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2017年7月25日  全国高校囲碁選手権大会団体決勝
黒)某 女子(栃木女子高・副将) 対 白)奥 真珠(白百合学園高・副将)
 
1図(1-17)   
  先ず真珠さん優勝おめでとうございます。

各大会の個人の入賞・優勝とは段違いの嬉しさでしょう。今までの囲碁人生で1番嬉しかったのではないでしょうか。

(黒1~白84まで:総譜は黒225手)    
評:棋士七段下地玄昭

真珠さんから見ての記録なので初手黒1は左下隅。

それにしても優勝した喜びで興奮している最中での正確な記録は素晴らしい。感心しています。

ここまで双方団体の決勝戦ということもあり石が踊らないじっくりした立ち上がり。

ここで参考図1:

 
参考図1   
  白1のスベリなら普通。

黒2の受けなら白3が好形。

もちろん黒が受けず手抜きされ、打ちこみを狙われることもある。
 
2図(18-21)   
  白18守りは渋いし安全。

真珠さんの棋風序盤はがっちりですね。

黒21のツメは気合を感じます。

ただその前の黒19のスベリ、白20の交換はしないほうが普通です。

白がそれを咎めたいならば参考図2
 
参考図2   
  白1打ち込みです。

型通りの黒2のツケなら白3のハネコミ。

黒4、6で右のシチョウは白悪いが白7~11まで黒×と白×の交換が黒かなりの損で白良しです。

白3のハネコミに黒上アテならば白4、黒7、白6、黒a、白bと生きます。その図も黒厚みが働かないので白持ち。

ただし黒2で黒イや黒ロと戦う手で競ってくることが考えられます。

白1の打ち込みはまだ保留しても良いでしょう。 
3図(22-25)   
  ほう。 白22は気合良い。

気持ちで負けないこと大事です。

黒25とハワれ攻められるが白22、24は良いヒラキなので白打てそう。

何となく私の打ち方に似ている感じがします。

黒23に対し参考図3:
 
参考図3   
  白1とツケたい。

黒2~白5まで示しますがこのほうが白しっかりしています。

なお黒2で黒aのハネは白bで嬉しい。

白cの具合があるので。 
4図(26- )   
  ここで黒は参考図4:
 
参考図4   
  先ず黒1ブツカリで白aを防ぎたい。

白2で少し強くするが黒3の「耳」が急所。

白4~黒9まで想定ですが少し白重そうです。

白4で単に白6は後に黒bが心配。 
5図(27-36)   
  黒27のツケは白から二線にツケる連絡具合を気にしたのでしょう。

ただ弱い方の白を固める手になっています。

白28~白36まで対局者二人ともしっかり形を打てています。

白36のオシは厚いですね。

真珠さんの碁にはこのような手厚さを何度か見かけます。

私だと早い進出のケイマを打ちそう。でも手厚い棋風の方はオシたくなるはず。

ここで黒の立場になれば参考図5:
参考図5   
  黒1と先ずあおります。

封鎖を避ける白2なら黒3。

白4なら黒5のフクラミを打てて先ずまず。

参考図の黒1に白2では白aオサエで早生きが賢明か。
  
 6図(37-52)  
  白38で先ほど示した早生きもありました。

黒39は凄い手です。

ただ白の眼を狙い過ぎている感じに見えます。

タケフをノゾいている姿は黒のほうが多い。

白42~黒49まで。黒がポイントを取りました。

白42は単に白46トビが良かったでしょう。 

黒51は好点。

白52に参考図6:
参考図6   
  とにかく黒1と二段バネするところ。

白2の受けに黒aの追求もあるが黒3、5と黒▲の下辺拡大を目指したい感じがします。

もう白bや白cの打ち込みは怖がらず来るなら来いと向かい打ちたい。

中の黒×厚みを活かすためにも。
 
7図(53-54)   
  黒53はぬるいが、次の白54には参考図7:
 
