(韓国民衆言論 チャムセサン‘国際、韓半島’ 2012年04月23日)
http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=65914&page=1&category1=38
米国の二重定規(ダブルスタンダード)
―北韓とインドのミサイル発射―
●核武器保有国インド、大陸間弾道ミサイル発射成功
インド政府が19日、核弾頭を装着できて、最大6000kmまで飛んで行くことが出来る新型ミサイル‘アグニ-5’の試験発射に成功したと明らかにした。
このミサイルは、中国と韓国は無論、日本の西側まで到達可能で、欧州の半分も射程距離内に含まれる。米国とロシア、中国など核保有国が配置しているICBM(大陸間弾道ミサイル)に匹敵する。外信報道によれば、インド政府当局が、“ICBMでなく、‘中距離ミサイル’と表現を変え、射程距離も5000kmと対外的に主張しているが、8000kmまで到達する可能性が高いものとみている。
‘アグニ-5’の成功で、インドは一躍ICBMの技術を保有した数か国の一つとなった。射程距離は国連の5つの常任理事国に続き世界6位、アジアでは中国に肉迫する2位となった。特に注目されるのは、アグニ-5が中国全域だけでなくアジアのあらゆる国とヨーロッパの半分を射程距離に置くミサイルだ(という点だ)。
●米国は、(北韓の人工衛星に対しては、国連制裁まで動員しながら)“インドは北韓と違う”とし、ミサイル実験を容認
しかし、米国と西側言論は、北韓が人工衛星・光明星3号を搭載した長距離ミサイル発射に対し、国連の制裁まで再び動員し、これを遮ろうとした事とは異なり、インドに対しては、特に変わった非難をしなかった。むしろ米国は進み出て、インド政府を北韓と違うとし、長距離ミサイル発射実験を擁護してやる発言さえ、嫌がらなかった。
米国・白亜館(ホワイトハウス)カニ代弁人は20日(現地時間)、外信とのインタビューで“インドの弾道ミサイル発射を北韓と比較すれば、克明な(はっきりとした)差がある”とし、“北韓は国連安全保障理事会の多くの制裁を受けているが、インドはそうではない”と語った。
マークトナー米国務省代弁人も19日、“あらゆる核保有国家は、核とミサイル試験を自制しなければならない”とし、“インドは核不拡散の為、国際的努力に積極参加している”と語った。“インドはワシントンとソウルで開かれた核安保首脳会議に参加するなど、(核の)非拡散に対し堅実な信頼と相当な国際的役割をしていると説明した。
その上米国は、「中国政府もインドのミサイル発射を容認した」と指摘した。「中国は北韓のミサイル発射実験中断を促して、国連の制裁強化に同参する議長声明に中国政府が承認した一方、インドのミサイル発射実験に対しては、特別の態度表明はない」とし、「中国も、北韓とインドとの態度が違う」と強調した。
しかし、米国のこんな主張は事実ではない。
●軍事大国化を追求しているインド
インドは、核武器を公然と保有しながらも、パキスタンやイスラエルと同様に、核拡散禁止条約(NPT)に加入していない。NPTが、核武器保有を米国、ロシア、英国、フランス、中国など5カ国だけに認定する不平等条約だと言うのがその理由だ。
北韓が核開発を試み、1985年NPTに加入したが、核主権を侵害すると言う理由で1993年、脱退と脱退留保をしながらもNPTを維持している事とも対照的だ。
それでも米国は、インドが民主主義国家であり、他国への核武器拡散に関与しておらないとし、インドの核武器保有を黙認してきた。2007年に米国は、今までの政策を変更し、民間消費用核燃料や、核技術の輸出を認める協定を締結した。次の年には45カ国が参加した原子力供給国グループ(NSG)も、米国とインドの原子力協定を承認した。この様に米国は、インドの核武器保有を公然と容認する政策を持続的にひろげて来た。
もっと問題になるのは、インドの核武器保有は、パキスタンの核武器開発を呼んだと言う点だ。先制攻撃をせず“防護的”だと、どれだけ
強調してみても、核武器保有を正当化することは、核武器の拡散を誘発させ世界をさらに危機におとしいれるものだ。
一般の武器にあっても、インドは“軍事大国化”を加速している。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、インドの、戦闘機など主要武器の輸入は、07〜11年のあいだ、その前の5年間に比べ、38%程度上がった。インドの武器輸入は、世界全体の武器輸入の10%を占め、最大となっている。
●中国は地域の平和維持を強調
また中国が、インドのミサイル発射実験に対して見せている態度は、北韓のそれと大きな差はない。
リュウ・ウイミン中国外務省代弁人(スポークスマン)は、19日、インドのミサイル発射成功に対し、“中国とインドは、すべて(いずれも)重要な開発途上国、新興経済国家であり、両国は競争相手でなく協力パートナーだ。両国は難しく手にした良好な両国関係を大事にして、共に努力し、友好を堅持し、戦略的協力を進化し、共同の発展を促進し、地域、さらには世界の平和安定の維持に寄与しなければならない”と、明らかにしたのだ。
こんな評価は、朝鮮が衛星を発射すると言って、日本が迎撃ミサイルを配置した事に対する言及とも類似する。
当時リュウ・ウイミン代弁人は、“現情勢で、それぞれが冷静と抑制を維持し、該当国際法を順守し、朝鮮半島の緊張情勢の悪化を防がなければならない”とし、“朝鮮半島と東北アジア地域の平和、安定を守護する事はそれぞれの共同の利益であるだけでなく、それぞれの共同責任でもある”と強調した。
とは言え、中国内部で、インドのミサイル発射試験に対する憂慮(懸念)の声がない事もない。インドの核武装と大陸間弾道ミサイル開発は、直接的に中国に脅威となる事が明らかな為だ。
中国軍事科学院のトゥ・ウォンルン研究員は、19日、中国官営・人民日報とのインタビューで,“インドの核政策は、継続して曖昧だ。アグニ―5の発射試験成功は、どの国にあっても脅威となり、隣国の中国は特に大きな脅威となる”と、指摘したところである。
●米国の二重定規(ダブルスタンダード)・・米国の利益を侵害する時のみ封じ込める
この様に、米国が核武器保有を容認し、ICBM級の核弾頭ミサイルを開発するインドに対し見せる態度は、北韓とは違うのだ。米国はインドの場合、事前に弾頭ミサイル発射計画を周辺国に知らせ、これを実施したとし、透明性を強調した。
それは北韓も同じだ。北韓は2011年12月初め、北―米民間対話を通して米国に衛星発射計画を伝達し、同じ月の中旬、北―米実務会談でこの計画を通報した。2月、北―米会談でもこれを再確認したと明らかにした。
米国はこれに対し否定しなかった。
インドに対する差別的な手厚い待遇は、米国の戦略的方針を離れて、異なって解釈する事は出来ない。
NPT未加入国も、米国が主導した大部分の国際条約や機構に参加しないキューバを除外し、イスラエル、パキスタン、インドなどと言う点でもこれを確認することが出来る。また、これ等諸国が、事実上米国の容認下で核武装をして来たと言う点も大きく違わない。
軍事力中心の安全保障の追求は、地域の軍備拡張競争に火を付ける事に繋がるだけだ。軍事力を抑制し域内に安全を確保する道を探ることこそ、ほとんど唯一の平和安定の方法となるだろう。(ホン・ソクマン記者)
(訳 柴野貞夫)
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