私が今まで「聞いてきた」バイクの鬼にまつわる話です。かなり誇張が入っていると思われます。
極悪非道な友人
もう、一昔前のことだ。まだCB250RSが健在だった頃、ある友人と蓼科方面に一泊ツーリングに出かける事にした。
友人のバイクはCBX260RSだったので、飛ばすことも無く、1日目はのんびりと走るこができた。 そう、事件は二日目におきた。
2日目はビーナスラインを大金払って(渋滞にもめげず)走りきり、美術館でお馬鹿な写真を撮ったりした。
その後、細い林道を抜けて下界に下りる途中、私は路面の苔に滑り転倒した。
転倒のダメージは、低速走行と言うこともあって比較的小さく、フロントフォークが少し捩れていたり、
ステップがあらぬ方向に向いていたりしていたが、比較的簡単に修理できそうだった。
それよりも防寒のために着ていたゴアテックスの合羽が破れたことによる精神的なダメージの方が、その時は大きかった。
先行して走っていた友人は私の転倒に気づかずに行ってしまったらしく、暫くしてから戻ってきた。そして曰く、
友人:「おっと!コケていたのか。あんまり来ないんで、途中で野グソでもしているかと思ったぜ!
バイクは大丈夫そうだし、早く行こうぜ」
私:唖然・・・・
なんて奴だと思いながらも高速に乗り、東京方面へ向かった。最初友人はゆっくり走っていたのだが、何を思ったのか、
ペースアップして走り出した。その速度実に1うん十km/h!!
私のバイクは転倒したこともあり、真っ直ぐ走れない上にこのペースであるから、
車体全体が振動してバラバラになるのではないかと思われた。次の休憩時にペースダウンを言おう・・・
・・・と思っていたら次のPAはパスかよ! 頭がイカレているなこいつ・・・
やっと休憩して、開口一発言ってやった。
「馬鹿野郎!人を殺す気か? こっちは事故って真っ直ぐ走れないんだ。
そのペースで走っていったら車体が振動してバラバラになっちまいそうだ!
そもそもお前は人のことをどうだっていいと思っているんだろう! ○△×□凸凹(以下省略・・・・)」
彼:「いやぁ、すまんすまん、どのくらいまで走れるかミラーで見ていたんだけど、結構走れるからさぁ、ついつい出しちゃって・・・」
私:・・・・・・・(こいつ気が狂っている)
そうこうしながら、それぞれの家に戻っていった。
現在、年一度くらいは顔を合わすが、このバカさ加減は変わっていない。付いていけない。
だがしかし、あの時の借りはいつか返してやるからな!覚えておけ!!
実は・・・・・その友人というのは私のことです。
ツーリング写真を整理していて、あまりの馬鹿さ加減を思い出して書いてしまいました。
準備運動の鬼
その人の準備運動にかける情熱は半端ではなかった。
軽く言っても
腕立て×50回、腹筋×100回、背筋×100回、スクワット×300回、握り開き×100回以上、
必ず指先から順に動かし、充分に体を温め、脇や首のストレッチングも忘れない。
彼の持論は予め疲れさせておいてから練習やレースに出れば、無駄な力を入れずに済むから腕上がりもなく後半脱落しない、んだそうな。
どこかで聞いた話だぜなんて思っている人は読まないでヨシ
騙されたと思ってやってみればいいのだ。
・・・・ってソースは誰からでしょう?
恐怖!白バイ練習所
鈴鹿サーキットの横に白バイ練習所があるが、そこでの練習を見たら二度と白バイから逃げようなんて思わなくなるぞ。
ステップ接地、ガード接地で走り回る白バイの列! その姿は憑き物に憑かれたようでもある。
一度行って見るがいい。
・・・という話だった。
で、学生時代に研修旅行の自由日程で鈴鹿に行って見たら、本当に地獄の練習風景が展開されていたのだった・・・・
どこでもGO!
