(韓国民衆言論 <労働者連帯>171号 2016年4月15日)
http://wspaper.org/article/17079
総選挙結果が見せてくれたもの
- パククネ(朴槿恵)政府(セヌリ党)の惨敗、労働階級(正義党)の前進
キム・インシク (労働者連帯 運営委員)
●セヌリ党の政党得票は、2012年の総選挙に比べ、約200万票減った。
● 家計の負債は継続して記録を更新。青年の失業率は2000年以降最高値。所得不平等もOECD最高水準。しかも、資本家階級による労働者への更なる支配強化-<労働法改悪>に対する戦いの高揚。民衆は、‘安保’より、‘食べる事と、生きていく事’が問題だ。
● 米韓合同軍事演習・ケソン工業団地からの撤収など、‘北風’―北の脅威を煽り立て、反政府勢力を‘従北’と誹謗し、権力の維持を謀って来た。
●民衆の反パククネ感情を取り込んだ、二つの資本主義野党―《ともに民主党》と、《国民の党》の議席増。しかし一方で、労働者・市民の《進歩・左派》政党が前進した。
● 真の変化を生むには、これら資本主義的野党から独立的な、下からの大衆闘争を通じてのみ可能である。
● 民主労総の総選共闘本部は、労働者候補対資本家候補の対決構図を形成した。
●来年の大選に向け、<汎進歩・左派―選挙連合政党案>が、論議されている。
首をうなだれたセヌリ党 (写真提供「民衆の声」)
セヌリ党の政党得票は、2012年の総選挙に比べ約2百万票減った
セヌリ党が完敗した。この間、パククネは、「労働改革法」、「サービス産業活性法」、「サイバー安保法案」などを、通過させる事が出来ない国会を非難しながら国会の審判を叫んだ。しかし、開票結果が明明白白に見せてくれた様に、まさに審判を受けたのはパククネ政府自身だ。
セヌリ党は、ノ・ムヒョン(盧武鉉)弾劾反対運動が、起きた2004年の総選挙以後、初めて第1党の地位を失った。また、2000年の総選挙以後、16年ぶりに与小野大(少数与党と多数野党)の国会となった。
いま、パニックに落ち込んでいるセヌリ党を見ながら、数多い労働者と青年・学生・庶民らが満面に笑みを浮かべているのだ。
当初、セヌリ党は、野党圏分裂状況を勘案して、最大値目標を180席達成を見積もった。各種世論調査機関も、セヌリ党が、分裂した野党を阻止して2017年の大統領選挙で、政権再創出の可能性を高めるだろうと予測した。この期待と予測は、すべて見事に外れた。
セヌリ党の政党得票は、2012年の総選挙に比べ、約200万票近く減った。2012年総選挙で、セヌリ党は982万票を得たのに、今回の総選挙では796万票を得た。
セヌリ党の絶対牙城と呼ばれたソウル・カンナム、ソンナム・プンタン、ヨンナムが揺らいだ事も意味深長だ。ソウル・カンナム3区の選挙区8か所のうち3か所で、セヌリ党が敗北した。ソンナム・プンタン区の2か所でも、セヌリ党が敗北した。テグ(大邱)では野党と野党性向の無所属が当選した。
セヌリ党の主要支持層の間で離反が起きたのだ。総選・大選で、支配階級と右派が全て一致団結し、パククネを積極的に支えた2012年とは、まったく違う様相だ。‘鐵甕城’の様だったパククネの右派的基盤でも、裂け目が広がった。
セヌリ党の惨敗は、主にパククネ政府の右派的経済政策に対する不満の為のようだ。家計の負債は継続して記録を更新し、青年の失業率は2000年以降最高値を記録しながら 所得不平等も、OECD最高水準に達するなど、庶民の経済に対する不満が広範囲に存在する。
セヌリ党の敗北は、経済に対する不満が 、北韓の核実験とミサイル発射など安保の憂慮を背後に押し出した事を見せてくれる。“セヌリ党の思わしくない成績は、有権者達が以前ほど、国家安保の争点化に揺るがないことを見せている”(<ニューヨークタイムズ>)(訳注―‘北風’―北の脅威を煽り立てて、権力の維持を謀って来た南朝鮮支配階級の政策が、通用しなくなったと云う事を指す)
