メデイアリテラシーを育むことを主体としたラジオ番組制作学習の実践

 

この授業は、中学2年生の選択技術という授業の模様です。

技術科という教科は、現代の実生活を省みて、実践的な態度を育成することを主眼としている教科です。これまでは、パソコン操作を中止にして、情報教育を行なってきました。けれど、携帯や家庭でのインターネット端末の普及によって、もっと早急に子ども達に身につけさせる力を感じ始めておりました。

 

1.IT教育の中心はメデイア教育へ

これまでIT教育の中心と言うと、PC機器の操作法習得がメインでした。小中学校のPC整備が完了した現在、IT教育は、操作法からメデイアの受け手・送り手としての在り方に主眼が映ってきているように思います。

 運悪く、イラクで、捕虜となってしまった日本人3人の方がニュースで流れた時、インターネット上では、3人の方の中傷が一つの掲示板サイトから発信されました。それ以来、世論は、この3人の方々への批判に傾いていった点は、現在の日本の状況を端的に物語っていると言えるでしょう。ネット上での一つの考え方や視点が、大衆一般の考えと受け取られる怖さがここにあります。この点は、拉致被害者全員の家族を帰国させることができなかった首相に対し、拉致被害者家族会が抗議をしたときのニュースでも同じ現象が見られました。ネット上の掲示板に「首相に感謝の念をひとつも言わない家族会への批判」が書き込まれると、それに対し世論が一斉になびいてしまったのです。文字通りマス(大衆)メデイアの怖さがここにあります。ITの普及により、この現象はますます起こり易い状況を作っているといえるでしょう。だから今、世界各国で、メデイアの光と陰についての教育カリキュラムが作られ、子ども達に教育され始めています。

 

2.日本の子どもの現状

それでは、今の日本の子ども達の現状はどうでしょう?子ども達は今、情報に対してあまりにも受動的な生活を送っていると言っていいと思います。情報とは、双方向的なものが基本であるにも関わらず、子ども達の情報は一方向的になる場合が多いのです。コンピュータゲームを始め、テレビやインターネットでさえ、何の疑問も持たずに、その情報を鵜呑みにし、情報の送り手の思うが侭に行動を起こしてしまう恐れを痛切に感じるようになりました。

メデイア教育について、日本ではカリキュラムはありません。その必要性を感じる教師に委ねられているといってもよいでしょう。私は、情報の送り手になる経験を積ませることを通して、良き情報の受け手になるのだと思っております。

 

3.中学生にラジオ番組を!

上述してきたような考えを強く抱いたのが昨年の暮れあたりでした。ふとS市の商店街を歩いていますと、スピーカーから流れてきたのがFMフラワーの番組です。その時に、ラジオ番組を中学生に制作させる活動を通して、メデイアリテラシーを体得できないかと思うようになってのです。

今年度に入って、FMフラワーのHPから、授業への協力についてのお願いのメールを送信致しました。実際にFMフラワーの中心の方々とお会いし、私の主旨を聞いて頂いたところ、全面的に協力をしていただけるということになりました。

 

4.もう一つの意義、“市民性”を育む

 FMフラワーのスタッフの方々との出会いや、わたし自身実際のラジオ番組の収録に参加してみて、メデイアリテラシーとは違う、この学習の意義について、もうひとつ実感しました。それは、仕事を抱えながら街づくりに積極的に参加している若者の姿を通して、中学生たちに、S市民としての市民性を育むことでした。

 中学生は、意外と学校外の人との出会いは多くありません。街づくりに積極的に参加し、自分の時間をそれに費やそうとしている人々との出会いが、きっと自分達の生き方を見つめなおすきっかけにもなると考えたのです。

 

以上のような考え方によって、この学習はスタートしました。

どうぞ、ご質問やご意見など頂戴できれば、幸いです。

 

5.この授業を行なうために提示した資料

 

☆指導計画

教科

選択技術(M中学2年)

人数 40人程度(8グループ程度)

授業内容

 『メデイアはメッセージだ!』

〜情報を発信するメデイアの実体験を通して、メデイアリテラシーを育成する。〜

メデイアリテラシー・・・様々な定義がありますが、本授業では、メデイアから送られてくる情報を、批評的に解読すると共に、みずからも情報発信を行なうことのできる能力と捉えていきます。


 

学習活動

学習内容

5月

メデイアについて理解する

FMフラワーについて理解する

5月

いろいろなラジオ番組を聴いて分析する。

番組の内容・構成・対象・CM・放送するために必要な人(DJ、プロデユーサー、音声、放送作家など)