神奈川県の丹沢奥に車両通行止めの林道がある。(犬越路トンネルの・・・・)
ここは台風が通った後は水が出たり木が倒れて道を塞いでいたり、道が崩れていたりするところであった。(今から13年くらい前の話)
普通、そこへはオフロード車で行くが、このツワモノはオンロード車(CBX250RS)で乗り込んでいったのだった。
トンネル手前でR80GS?のオジサンにコーヒをおごってもらって気分上場のツワモノ君はトンネル奥へ乗り込んでいった。
向こうの世界は水が流れ、一抱えくらいの木がゴロゴロ倒れ崖が崩れているのである。彼はピョンピョンと軽く飛び越え道の奥へと消えていった。
そこにいたオフ車の人の話によると、目の前の丸太をセオリー通りに越えていったらしい。「彼は今日のナンバーワンだね」と言っていた。
タイヤスモークもくもく
とある雑談の場だった。ある人が
「皆さんはブレーキをかけてフロントタイヤをロックさせたことがありますか?」
彼はあたりを見回した。誰も答えなかった。
「フロントがロックしたら即転倒ですからねぇ」
・・・・そうならないケースもあるんだけどな・・・・
MP7Sを履いていた頃、サトゥルノはよくフロントがロックした。
あれはツーリングに行ってお決まりの走行写真撮影だった。撮影ポイントを過ぎて戻るためにフルブレ-キングをかけた。
フロントタイヤが「ヒーーーー」という悲鳴をあげてロックしても車体は真っ直ぐ進んでいった。車体が止まるとタイヤの焦げた匂いが鼻をついた。ミラーで後ろを覗くと煙が立っているのがわかった。
ガツンとブレーキをかけたり、車体が少しでも傾いていたり、ハンドルに力が掛かっているとタイヤは悲鳴をあげないもんです。
(別の恐ろしいことが起きますね)
でも最近の超ハイグリップタイヤでは悲鳴を聞かないなぁ・・・ただヘタレなだけかな?
スイングアームピポットシャフトがぁ・・・・
ある人の話です。
ある日、彼がバイクに乗っていたら車体がいつになく不安定だった。
ハンドルにガタがあるわけでもないし、空気圧も走る前に確認した。
何だろうな?振れないようにしなきゃ、と思い踝回りで車体を挟んだら何か当たるものがある。走りながら下を見ると、
スイングアームピポットシャフトが抜けかけている!
ではないか!
彼は心を落ち着けて、走りながら足でシャフトを押し込み、抜けないように押さえながら家に帰った。
だそうな。
クラッチレバーが・・・・
事故で一命を取り留めたある人の話です。
彼は渋滞していた道路をごく普通にすり抜けて(すり抜け行為
が普通というのもナンダケド)いたとき、目の前の車と車の車間が僅かに開い
たのを確認した。何だろう?と思った次の瞬間、車が勢いよく右折してきた。いわゆるサンキュー事故だ。
彼は避けることもできず、車と接触、ちょうどフロントタイヤに当たる格好でハンドルが左に切れた。
ジャンプ!
