

カザフスタン

2

7.39

 

コスタリカ

2

9.55

 

コートジボワール

1

2.86

 

トーゴ

1

2.87

 

ギニア

1

2.93

 

ガーナ

1

3.07

 

ケニア

0.9

2.34

 

ナイジェリア

0.9

2.75

 

ヨルダン

0.9

3.85

 

タイ

0.8

11.9

 

コンゴ民主共和国

0.7

3.02

 

香港

0.5

16.88

 

ザンビア

0.4

2.1

 

タンザニア

0.4

2.6

 

パレスチナ

0.4

3.13

 

南スーダン

0.4

3.4

 

リビア

0.4

4.39

 

ウズベキスタン

0.4

4.42

 

ヴェネズエラ

0.4

7.27

 

スリランカ

0.4

10.47

 

台湾

0.3

14.56

 

マダガスカル

0.07

2.99

 

ネパール

0.07

5.73

 

エチオピア

0.04

3.5

 

 

典拠は最初の付表と同じ。

 

 

付表3

国名

A:
人口100万人あたりの死亡率(519日)

B:
2018
年における高齢化率(%)

ベルギー

786

18.79

スペイン

593

19.38

イタリア

529

22.75

イギリス

513

18.4

フランス

433

20.03

スウェーデン

371

20.1

オランダ

334

19.2

アイルランド

314

13.87

アメリカ合衆国

278

15.81

スイス

218

18.62

ルクセンブルク

171

14.18

カナダ

155

17.23

ポルトガル

122

21.95

ドイツ

97

21.46

デンマーク

95

19.81

イラン

85

6.18

オーストリア

70

19

ルーマニア

58

18.34

モルドヴァ

54

11.47

フィンランド

54

21.72

北マケドニア

51

13.67

トルコ

50

8.48

スロヴェニア

50

19.61

ハンガリー

48

19.16

エストニア

48

19.63

ノルウェー

43

17.05

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ

41

16.47

イスラエル

32

11.98

アイスランド

29

14.8

クウェート

28

2.55

チェコ

28

19.42

セルビア

26

18.35

ポーランド

25

17.52

クロアチア

23

20.45

アルメニア

22

11.25

リトアニア

22

19.71

ロシア

19

14.67

ベラルーシ

19

14.85

ブルガリア

16

21.02

ギリシャ

16

21.66

キプロス

14

13.72

モンテネグロ

14

14.97

マルタ

14

20.35

ウクライナ

13

16.43

アルバニア

11

13.74

ラトヴィア

11

20.04

サウジアラビア

9

3.31

フィリピン

8

5.12

日本

6

27.58

韓国

5

14.42

スロヴァキア

5

15.63

タジキスタン

4

3.02

パキスタン

4

4.31

インドネシア

4

5.86

アゼルバイジャン

4

6.2

マレーシア

4

6.67

レバノン

4

7

シンガポール

4

11.46

ニュージーランド

4

15.65

オーストラリア

4

15.66

サカルトヴェロ(グルジア/ジョージア)

3

14.87

キルギス

2

4.49

カザフスタン

2

7.39

ヨルダン

0.9

3.85

タイ

0.8

11.9

香港

0.5

16.88

ウズベキスタン

0.4

4.42

台湾

0.3

14.56

2をもとに簡略化

 



[1] この改訂版では本文の末尾に「追記」を書き足し、新たに「付表2」および「付表3」を付け加えたが、本文自体には一切修正を加えていない(2020年6月)。

[2] 超過死亡はコロナを原因とする以外の死亡を含むから、その全体を「コロナ死」と見なすことはできない。もっとも、通常なら助かるはずの病人が医療崩壊のせいで死んだとか、経済の落ち込みの結果としての自殺(今のところはまだ増えていないが、今後の増大が危惧される)なども広義の「コロナ関連死」と考えることができるから、それらを含んだ統計にはそれなりの意味があるだろう。

[3] 最近接した情報によれば、日本における超過死亡が異常に高いという説があるようだ。もしこれが正しいのなら、重要な情報ということになる。しかし、今のところその詳細は不明であり、他国における超過死亡との比較も明らかでない。

[4] 感染者数統計を無視してよいのかという疑問は当然ありうる。それぞれの国でほぼ一貫した方針で検査が行なわれているなら、当該国での時系列変化はもちろん有用性の高い情報である(検査方針が途中で変わることもあるから、留保付きだが)。しかし、多数の国を比較する際には、やはり感染者数の掌握度はばらつきが大きすぎると想定されるので、死亡データに絞ったほうが分かりやすいのではないかというのが本稿の想定である。もちろん、あくまでも粗い仮説なので、これに固執する気はない。

[5] ついでの余談だが、日本各地の感染者数情報も絶対数だけを伝えることが多く、それぞれの地域の人口中の比率を伝えることは滅多にない。これも困ったことだという気がする。

[6] 片岡氏は付表のA欄およびB欄の典拠を教えてくれたほか、種々のアドヴァイスも寄せてくれたが、半世紀以上前に数学や統計の世界に別れを告げた私はそのアドヴァイスを十分に咀嚼できてはいない。同氏の情報提供に謝意を表すると同時に、本稿の中にありうべき欠点は私だけの責任だということを断わっておく。

[7] 「死亡率」という言葉は感染者中の死者の比率を指して使うことが多いようだが、本稿ではそうではなく人口100万人あたりの死者数を指すことにする。

[8] データのそろわない国や人口がごく小さい国ないし地域は省略した。

[9] それ以外にイタリアへの言及もあるが、これは私としてはあまり重きをおいていなかった。