(民衆闘争報道/<統一ニュース> 2018年2月2日付/<中国青年報> 2018年1月24日付掲載 「朝鮮半島の地政学的構図の解体が加速される」論文を翻訳したもの)
(原論文掲載紙/中国語)
http://opinion.huanqiu.com/opinion_world/2018-01/11550657.html
(朝鮮語による翻訳)
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=123633
朝鮮半島の地政学的構図の解体が加速される
浙江大学韓国研究所客員研究員・李敦球
●朝・米関係で、長く朝鮮ひとり受けてきた脅威の歴史が変化
●朝鮮は米国が戦争を仕掛ける事が出来ない抑止力を持っている
●南北関係は、民意と時代潮流に沿って対話と和解に向かっている
●ムン・ジェインは、米国の圧力に耐える能力を試験されている
キム・ジョンウン委員長の新年の辞は、南朝鮮の人々に共鳴を起こさせた
新年が始まると、朝鮮最高領導者である、金正恩委員長の新年の祝辞は、たった今、2018年に入った朝鮮半島と、更にその上世界まで、ひとしきり旋風を駆り立てて来た。ピョンチャン冬季オリンピックと、南朝鮮の大地に温かい風を吹き入れるだけでなく、世界の世論を爆発させたし、朝鮮半島情勢と国際社会の焦点となる関心事となった。
朝鮮半島は、2年近くになる南北高位級会談を控えている。 朝鮮サムジオン(三池淵)(管弦楽団 団長ヒョン・ソンウオルと、彼女が引率する冬季オリンピック団先発隊が、南朝鮮でスターのような歓迎を受け、付き纏われる位の声援を受けた。
このように和解と交流の希望は、南北人民の熱烈な風である。
一方、カナダのバンクーバーで、米国主導で召集された20カ国の外相と代表が参加した、いわゆる「朝鮮半島安保安定外相会議」が開かれた。
このように、非協力的な二幅の絵のシーンが、同時に朝鮮半島に影響を及ぼしている。 或る人はこれを根拠に、緊張した雰囲気を誇張して、2018年朝鮮半島に高い振動、甚だしくは、戦争が発生する事があるとまで述べている。
これらの主張は、理論の基礎が欠落して揺れやすく、また、その目的は、人々の関心を集めて、彼らの目を惑わす事にある。
しかしながら、合理的な論理による分析は、例え、まだ矛盾の連続的な面もあるが、その矛盾の変化が発生する可能性を排除する事はできない。さらに、より一層、朝鮮半島とその周辺のほとんどの国が、南北会談を支持し、且つ和解の方向に発展する事を望んでいるのだから尚更の事である。 筆者の考えでは、2018年、朝鮮半島の情勢は両曲線を並行しながら、混ざり合う様だ。
一つは、平和会談と和解の線で、主要な事は、南北両国間に発生するものである。 二つ目は、対立と敵対の線で、ここには朝鮮と米国の間に発生するものである。
この両曲線は、相互に影響を与えて相互交差しながら、たとえ少なくない紆余曲折と波乱を間違いなく起こすが、総体的に言えば、朝鮮半島をめぐり、平和の能力が増加し、直ぐに戦争や争いが発生することを防止する、能力が増強している。
朝鮮半島の地政学的構図は、深刻な変化を経験している
● キム・ジョンウン委員長の新年の辞は、南朝鮮のあらゆる人々に強力な共鳴を起こさせた
まず、平昌冬季オリンピックが南北和解のための歴史的な機会を作っている。 キム・ジョンウン委員長は、平昌冬季オリンピックを高度に重視している。
新年祝辞で民族の大きな嬉しい事として、これ見て、また心からの祝願を表明した。 「代表団を組織して派遣するなどの必要なすべての措置をとる事を願う」とし、“私たちは血筋が互いに接続された同族として、同族の慶事に共同でお祝いし、且つ、お互いに助け合うことは不変の真理だ”と言った。これは、南朝鮮のあらゆる人々に、強力な共鳴を起こさせた。
南北高位級会談が1月9日板門店で開かれ、双方は<南北高位級会談の共同報道文>を発表し、併せて重要な合意を次のように達成した。
「韓国で開催される平昌冬季オリンピック大会と冬季パラリンピック大会が正常に行われ、民族の地位を高める契機となるようにする為に、積極的に協力することにした。
朝鮮は平昌冬季オリンピック大会に高位級代表団と一緒に民族オリンピック委員会代表団、選手団、応援団、芸術団、参観団、テコンドー示範団、記者団を派遣することにして、韓国は必要な便宜を保証する事とした。 "
現在、双方の協力は、極めて道理にかなって進展しており、平昌冬季オリンピックが、今後、南北の1次大慶祝会になると予想される。
将に、キム・ジョンウン委員長が言ったように、「今の情勢は、南北が遅滞なく、過去に縛られず、南北関係を改善し、自主統一の突破口を開くために決定的な措置をとることを要求している。