彼は相手の車を飛び越えて着地した。外傷は左太もも裂傷・・・クラッチレバーが太ももに刺さり肉をえぐっていったのだ。数ヶ月後彼は復帰した。
・・・想像しただけでも痛い!話。その前に死なずに済んでよかったと思った。
バイクから小川へ転落
私の話です。
小さかった頃、父はバイクに乗っていた。確かコレダ125だったと思う(勘違いだったらご免なさい)。ほぼ毎週のように朝早く釣りに出かけていて、たまに家族4人(兄と私は6歳、4歳くらいの頃)でこの小さなバイクに乗り出かけていたような気がする。
あるとき、堤防の上にある道に乗るために堤防下を流れる小川を越えなければならなかった。小川なので当然橋は無く、ザブザブと入って渡っていった。
この頃、私は非常に怖がりで、すぐに泣き言を言って兄や父に叱られていた。今回もシートの一番うしろで兄に必死で掴まってるのが精一杯で、川を渡なんて・・と気を失いそうになっていた。
そういう状態で、川岸の段差を乗り越たとき、そのショックの大きさにびっくりした私は掴んでいた手を放してしまった。
・・・・・スローモーションで小川に転落・・・・・
流されることは無かったが、泣き虫の私は泣き止まず、その日のお出かけは取りやめになってしまった。(ような気がする)
これ以降、私の水難は続くのであった・・・
ミニサーキット池ポチャ事件
私の話です。
かれこれ十数年前、ミニバイクレースに出ようと思いミニサーキットへ練習に行った時のこと、その日はレース日前日で練習走行の台数も多く、いろいろなレベルのライダー入り乱れての走行となっていた。
私のクラスの走行枠になり、走り出したのはいいが遅い人とのタイム差が5秒近くあり非常に危険な状態であった。(一周34秒くらい)何周か走ると遅い人に追いついてしまうのである。
そして悲(喜)劇は起こった。そのコースの早い切り返しのところで遅いのに絡んでしまい、切り返し後バンクでブレーキをかけてしまった。(当時のタイヤはグリップ力はなくデリケートな操作が必要)
堪らず転倒、マシンはコーナー外側に勢いよく滑っていく。行き着く先は前日降った雨のために池のように水がタップリ溜まりったエスケープゾーンだ。
\!!!バシャーン!!!!/
幸い、エアクリーナーボックスは残しておいたためエンジン内に水が入ることは無かったが、恥ずかしいことこの上なかった。後に知り合いとなった人がその時に走っていたようで、あのとき池ポチャした人はあなただったのか!!と驚いて笑っていた。
ジョニー君
学生時代の後輩の友人(A君、B君)の話です。ずいぶん昔に聞いた話なので細かいところは忘れてしまいました。
ある日、仲良しのA君とB君が道を歩いていたら、父っつぁんバイク ”カブ”がエンジンを掛けっぱなしで置いてあった。
これはしめた!と思った二人はちょっと拝借して乗ってみることにした。もちろんノーヘル、二人乗りだ。
ここは田舎町の中○津町で、人間より牛のほうが多いし、警らもほとんど無い。
しかし、さんざん乗り回したところで警ら中の警察カブに見つかってしまった。
二人はもちろん逃げた。逃げたけれど二人乗りなので追いつかれてしまった。
追いつかれる前にB君は曲がり角の死角で飛び降りて消え、捕まったのはA君だけだった。
駐在所に連行され、一人尋問されるA君だったが、若いので強気だ。
警官:「君の名前は?」
A君:「さぁね」
警官:「そうか、さぁね君か。じゃぁ君と一緒にバイクに乗っていた男は誰だい?」
A君:「知らねぇよ」
警官:「一緒に2ケツしているくらいだから、知らないことは無いだろう、え!誰なんだ?」
A君:「さぁ〜、中○津の駅で知り合った奴だ。どこの誰だか知らねぇな。何て言ったっけなぁ、
ジョニーだっけなぁ、ケンだっけなぁ・・・」
警官:「・・・・・」
こんなふうに、のらりくらりとはぐらかしていたが、駐在所にはいろいろな人がやってくる。A君の顔見知りのNさんだ。
Nさん:「よう!Aちゃん、落し物かい?」
ついに名前が割れてしまった。ここまでくると展開は早い。しばらくすると、一緒にいたB君の名前もわかってしまった。
警官:「一緒にいたのはBだな!」
A君:「はぃ・・」
この事件ではA君たちの乗っていたバイクの持ち主(顔見知り)が、貸してあげたことにして事なきを得たが
町の人は即日事件を知ることになり、A君はしばらくの間「ジョニー君」と呼ばれていたようだった。
鎖でラリアット
後輩のことです。
ある夜、彼がMB50に乗って走りに出かけていったが、かなり遅くになっても帰ってこない。
同じ寮の住人である我々バイク乗りは彼を探しに行くことになった。
しばらくして寮に戻ると、彼は戻ってきていた。しかし、体調は最悪なようだった。訳を聞いたら、驚くことに鎖にラリアットを食らってしばら
く意識が無かったという。
あるドライブインの駐車場でUターンしようとしたところ、途中に鎖が張ってあった。夜中で懐中電灯のような50ccのライトでは見えなかったら
しい。鎖は首に引っかかり、バイクは足の間をすっぽ抜けて進み、ゆっくりと倒れたらしい。
彼の実家は酪農家だったおかげで彼は結構頑丈な体をしていた。これが彼を救ったようだった。
彼はあとで病院へ行き、1週間ほどコルセットをしていた。(んだっけかな?)