7

FMフラワーを通して、メデイアを送る

苦労や心がけていることを聞いてみよう

スタッフの方を講師としてお招きして、お話を伺う。

 

夏季休業中

実際にFMフラワーの番組に、出演し、番組作りの実際の模様を体験する。

現在行なっている番組に実際出演してみよう。

 

8月〜11

ラジオ番組を制作してみよう

     街頭調査

     テーマ・題材決め情報の収集(素材探し)

     編集・録音

     FMフラワーへの参加

     街頭アンケート

 

10

学習のまとめ

     メデイアリテラシーの育成についての反省・評価

 

☆その他

     この学習を通して、街づくりについて苦労している方々と出会い、自分達も街づくりに参加しようとする意識も高めたい。

     技術という教科の狭い枠で捉えるのではなく、総合的な学習の色彩で取り組みたい。

     FMフラワーからの学習への協力を依頼していきながら、どこまで協力が可能か検討しながら、できる範囲での学習を進めたい。できるならば、今後このような学習を継続していきたい。

 

☆今後の具体的な展開

 

 7月1日・・・FMフラワー会長のTさんと打ち合わせ(本校 午後6時)

 

 7月14日(水) 

選択授業の時間にFMフラワーのスタッフを招いて、FMフラワーが生まれたきっかけや、ラジオ番組作りのノウハウを窺う。

 

夏季休業中(7月末〜8月上旬)

代表の生徒が、実際にラジオ番組に出演してみる。

 

 2学期からは、実際にラジオ番組の制作・収録を行なっていく。

 

     収録は、夜8時ころになるかもしれないという問題点。

保護者へ文書を渡し、了解を得る。

     ※派遣申請先と所属長をお尋ねする。

 

6.実際に生徒が作った、ラジオの台本例

 

番組台本を作成する

Let‘s Test』

 

MC:( HI )

Mix:ミキサー(A 、Y )

 

00:00

 

 

START

周波数の紹介

「この放送は FMフラワー 周波数 85.0メガヘルツで お送りしています。」

00:30

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

07:30

 

 

 

 

 

11:00

 

 

 

 

 

 

 

18:00

 

 

21:30

 

 

22:00

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

28:00

 

 

30:00

オープニング曲

 

自己紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内容紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このコーナー6

MIX:

おおよそ3

曲を流す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このコーナーは6

BGM○○○

MIX:

コーナー曲は30秒ほど音量を落とし、そのままBGM

 

MIX:

曲おおよそ3

トークに合わせて時間を調節

 

 

エンデイング曲

○○

MIX:

「さよーなら〜」の言葉と共にBGMのボリュウムあげる。そのまま時間まで流し、時間がきたらフェードアウト

(    )

MC、BGMになったところから、Iの最初のあいさつに引き続き、他の二人も元気よく!!

 

「FMフラワーを聞いてくれてる、みなさん、こんにちはー」(I

「こんにちはー。」(HYA

ち:この番組Let‘s Testをお送りするのは、M2年のIと」

は:「Hと」

あ:「Aと」

ゆ:「Yです」

元気よく!!

 

は:「この番組、FMフラワーLet‘s Testはみんなといっしょに、占いや心理テストをして、今日1日を楽しい気分で過ごせるような番組です!」

ち、は、ゆ、あ:「よろしくお願いしまーす」

どういう占いをするかなど、楽しそうにトーク

 

トークに合わせて、時間を調節

ち:「今からお送りする曲は、○○の○○です。どうぞお聞きください。」

曲が終わる30秒前に改めて曲紹介

は:「FMフラワー、Let‘s Test、お聞きいただいた曲は、○○の○○でした。」

 

I:「IのLet‘s占い!」

MC:BGMになったところから、Iがコーナー説明。その後、Iが出す占いをみんなでする。

 

 

 

 

I:「今からお送りする曲は、○○の○○です。どうぞお聞きください。」

曲が終わる30秒前に改めて曲紹介

H:「FMフラワーLet‘s Test お送りした曲は、○○の○○でした。」

 

H:「HのLet‘s○○心理テスト!」

BGMになったところからHがコーナー説明。その後、Hが出す占いをみんなでする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンデイング

このコーナーは2

エンデイングトーク(感想など)

I:「この番組、Let‘s Testをお送りしたのは、Iと」

H:「Hと」

A:「Aと」

Y:「Yでした〜。」

I:「それではみなさん!!!」

全員:「さよーならあ〜」

 

END

 

 

7.マスコミにも多く取り上げられました。その様子や画像については、後ほどアップ致します。

 

 

 


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