広くも深い意義を持つ今年の民族史上、大書特筆の転換の年として、価値ある年にして行くようにしなければならない」
だから、平昌冬季オリンピックは、南北和解の為に、得るのが容易ではない機会を作り出し、南北関係は今後、歴史的な突破を成し遂げるだろう。
●「圧力と制裁」下でも進む、朝鮮の経済発展
第二に、朝鮮の今年の事業の中心は、経済領域の転向を目指している。米国の強烈ではない挑戦と脅威の状況の下で、朝鮮は2018年、おそらく再び核実験をせず、また、ミサイル活動も多分暫定的に大幅に減少させることが出来る。 今、朝鮮から出てきたニュースを見ると、これらの可能性は当然存在すると言える。
キム・ジョンウン委員長が発表した様に、朝鮮の核武力建設はすでに完成しており、2018年を、経済振興事業の重要任務遂行の年とした。
朝鮮最高人民会議常任委員会が2017年12月21日、平壌市江南郡古邑里地域に江南の経済開発区を設立することを政令で発表した。 実際キム委員長は、経済発展と対外開放を特に重視している。
ただ、誰もが知っている様な原因(米国と国連安保理制裁)から、その効果は、人々が期待していた程高くはなかった。 2013年から、朝鮮は経済開発区の事業を既に全面的に進めて、今まで朝鮮は、合わせて22カ所の経済開発区を設立し、その内、工業、農業、観光業、輸出加工、高度の新技術などの分野を網羅している。
韓国銀行が2017年に発表した報告によると、朝鮮は2016年の経済成長率が3.9%にもなった。 最近5年、朝鮮は年平均経済成長率を、基本的に3%から7%を維持している。 韓国の2016年の経済成長率はわずか2.83%であった。
2017年、朝鮮の農業も好転する気配だ。 食糧総生産量は482万トンで(韓国の471万トンより高い)、必要所要量の500万トンよりも距離があり、少し足りない。
しかしながら、特に大きな問題ではない。 長期間の経済制裁を受けてきた朝鮮の立場から見ると、これらの成績を収めたのは、本当に容易ではないだろう。
キム・ジョンウン委員長は、新年記念辞で「今年は国の経済発展5カ年戦略の第三年目として、経済戦線各部門で推進の突破口を開く必要があり...今年、社会主義経済建設の重要な任務は、朝鮮労働党第7次中央委員会第2次全体会議に提出された革命的な対応戦略の要求に基づいて、国民経済の自立性と主体性を更に強化し、人民の生活を改善しなければならないと」と発表した。
● 平和の扉を開いた南北の接触と対話の回復を妨害する米国を痛烈に批判
第三に、米国の対朝鮮政策と朝・米関係は、朝鮮半島情勢の最大の危機の源である。 南北の接触と対話の回復は、疑いなく、一つの基礎、平和の扉を開いたのだ。しかしながら、ワシントンのこれに対する反応は、相当に冷淡だったし、また、濃い酢酸の味だった。 米国側は、もし朝鮮の核廃棄に役立たなければ、ワシントンは南北会談を重視する事が出来ないと発表した。
1月16日、米国は、中国とロシアを投げ捨てて、カナダ・バンクーバーで、自分が主管して、20カ国の外相と代表を集め、「朝鮮半島の安保外相会議」を開いた。 その会議に出席した国々は一つの決定を下した。それは朝鮮に対する継続的な最大限の圧力と、同時に、朝鮮が情勢が緩和される隙間を借りて、国際制裁を回避することを防止することとした。
朝鮮半島の情勢が緩和されている時点で、米国が「故意に逆走行」する習慣性挙動を見せる事に対し、中国外交部長王毅は、「国際社会が目を大きく開いて、朝鮮半島の核問題の解決に、誰が本当に、平和的解決の主導者であり、また、誰が、今後の情勢を緊張に戻そうとする破壊者になるのかどうかを、正しく見なければならない」と述べた。
米国は、時々、国際社会に対して、混乱した信号を出している。 以前に、朝鮮の指導者に対する空虚な悪口もかかわらず、「キム・ジョンウンと非常に良好な関係を結ぶこともできる」と述べたが、米国の対朝鮮政策と朝・米関係の行方は、今年の朝鮮半島情勢の最大の危機の源である。
●ムン・ジェイン政府の知恵と米国の圧力に耐える能力を試験している
第四に、南朝鮮は朝・韓・米3国の関係で、その役割は、ある種の主導的地位に置かれている。
一般的に、米国は全地球的戦略の布石を考慮して、アクセスするため、現行の対朝鮮政策を根本的に変化させることは可能ではないことを認識する。 また、朝鮮は、生存と発展を追求する戦略をとるため、政策の変化が難しいと見る。
従って、韓国は朝・韓・米3国の関係で、その役割が特に重要である。南朝鮮は、3カ国の関係で、実力上、主導的地位を占めるのではなく、ある種の役割と戦略趣向上で主導的地位を占めることができる。