初走行はノーヘル、全開、ノークラッチシフト
私が原付免許の試験に受かった後、初めてバイクに乗って走ったときのことです。このときはまだ原付はノーヘルOKでした。
友人のH君が、お前に乗り方のコツを教えてやる!と言って公道から外れた土の道で手取り足取り教えてくれた。私はその辺で少し繰り返し練習
いたら、だんだん欲が出てきて公道に出てしまったのだった。
公道の車の速度は時速70kmを軽く越え、片側1車線でモタモタ走っているとアオられてしまう。
堪らず全開、シフトアップもクラッチミートなんて悠長なことはやってられない。
勿論、最速ノークラッチシフトだ。(一瞬スロットルを戻すタイミングに合わせてシフトアップするやり方)
心の中でヒーヒー言いながら10kmくらい走り、適当なところで引き返した。待っていたH君は待ちくたびれて寝ていた。
そして、このことを話すと、どうせお前のことだから、やると思ったぜ!と言われてしまったのだった・・・・(このときだけ反省)
実は免許が交付される前の事なんだけれど・・・(汗
バイク・スキー・武道(酔っぱらいのタワゴト)
バイク・スキー・武道の関係について無関係だと思う人は多いかもしれない。
実は、基本の動作は一つなのだが、目的と手段が異なるだけだったりする。
その動作というのは「体の重心を移動する」「重心変化を仲介物に伝達する」「仲介物を通してある目的を達成する」である。
抽象的過ぎるかな。
最近のNHK教育・人間講座で甲野善紀氏の
「古(いにしえ)の武術に学ぶ」
という講座があった。この講座は個人的な趣味である古武道関連にぴ
ったりマッチするものだったので、テキストを買い込んでしっかり見ることにしたものである。
体の動かし方、感覚を鍛えることについて非常に共感できるものがあった。
時期を同じくして、スキーの指導員理論講習会というものがあった。今年から教程が一新し、ターン理論について大学教授が監修しその概要を解
説していた。
面白いことにこの教授も甲野氏の講座を引用していた。偶然である。
異論があると思うが、私のスキーに対する見方はこうだ。
スキー界は陸上競技やバイク競技に比べて10年は運動解析が遅れていると思う。
その理由は繰り返し同じ条件でテストできないこと、道具が変形を伴いパラメータが多く解析が難しいこと、メンタルや身体状態で結果が大きく
変わること、競技ではスタート順によって使う技術が異なること、考えが硬直していること・・・・などだ。
動かし方は低出力のバイクと変わりはない。ミニバイクレースで遊んでいた時代にスキーで遊んでいても同じ感覚であったし、当時難しいといわ
れていたカービングターンも体の持って行き方一つで簡単に出来た。バイクと比べるとややグリップが低いので少しスキッドするのを前提に乗れ
ばいいことだった。「難しい」というのは考えが硬直している最たる物のように思えた。
スキーをするときには自然と対峙する姿勢を忘れてはならないし、自然は単一の技術で乗り切れるような甘い世界ではない。(そんなこと世の中
すっかり忘れているようだけどね)
体の持って行き方、これを突き詰めたのが武道、武術である。命が掛かった場合に如何にして血路を拓くのか。そこに本質の一つがあると思える
のである。
バイクも詰めていくと壁と対峙しなくてはならない時がやってくる。
ここでは細かいことは書かない。先ずは見て、実践して、考えて欲しい。