過去、選挙時、南北対峙局面が形成されれば、右派は、対北強硬策を繰り広げ、よく選挙を、自分達に有利にすることが出来た。しかし、対北制裁と、(パククネ政権による一方的な)ケソン(開城)工業団地からの撤収・閉鎖など、パククネ政府の対北強硬策は、(世論調査では高い支持を受けたが)―実際の選挙では大衆の票心(支持)を動かす事が出来なかった。
それよりは、‘食べていく’問題に関する不満と不安感が選挙を支配した。北韓や、‘北風’、‘従北(訳注−朝鮮に対するパククネ政権の政策を批判する人々に向けられた誹謗的レッテル)’イデオロギーなどは、主要な選挙の議題とはならなかった。
二つの資本主義野党《ともに民主党》と、《国民の党》
○この二つの<資本主義野党>の階級的性格を見た時、国会に期待をかけるのは駄目だ。 真の変化を生むには、これら資本主義野党から独立的な、下からの大衆闘争を通じてのみ可能である。
《ともに民主党》と《国民の党》は、パククネ政府の経済政策に従う大衆の不満から、反射利益を収めた。《ともに民主党》は123席を得て、第1党となった。《国民の党》は、38席を得た。
《ともに民主党》を率いるキム・ジョンインは、保守的な人物だ。1980年チョン・ドハン( 全 斗煥)の国家保衛非常対策委員会(国保委)に参与した前歴があった。ノ・テウ(盧泰愚)政府でも重用された。そして、2012年の大選で、パククネ勝利の功臣でもあった。そんな彼が、‘経済の民主化’を掲げ、パククネ政府の財閥第一の経済政策を批判した。
こんな《ともに民主党》のポピュリズムが,‘ピーナツ回航事件’(訳注―2014年12月の航空機会社のオーナーの娘である副社長が、ピーナツの機内サービスの仕方が悪いと暴行、離陸中の機体を止めた事件)、ロッテ家の経営権紛争事態、財閥3世達のパワハラ、天文学的社内留保金など、財閥に対する国民的反感とかみ合わされ、多少の利得を見たようだ。
しかし、《ともに民主党》は、第1党となる事となったが、」政党得票数(600万余票)は2012年の総選(771万票)より、むしろ170万票ぐらい減った。第3党となった《国民の党》の得票数(635万余票)よりも少ない。それにも拘わらず、政府・与党に対する支持が大きく減って行ったお陰で、第1党となった。
スポーツウェアー事業家から、政治家に変身した億万長者、アン・チョルスは、《セヌリ党》と《ともに民主党》の間の‘保守的中道層’を攻略した。これを通して第3党に上がる事が出来た。《国民の党》は、ホナム地域で《ともに民主党》の地位を代替えしたが、首都圏ではぽつんと、2議席だけ得た。
《ともに民主党》と《国民の党》の階級的性格を見た時、16年ぶりに「与(党)小、野(党)大」になったとして、国会に期待をかけるのは駄目だ。2004年の総選で、ハンナラ党(セヌリ党の前身)が、ノ・ムヒョン弾劾反対運動の逆風に晒されて、《開かれたウリ党》が単独で過半を確保したが、それは改革を提供しなかった。ノ・ムヒョン(盧武鉉)政府は、イラク戦争に派兵し、韓・米FTA協定を強行した。
(労働者階級にとって)真の変化を生むには、これら資本主義的野党から独立的な、下からの大衆闘争を通じてのみ可能である。
進歩・左派政党の成績
○主流政党が右傾化する中でも、200万名を超える普通の人々が、資本主義野党ではない、進歩・左派政党を支持したと云うことは意味深い。
