ものの名前

アルミ缶とスチール缶   

教科

社会(北九州の鉄冷え)

 

鉄鋼業の不況による、北九州工業地帯の生産の低迷ということを、身近なところから生徒が考えていける材料をと考えて、アルミ缶が増えている状況を追求していけば「鉄冷え」という問題に迫ることができるのではないだろうか。

そこで、私が行った授業では、生徒一人ずつに5個の空き缶を持ってこらせ、1時間の授業でその持ってきた空き缶を見比べさせながら、なぜ、この飲み物ではアルミが使用されているのか、アルミ缶とスチール缶の使われ方の違いは何かを、生徒に自由に発見させていくことを行いました。私自身、多くのHPなどから、たくさんのことを知った、楽しい授業となりました。

    Q.スチール缶とアルミ缶の重量さは?
A.現在、同じ350mlの空き缶で比較すると、当初25g程度あったスチール缶とアルミ缶の重量差は10g程度に縮まってきている。手に持った感覚はほとんど変わりません。生徒達に実際にやってもらうのもよいでしょう。この重量差が縮まることは、輸送上で、アルミ缶の優位をなくすることにつながり、また同じ重量ならスチール缶の方が強度面から考えて逆に優位性を発揮できるなど、鉄鋼メーカーの研究に力を入れているポイントでもあります。

 

    Q.どうしてアルミ缶の缶コーヒーはないの?
A.アルミ缶は、強度が弱いために内部の圧力を高くしておかなくてはなりません。空き缶のアルミ缶はぷかぷかしますよね。だから、炭酸ジュースやビールはほとんどアルミ缶です。同様に非炭酸飲料をアルミ缶に入れるときには、内圧を高めるために窒素ガスを充填するのです。お茶でも缶を開けると「プシュー」と音がするのはそのためです。しかし、コーヒー飲料には「ミルク」が入っています。このミルクが腐敗しやすいため、缶にコーヒーを注入してから7〜10日後に、腐敗ガスが発生しているかどうかを調べるのですが、窒素ガスが充填されていると、腐敗ガスと区別がつかないのだそうです。そのためにコーヒーには、スチール缶が使われているのです。
でも、最近コーヒーのアルミ缶も出てきました。そのコーヒーをよくみるとわかります。ブラック(無糖)なのです。よってミルクはいりません。ブラックコーヒーのヒットが、アルミ缶の需要の増加にも結びついているのです。

 

    ボトル缶の登場は、スチール缶の脅威?
最近見かけるようになったボトル缶。ビールだけでなく、清涼飲料水でも増えています。あの形を、スチールでは加工できないでしょう。ボトル缶が広まることは、スチールにとっては脅威なのかもしれません。

ボトル缶の特徴
・リキャップが可能で、一度あけてもまたフタをすることができる。
・賞味期限が長い
・リサイクル可能な、環境に優しいアルミ缶
・光を遮断し酸素を透過しないので、味や香りが変化しにくい。(ペットボトルとは大違い。)

    Q.では、アルミ缶の特徴は?
A.
@なんといっても、使用後のリサイクル率にすぐれ、省エネルギーに大きく貢献します。アルミニウムは原料のボーキサイトからアルミナを抽出し、これを電気分解して製造されます。このとき多量の電力を消費するので、アルミ缶は電気のかんづめと呼ばれます。それがリサイクルなら、およそ3パーセントのエネルギーで再生できるのです。でも、アルミ缶をアルミ缶に再生するのは少なくて、ほとんどが窓のサッシなどになります。スチール缶もスチール缶に再生されるのは少なくて、建築現場の鉄骨に使われます。リサイクル率が高いのも大切ですが、再利用の用途もこれからは大切です。なるべく質を下げずに、同じものに再生できることが望ましいのです。CAN TO CANなんていう運動もあります。
Aやっぱり軽いこと。軽いならば、輸送コストを軽減できます。でも、スチールの研究開発も進んでいることは上述しました。
B錆びない。このためさび止めのコーテイングをしなくても飲料の風味を長期間損ねません。
C熱伝導率に優れていること。早く冷やすことができます。
D加工しやすいこと。ボトル缶の登場もこのためです。

  

    Q.スチール缶の特徴は?
A.
@外部からの衝撃に強い。
A日本のスチール缶のリサイクル率は世界的にみてもトップクラス。
Bどんな内容物にも応えられる性能をもち、内容物を選びません。
C鉄の埋蔵量が、他の金属に比べて圧倒的に多く、安定供給を可能にしています。よってコストも安定しているのです。

 

    Q.アメリカでは何故、アルミ缶しか使わないの?
A.アメリカは、日本よりも安い電気料金であることが要因です。アルミ缶は、電気をたくさんつかうことは、上述しました。しかし、日本では電気料金を考えると、スチール缶の方が安く作れます。

 

    スチール缶ビール協賛店一覧
北九州市を中心に、スチール缶のビールを置いている店舗の一覧です。北九州工業(新日鉄八幡製鉄所が呼びかけているようです。八幡製鉄所で働く人々も多い土地柄ゆえでしょう。)
http://www.yawata.nsc.co.jp


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