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第4章 太陽風が惑星及び衛星の及ぼす影響

4.1 地球の上空の大気と太陽風の衝突が及ぼす現象

  太陽から毎秒109ものH+が太陽から放射されています。 このH+の流れが太陽風です。太陽風の速さは地球の公転軌道に達するとき約300~900 km/sです。地上の大気の分子の平均自由行程が地表ではマイクロメートルであり、太陽風が地表に到達することはありません。 しかし、地球は地磁気によって太陽風から守られているという説明がありますが、 運動する荷電粒子の物理的な相互作用は磁力線ではなく荷電粒子の持つベクトルポテンシャル(A>が担っています。 磁力線は磁気的な作用の方向を示すもので磁力線は相互作用が出来ません。
点電荷の運動成分が点電荷の運動にエネルギーを与えるベクトルポテンシャル(A)考えて、A と磁束密度(B )の関係を(1)式で定義しています。
              B = rot A           (1)
ここで、(rot)の意味は微小面積の周りを周回方向のべクトル(A)を一周して加え合わせる操作で、積分形で表現すれば点電流の場(A)を加え合わせると その点電流の場(A)が 囲む面積を貫く磁束(Φ)が与えられます
 アハラノフボーム効果(Aharonov–Bohm effect)により、 量子力学では運動する荷電粒子が物理的に相互作用するのは磁力線ではなくベクトルポテンシャルの作用を受けます。 電子のような電荷を持つ粒子が、空間の電磁場のないソレノイドの外側において電磁ポテンシャルの影響を受けることが外村彰博士によって電子線ホログラフィー顕微鏡で証明しております。
  運動する荷電粒子が物理的に相互作用するのは磁力線ではなくベクトルポテンシャルの作用を受けます。高速荷電粒子はべクトルポテンシャルを伴っていて、電流と同じ作用をします。平行電流には磁気的結合力があるように、並走する荷電粒子間には磁気的結合があり、 並走すると荷電粒子群は磁気的に低いエネルギー状態になります。そこで、太陽風はイオン状態で太陽系の端てまで到達します。
   太陽風のH+は地球の上空の原子や分子に衝突するとそれらの粒子を電離して荷電粒子の流れを発生します。 高速で質量を持っているので大きな運動量をもっています。図10に示すように、月の周回探査機「かぐや」が月とともに図のシャドウ部分を横切る場合にのみ、高エネルギーの酸素(O+)が観測されるという報告があります。
 
図10 月の周回探査機「かぐや」が図のシャドウ部分を横切る場合にのみ、高エネルギーの酸素(O+)が観測。

4.2 太陽風による地球上空のイオンと磁気的結合

  太陽風のH+は電子の1836倍の質量を持っていて大きな運動量をもっており、 地球の上空の原子や分子に衝突するとそれらの粒子の運動を変えます。太陽風のH+が大気の分子や原子と衝突する際に持っていた運動量を上空のイオンや原子や分子に与えます。 その結果、超高層の地球大気の気流を駆動します。他方、地球の反時計回転方向の自転に伴い大気も移動しており、その速度は赤道付近ではジェット旅客機程度はあります。 そこで、図11に示すように、地球の側面をかすめて通過する太陽風は東側では加速し、西側では減速するので、地球の気象を反時計方向に巡回させます。なお、4.3節で述べる様にt地球の昼半球の赤道付近では直撃する太陽風が、太陽の自転による1.89km/sの回転性
分の運動量を持っているので時計回転方向に貿易風を駆動します。(last modified Apri 2. 2023)


     図.11 地球の上空のイオンと太陽風の荷電粒子の磁気的結合


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