ムン・ジェインは、1月22日、大統領主管青瓦台首席秘書官と補助官会議で、平昌冬季オリンピックを契機に開かれた南北対話は容易に来ないので、国民全体が力量を集中して会話の機会を守って行く事を呼びかけようと強調した。
ムン・ジェインは、我々は、朝鮮の核問題の平和的解決と朝鮮半島の平和を構築する宝のような貴重な機会を前にしていると言って、今南北対話の雰囲気はいつまで続くのか知ることが出来ず、盲目的に楽観だけすることも出来ず、当然の知恵を集中して、努力を傾けて対話を継続させなければならないと述べた。
今後、韓国に対する圧力は主に米国から来る。 朝鮮半島情勢は、今、ムン・ジェイン政府の知恵と圧力に耐える能力を試している。
● 朝鮮は、米国が敢えて戦争を発動する事ができない抑止力を持っている
第五に、朝鮮半島は2018年地政学的構図の解消を加速するだろう。 今、朝・米と南北双方の重要な関係で、歴史的な変化が起きている。 朝・米関係で、長い間、朝鮮ひとり受けてきた脅威の歴史が変化しているところだ。
米国の戦略能力に対する反作用で、朝鮮は前代未聞の突破口を取得している。 キム・ジョンウンは「朝鮮の核武力は、米国のいくつかの形式の核兵器の脅威にも粉砕して対応するのに十分であり、また米国を抑え、敢えて火遊び冒険をすることが出来ない様にする強大な抑止力である。
米国は絶対に、朝鮮に戦争を発動することが出来ない。」と。おそらく、根本的な変化が朝・米関係で発生しているようだ。 南北関係は民意と時代潮流に順応して、対話と和解に向けて進んでいる。
● ロシアのプーチン大統領の発言
ロシアの衛星通信社の1月12日の報道によると、数日前、ロシアのプーチン大統領が朝鮮半島情勢の評価をする時に、 "私はキム・ジョンウンが、この試合では間違いなく勝ったと思う。 彼は自分の「戦略的任務」を完成させた”と述べたと言う。
プーチンは補足説明では、現在キム・ジョンウンは「収束、緩和、平静情勢」を希望しており、「彼は機転が速く、聡明で、成熟した政治家」と述べた。
さらにプーチンは、朝鮮問題は必ず、現実と結合した対話を通じて解決しなければならないとした。 多くの兆候は、韓国のすべての人々は、疑いの余地なく、南北対話と和解を強烈に希望しており、民衆の絶対部分は、米国の対朝鮮半島政策について、当然不満を示している。
事実上、米国と韓国の見解の違いは絶えず増大しており、もし、この差がさらに拡大されると、南北関係が、むしろ、一歩近づくものであり、或る種の程度に達する事になれば、必ず、中国、ロシア、日本など、朝鮮半島と相互関係を持った国々に影響を与えるものである。
その後、朝鮮半??島の構図は、さらに北東アジアの秩序まで、直ぐ、新たに版を組まなければならない可能性がある。
(訳 柴野貞夫)
関連写真(柴野時事問題研究会による)
▲ヒョン・ソンウォル三池淵管弦楽団団長が21日、ソウル駅に到着し、バスから降りている。(ハンギョレ新聞社)
三池淵(サムジヨン)管弦楽団のチケットの応募が3日、締め切られた。全体で530組(1060人)の募集枠に、約290倍の約15万6千組が応募。ソウル公演の競争率は468倍に達した。
▲2日午前、江原道原州市の江原監営前で開かれた<2018平昌冬季五輪南北共同応援団発足記者会見>で、出席者たちが応援時の掛け声が書かれたプラカードと統一旗を振りながら歓呼している。(聯合ニュース)
▲朝鮮・マシクリョンスキー場で、1日、南北合同練習を行った選手たちのツウショット
(韓国写真連盟提供)
▲同上 南北選手が合同練習する、朝鮮・マシクリョンスキー場。雪質も設備も素晴らしい。
▲北選手の誕生日を共に祝福する、南北選手たち(写真提供・大韓体育会)
<関連サイト>
☆「新年の辞」 朝鮮労働党委員長・金正恩 (朝鮮中央通信 2018年1月1日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_605.html
☆論考/米国と安倍政権は民族同士の対話に対する妨害策動をやめろ(その1) 柴野貞夫時事問題研究会 2018年1月28日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_61.html
☆論考/「社会主義・朝鮮の崩壊を妄想し、67年間に亘って核威嚇を繰り返してきた米帝国主義の対北政策の敗北」(柴野貞夫時事問題研究会 2017年12月10日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_60.html
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