(民衆闘争報道/ 4・15総選挙の評価 韓国・チャジュシボ(自主時報) 2020年4月19日付)
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韓国・4.15総選挙の評価 <その1>
[時事研編集部 注]
南朝鮮の民衆言論「自主時報」が発表した「4.15総選挙の評価」は、日本の言論界に出回る、「韓国国民が、ムン・ジェインの新型コロナウイルス対策を評価した結果である」とする低次元の政治分析とは、大きな隔たりがある。この論考は若干長文の為、3回に分けて、その訳文を日本の読者に提供するものである。
1. 4.15総選挙の結果
民主改革勢力が大勝を収め、保守積弊(訳注−保守弊害)勢力は惨敗
〈共に民主党〉と〈共に市民党〉が180議席で、全体議席の60%を,<未来統合党>と<未来韓国党>が103議席で34.3%を占めた。民主改革勢力は歴代最高水準の成績を収め、今後の国政を確実に主導できる議席を確保した。一方、<未来統合党>は、地域政党に転落し、ファン・ギョアン(黄教安)、ナ・ギョンウオン、オ・セフン、ミン・ギョンウクなど、主要候補,次期走者などが大部分落選した。
今回の選挙は民主改革勢力対保守積幣勢力(保守弊害勢力)の総力戦だった
米国は、ハリス駐韓米大使と国務省が出て、露骨的にムン・ジェイン政府を攻撃し、<未来統合党>を支援してやり、日本も親日的積弊政党の勝利を願い、言論媒体を動員して総選挙に露骨に介入した。検察は、政府与党に猛攻を浴びせ、保守積弊勢力の突撃部隊を自任し、言論媒体もやはり、政府与党を噛み千切る為の歪曲・偏頗(へんぱ)的報道は基本であって、脅迫・恐喝などの犯罪にも加担した。
この様に、国内外の積弊勢力の政権簒奪を狙った総攻撃に対抗し、民主勢力は死力を尽くして彼らの企図を完全に破滅させた。今回の総選挙が、一層大きな意義を持つ理由がここにある。
▲上記図表 政党別議席数
2. 要因
(1)運動場が逆に傾いた
(イ)安保と経済、二大柱が崩れた
今日まで、親米・親日保守積弊勢力は、安保と経済を二大柱として韓国社会を主導して来たのであり、既得権を維持して来た。彼らは、安保で親米・親日・反北対決路線を、経済で親米・親日依存成長路線を主張した。しかし今、この二大路線が完全に元気を無くしてしまった。
パク・ソンミンー政治コンサルチング‘民’代表は、17日、<中央日報>のインタビュウで、“安全保障、市場報酬が時代の流れに乗りそこなったと見なければならない”とし、安全保障と経済で韓国社会を主導した保守が、時代の変化について行く事が出来なかった指摘した。(シン・ヨンホ「“保守は既に非主流となったが、彼等だけ、自分が主流と思っている”」<中央日報>2020.4.17)
まず、安全保障領域を見て見よう。保守積弊勢力の路線である親米・親日・反北対決路線が成立するには、二つの前提条件が必要である。
第一の前提条件は、北韓は悪の勢力であり、人間が住むことが出来ない生き地獄であり、韓国を侵略して地獄にする為に虎視眈々と狙う我々の敵と言う、国民的認識が無ければならない。ところが、2000年の南北首脳会談以後、特に2018年の相次ぐ南北首脳会談を経て、北韓に対する上記の様な歪曲された否定的認識が、完全に消えた。北韓に対する認識の変化で最も重要な事は、北韓指導者に対する認識の変化だ。
北韓は、指導者を中心として強く団結した社会だ。従って、分断冷戦勢力は、北韓の指導者に対する歪曲宣伝に取りすがる。言論媒体の反北歪曲報道で、最も多い比重を占めるものが、即ち北韓指導者に対する否定的イメージを植え付ける為の報道だ。ところが、2018年、第三回南北首脳会談を経て、北韓指導者に対する国民の認識が180度変わった。
4.27パンムンチョム(板門店)首脳会談直後、KBS世論調査の結果、キム・ジョンウン委員長と北韓指導部に対する認識が、極めて肯定的に変わったと言う回答が22.3%、肯定的に変わったと言う回答が57.7%、実に、80%の国民が肯定的な変化をしたと答えた。
MBSの世論調査では、キム・ジョンウン委員長に非常に信頼がおけると言う回答が17.1%、信頼がおけると言う回答が60.5%で、何と77.5%が信頼すると言う答えをした。9月、ピョンヤン首脳会談直後のKBS世論調査の結果、キム・ジョンウン委員長のソウル訪問に対し、87%が賛成した。
オンライン空間でも、北韓指導者に対する非難や、否定的表現が急激に消え、代わりに肯定的で友好的な表現が急増した。様々な市民社会団体がキム・ジョンウン委員長のソウル訪問を祈願する行事を行い、北韓指導者を見直すべきだと言う学術行事も開かれた。更には、ソウルの街のど真ん中に、北韓の指導者に対して尊称を使い、歓迎すると言う垂れ幕が掲げられる事もした。
北韓社会と人々を直接見る事によって先入観が消えた
9月ピョンヤン首脳会談期間に、生中継で覗いた北韓の姿は,‘飢えた人民が奴隷の様に生きる社会’ではなかった。既存の認識とは異なり、人々がそれなりの発展した文明を遂げて生活していた。サムジ(三池)管弦楽団のソウル公演を見て、音楽の水準に感嘆し、ムン・ジェイン大統領に、15万のピョンヤン市民の前で自由に演説する機会を与える姿を見て、我々を尊重し、配慮し、理解し、立ててくれるのを熱く感じたのである。
この様に、北韓に対する認識が変わるので、これ以上北韓を悪の勢力として認識することが出来ず、自然に、親米新日・反北対決路線の最初の前提条件が崩れた。
第二の前提条件は、米国の圧迫と攻撃で北韓が滅亡すると言う認識だ。90年代中後半、北韓は、‘苦難の行軍’と言う前代未聞の国家的危機を経験した。多くの人々が米国の封鎖と圧迫で、北韓は必ず崩壊するだろうと話した。
しかし、北韓は危機を克服し、急速な成長を成し遂げた。保守積弊勢力の対北認識が、今もなお、20年以上前の‘苦難の行軍’の時期にとどまっている間、国民は北韓が、米国に高圧的な態度を見せる現実を見ていた。北韓崩壊論は、虚構であり実際には米国も、慌てふためく、そんな国に成長していたのだ。 (次回に続く)
(訳 柴野貞夫)
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