参考図7   
  黒1と頭をハネたかった。

対し白2ハネなら黒3の二段バネ。

黒に勢いの風が吹いてきます。

参考図7の白△は黒に二段バネされると問題かもしれない。


白△では穏やかな白a消しや踏み込む白bが良さそう。

また勇気があれば白cのツケで勝負!もお勧めです。
8図(55-59)   
  黒55は弱気でした。

左上の黒にはまだ余裕があります。

白56と二目の頭を叩いては白良しの流れに。

黒59まで泣きたくなるほどつらい。

真珠さん夢のような展開だったはず。

ここで参考図8:
 
参考図8   
  白1のほうをツギたい。

この方が厚いです。

例えば黒2など打ってきたら白△は黒×とキカシた石で軽くみて白3と捨てて十分。 
9図(60-67)   
  もちろん白60のツギが悪いわけではありません。

おおっ。黒61とは凄い。

相手の方も形勢容易ならずとわかっている証拠です。

白62。気に入りました。

カケツギ受けでも形勢は良いけども、白の勢力圏で戦いを避ける理由はない。

白66まで石の流れ。

黒67はなかなかの一手。
相手のサバキ力の強さを見た感じがしました。

たぶん真珠さんも対応に戸惑ったでしょう。
参考図9   
  参考図9:

白1の引きのほうが勝ると思います。

もし左上に黒がつながっても苦にならないという考え。

当然ですが黒ツケに対し白はハネるところではない。(サバかれます)
10図(68- )   
  ここは黒も頑張りどころで・・・

参考図10   
  参考図10:

黒1のツケがこの一手。

白2なら黒3で調子が出ます。

もし白aの受けなら黒bで白が心配な戦い。

白2で白3は黒cと居直ります。

黒のシノギ勝負になるが白の地を荒らされてしまうので怖い。
  
11図(69- )   
  黒69に対し参考図11:
 
参考図11   
  白1で手を打つのもかなり有力でした。

黒2~黒6と逃げられますが白7の打ち込みに回ります。

中に白の応援があるので打ちこみが楽になっています。

「戦いに集中し全力を尽くすことが良いとき」と『肩の力を抜いて少し相手に譲り大所に向かうほうが賢いとき』がある。その判断は常に難しい。 
12図(70- )   
  白70の二段バネは筋ですが危険あり。

参考図12   
  参考図12:

黒1、3とされたら・・・白4、6と一子抜かせて黒を取りにいくことになりそう。

しかしこの図は黒7で下辺の黒地がかなり膨らむし黒を取った白地は左上の黒×で削減されそう。

ポン抜かれるのは気持ち悪いですね。

でも白4で白5の逃げは黒4とされて攻めづらい。
  
13図(71ー72)   
  善悪は別として黒71とゴツくぶつかったからには参考図13:
 
参考図13   
  黒1とするよりない。

白も対応が意外に難しい。

白aなら無難だが黒bツギでシノギは何とかなるでしょう。 
14図(73- )   
  黒73は腰砕け。

黒の形が悪いのでうまくいかないと見た転身と察するがつらい手です。

白は参考図14:
 
参考図14   
  敗走した黒▲に追い打ちよりも白1で十分。

これが本手です。

でもこの手は対局者でなく外野だからわかる冷静さ。 
15図(74- )   
  白74は真珠さんの若さ・熱さの表れで好感持てます。

全部取って一番に勝ち名乗ってチームの士気を高めたい意味もありますから。

黒は今度こそ居直りたい参考図15:
参考図15   
  前にも示しましたが黒1で白がどう受けるか様子を見ます。

白2なら黒3で「さぁ殺せ。」とふんぞり返るのです。

私の長年の勘ですが黒一団は死ぬわけない。
  
16図(75-84まで)   
  白84まで。

私の解説はここまでとします。

よほどのことがない限り白の勝利は不動と見ました。

しっかりと落ち着いて打っていました。
真珠さんの厚い棋風も出ていて決勝戦なのに自分の碁が打てている。素晴らしいことです。

本当におめでとう。よくやった。嬉しいです。

◎ここから先に興味がある方は総譜をご覧になって下さい。


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総譜(1-225手まで)  総譜 Kiin Editor
 
225手まで 白番(奥真珠) 8目半勝ち