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2017年8月12日 研究会                第二譜黒1-白52まで) 完
指導碁4子局  吉田土勺五段 
1図   
  黒番です。

私がお勧めしたい次の一手は参考図1:
参考図1   
  第一譜の参考図9でも示したが黒1のカタが良さそうです。

白×を大きく飲み込むのが目的。

白が消しに来たなら下側の黒▲厚みを活用出来ます。

黒イのアテも働くでしょう。

もっと頑張りたい方は黒Aや黒Bの仕掛けですね。

その挑戦もある。力強く可とします。
  
2図(1-2)   
  実戦は黒1。

この手は白一子に迫った手だが逃げてくれず捨てられるのでぬるかった。

回りの黒薄みが気になったのかも。

相手がぬるい手を打った時、気持ちが少し弱気ですからそれに乗じるのは策の一つ。

そこで右下隅へ白2の様子伺いを放ちました。我ながら嫌らしいタイミングです。

対し普通は・・・
 
参考図2   
  参考図2:

黒1です。

もし白2と直ぐツケてきたら黒3、5と隅を差し上げるのが良く、以下黒9まで白×が腐り白△が薄くなるので黒良しです。

なお黒3で黒4と隅から受けるのは白3を先手で打たれこの局面ではあまい。 
3図(3-4)   
  黒3と頑張ってきました。

この手は最強の応手です。

ただ普通は隅の黒が辺に味方がいてもっと強いときに採用する手。この配置は黒孤立しているので問題手でした。

黒3と黒が強手を打ったときに白4とコスミました。

違和感を感じる方もいるでしょう。でもこれは私にとって自慢の一手。

参考図3   
  参考図3:

黒1で白×を持ち込みにするならば白△を動いたでしょう。

この方面の黒地はかなり削減しそう。

中のコスミは右辺の白二間+二間の補強も兼ねています。
  
4図(5-6)   
  黒5の受けで上辺はほぼ黒地確定ですが・・・

右下白6と動き出します。

ここで参考図4:
 
参考図4   
  黒1のソイが相場でした。

白2に黒3で黒を補強しつつ白の攻めを伺います。

なお黒aは白bの交換は先手ですが損。

その理由は後にわかります。 
5図(7-13)   
  黒7、9が吉田さんが前半から温めていた狙い筋。

黒3と頑張った理由です。

白10、黒11のとき白12と取り合えず生きました。

切る手もあったと思うが全体の黒を狙う方が得策との判断です。

次に断点を守るだろうと思ったら・・・

黒13とは凄い強気です。


参考図5   
  ここで参考図5:

「生意気な、えい。」と白1切りも考えたが黒2のカケがありそう。

以下黒14まで一本道。

黒×を全部取っても白△を飲み込まれては白引き合いません。

大会での吉田さんの対局でこのような大胆さを何局か見かけた記憶が浮かびました。

それで・・・
6図(14-16)   
  白14と大人しく受けました。

黒15、白16となり・・・
参考図6   
  参考図6:

黒1~黒5となり一段落と予想していました。

『カタついてツケ』の筋は初手の黒×は軽く見るのが普通です。

仰天!次の黒の手は本当に驚き。

打たれたときは吉田さんの考えが理解出来なかった。

当てられる方はいないでしょう。
7図(17-22)   
  黒17。囲碁人生で記憶に無い手です。

白18~黒21で吉田さんの意図が見えてきました。

中の白4ともう一子を攻めようというもの。

しかし無理がある。右下の黒一団はどうするつもりなのか。

突然の暴走と感じ、ここで黒つぶれるのではと心配になったほどです、

白22のアテが当然ですが厳しい。

吉田さんは温厚で素晴らしい方ですが悪い打ち方を許すことは出来ない。

ここで参考図7:

参考図7   
  黒1抜きは白2で終了。

二眼出来そうもない。
8図(23-24)   
  白24コウ取りに黒は参考図8:

参考図8   
  黒1をコウ立てに使い黒3のコウ取りが正しい。

白a抜きなら黒bで何とか脱出出来そう。

黒23が唯一の粘り。

コウしかないのです。

9図(25- )   
  ノータイムで黒25のツギ。

本来は敗着になった手です。

ただここでお友達の栗林さんがいらっしゃいました。
久しぶりだったので私は挨拶をして一瞬空気が和みます。

参考図9   
  参考図9:

白1とツゲば黒頓死でした。

隅の白は黒2で普通は眼がないが白3があります。

白aの連絡と白bが見合いで生き。

自動的に黒一団は死にです。

なお黒2で黒イは白ロ、黒3にとき白ハで生き。
10図(26-28)   
  白26なので黒27コウ取り。

白の見損じで最大のピンチは回避。

コウ立ても考えましたが白28抜きは黒を追い出して利得を計る作戦にしました。

参考図10   
   参考図10:

黒1~白4が私の予定です。

ここでも意表を突かれます。私がヨンでいなかったシノギ筋を打たれるのです。
 11図(29-38)  
   アテて外へ逃げられるのに黒29です。

白30封鎖に間髪入れず黒31。

白32に黒33のキリを入れて黒35の引き出し。

ここまでほぼノータイム。

黒37のアテが利いて見事なシノギ・生きです。

ここで普通の四子の方ならば参考図11:

参考図11   
  黒1で満足されるでしょう。

死んでも文句言えない状態でしたから。

吉田さんは先手で生きる手はないか模索します。
12図(39- )   
  黒39です。

白の受けを問うています。

ここで参考図12:
 参考図12  
  白1の手入れだったら黒2をキカシて黒4と後手で生きていたでしょう。
 13図(40-43)  
  白40なら黒41とさらにキカシが可能。

白42が省けません。

一転黒43と左辺に向かいました。

先手で黒が生きとの判断です。

ここで吉田さんのヨミ筋を。

参考図13   
  参考図13:

白1と眼を奪ってきたら黒2、4でコウではなく一眼作れるというもの。

なかなかのヨミですがその上のヨミがありました。
14図(44-48)   
  白44(黒47の右)コウ取りに黒45。

そこで白ぴしゃりと白46です。

この瞬間動揺されたのがわかりました。

この筋は詰碁の筋で有名な手です。

ただし普段から精通していないと気づかないのは無理ありません。

取り合えず黒47のコウ取り。

白も左辺凄いところを受けていないのでひとまず白48と受けました。

ここで吉田さんは欲張って良かった。

参考図14  
  参考図14:

黒1と出て黒3と生きるのが正しい。

対し白a、黒b、白c、と眼を奪えば黒dと二子取って白cウチカキまで得してから黒eと生きます。

いや黒eで黒fと二子を助けることも可能。

黒の眼を取りにいったため白△が弱体化しているのです。
 15図(49-50)  
  白50に対し参考図15:
参考図15   
  黒1と黒数子を大きく取られるのを避けたい。

もし白2と殴り込んできたら黒3と助けます。

白4には黒5をキカシて黒7。

中の黒も厚いとは言えないが白2は取り込めそう。

頑張りたい場面でした。
16図(51-52まで)   
  白52と中を取ったところ。

解説を終えます。

この段階で形勢は細かそう。中の黒地の出来次第ですが黒が勝つのは大変だと思います。


◎如何でしたか、黒の名局。
 会心の一局ではありません。ただ勝てば良いという手は
 なく、むしろ積極的に挑戦した手冴えた手が多かった。
 特に右下のシノギが印象に残っています。

これからの期待も込めて吉田新六段をよろしくお願いします。


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