木星は地球のように反時計回りに回転しますが、木星の地磁気 地球の地磁気の反対です。さらに、オーロラは木星の北極域にのみ現れることがあります。 磁力線を考慮すると、磁力線は 北極地域と南極地域には相違はないはずです。これは、 荷電粒子が磁力線に捉えられて、荷電粒子が磁力線に沿って移動するという説に誤りがあります。 最初に設定した磁力は回転型の作用ですが、磁力線には反作用を受けません。磁気は移動する荷電粒子によって発生し他の移動する荷電粒子に作用します。 2.2節で述べたように平行に運動する荷電粒子間には磁気結合があって、並走する荷電粒子群はは磁気的エネルギーが低くなります。木星の外側を磁気的結合によって次々と累加的に連結することよって ドーナッツのように木星を周回する荷電粒子群の存在によって木星の磁気が説明できます。図2.4.1に示すように木星では北極だけにオーロラが出現することがあります。 。木星のオーロラを発生するイオンは太陽風の荷電粒子が衝突して生成され、木星の赤道面の方向に磁気的結合があります。そこで、荷電粒子が衝突すれば運動の方向が様々に変えられて、荷電粒子には赤道領域から極域に向かう流れが発生します。 その荷電粒子がオーロラを発生します。南半球では大赤斑があり、荷電粒子が南極域に向かう荷電粒子群の流れが抑制されます。
図2.4.1 木星の北極に発生するオーロラ
Origin of this CG: 0fa9a8f4-s.jpg (600×360) (yukawanet.com)
木星の地磁気の方向は地球の地磁気の方向は 木星の地磁気の方向が反対です。図24.2と図2.4.3に示す木星の地磁気を担う主要な荷電粒子の移動する位置が地球と相違することで説明できます。
図2.4.2に示すように木星の内部には 中心に高密度の中心核があり、 そのまわりを液状の金属水素の層が覆い、その液体金属水素の層が囲んでいます。
この層の荷電粒子が木星の自転ととも回転しています。 木星を囲む領域で運動する荷電粒子は木星内部荷電粒子群の運動と並行に運動します。木星では図2.4.3
に示すように内部を移動する荷電粒子が主になります。ところが、地磁気を担う主要な荷電粒子の移動する位置が相違することで説明できます。図2.4.2に示すように、星の地磁気は木星内部の厚い液体金属状態の荷電粒子の運動によって発生していると考えられます。そこで、地磁気の極性が地球と反対である原因は図2.2.2と図2.4.2に示すように
地磁気を担う主要な荷電粒子の移動する位置が相違することで説明できます。
図2.4.2 木星の内部構造 図2.4.3 木星の地磁気
図2.4.1に示す木星の北極のオーロラの輝点は、図2.4.4に示すように木星からの公転軌道がイオ、エウロパ、ガニメデという順序が遠くなるのに対応して、オーロラの輝点が低緯度から高緯度の位置に存在します。 木星のガリレオ衛星には衛星自身の地磁気はなく、大気が希薄です。そこで、磁気圏に取り込まれた荷電粒子がガリレオ衛星をスパッタして荷電粒子を生成し、それら荷電粒子が磁気圏をドリフトしてオーロラを発生しています。 なお、ガリレオ衛星の自転と公転が一致していますが、その原因としてはガリレオ衛星が木星の重力の影響のもとで成長したか、あるいはスパッタリングによる変形の影響が考えられます。
図2.4.5は 木星の自転による磁気圏の回転を介したイオプラズマトーラスの回転が高速の追い風となりイオの大気の電離とプラズマの流を発生する様子を示しています。F.
Tsuchiya,等は惑星観測用宇宙望遠鏡「ひさき」を用いてイオのプラズマトーラスの硫化物イオンの極端紫外線の発光がイオの下流で強くなることを明らかにしました[1]。
[1] Journal of Geophysical Research Space Physics: Local electron heating in
the Io plasma torus associated with Io from HISAKI satellite observation
https://doi.org/10.1002/2015JA021420 。
表2.4.1 木星の磁気圏と共に運動するH+に衝突する現象の物理量
公転半径 | 公転周期 | 周回速度 | 速度差 | 衝突のエネルギー | |
イオの公転 | 4.217x105 km | 1.77日 | 17.3 km/sec | ||
木星の地磁気 | イオの位置 | 0.4135日 | 74..1 km/sec | 56.8 km/sec | 16.8eV |
イオは木星を中心とした半径4.217x105 kmの公転軌道を1.77日で周回しています。他方、木星の地磁気は木星の自転と同じ周期の0.4135日で回転しています。ここで、地磁気に取り込まれたH+がイオに衝突してイオンを放出する可能性を確認するためにその衝突の運動エネルギーを求めて表2.4.1に示します。 その結果、掃引するH+の運動エネルギーの大きさはイオンを発生することができるのに充分な値です。(last
modified April 1, 2023)
図2.4.5 木星のガリレオ衛星から放出されてドーナッツ形に木星を周回す荷電粒子群
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