進歩・左派について言えば、辞表論理・圧迫にも拘らず、大変良い成績を収めた。《新しい政治民主連合》の‘分裂’で、セヌリ党が大勝利するかも知れないと言う大きな危機感の為に、野圏性向(野党支持層)の有権者達は、進歩・左派の候補達よりは《ともに民主党》と《国民の党》に投票した。その希望に、進歩・左派政党が大きく圧縮(候補者調整)をやり抜いた。
我が陣営(労働者連帯)は、すべてで8席を確保した。《正義党》が6席を、《ウルサン(蔚山)連合》系列(無所属)が、2席を得た。これらについて、中道進歩系言論―<ハンギョレ>は、‘進歩政党の萎縮が目立っている’とか、‘期待以下の成績表を受け取った’と評価した。
(これが)‘進歩・左派の主張が非現実的’だと考え、選挙時ごとに、主として民主党内の‘改革派’を支持してきた<ハンギョレ>の答えだ。また、他の、中道進歩系言論―<キョンヒャン(京郷)新聞>も、それと似た様に評価した。
しかし、進歩・左派陣営の一角でも、進歩・左派4党(正義党、緑色党、民衆連合党、労働党)の議席数と、政党支持率が2012年に比べ、少ないとか、低いとし、“低調な成績”だと云う自虐的評価が出た。
▲ウルサン(蔚山)・チャンウオンで、労働者達による選挙突破。前3年間,労働者達が抵抗したお陰であり、今後また他の抵抗を鼓舞することが出来るという点で重要だ。ウルサン東区のキム・ジョンフン当選人(左2番目)、ウルサン(蔚山)北区ユン・ジョンオ当選人(左3番目) (写真提供―民主労総・蔚山本部)
しかし、韓国の選挙制度は、勝者独占(小選挙区制度)なので、議席数の変化だけで評価しても、進歩・左派政党の支持の増減を正しく見ることは出来ない。それよりは、政党得票の絶対数を見るのが、もっと正確に支持の趨勢を確認することが出来る。
進歩・左派4党が得た政党得票数は、213万票ほどだ。去る2014年地方選挙時,我々の政党が得た広域比例政党得票の合計(223万余票)と大略同じだ。当時、地方選挙に、今回の総選挙と同じように、正義党、進歩党、緑色党、労働党が出馬した為に、2012年総選挙から比較することが適切だ。
今回の総選挙で《ともに民主党》が右クリックし、《国民の党》が、セヌリ党と《ともに民主党》の間で保守的中道層に求愛するなど、主流政党が右傾化する中でも、200万名を超える普通の人々が、資本主義野党ではない、進歩・左派政党を支持したと云うことは意味深長だ。
進歩・左派政党達は、二つの資本主義野党(《ともに民主党》と《国民の党》)より、遥かにもっと、進歩的で左派的な改革公約を提示した。
進歩・左派4党の中で《正義党》の成長が特に目につく
○《正義党》は、国会内で唯一‘労働改革’に反対する政党であるが、その党指導者は、民主労総に社会的合意を注文した “韓国資本主義の民主的改革”を標榜する改良主義者だ。従って、彼らに対する革命的批判を留保するつもりはない。
172万票(得票率7.23%)を獲得した。2014年の地方選挙(82万票)と比較し、2年ぶりに政党得票が伸びた。そのうえ、セヌリ党と《ともに民主党》が野合して、比例代表議席を減らした情況で、《正義党》は比例代表4席と地域区2席を含む6席を得た。《正義党》の支持増大は、既に昨年から《正義党》の成長可能性を見通した<労働者連帯>新聞の分析が正しかったことを示している。
《正義党》に投票した層の性格は、単純ではないだろう。新しく急進化する青年・大学生達が、《正義党》にかなり投票したと云う事が言える。
闘争性が弱化された組織労働者達は、闘争が手に余るので、選挙を通してパククネの攻撃を防いで見ようと云う考えで、《正義党》に投票したと云える。他方、新しく組織された労働者の部分(ケ―ブル・通信、宅配、学校非正規職等々)は、《正義党》に投票することが、それなりの急進化と闘争性の発露だと云える。
▲《正義党》の成長。《正義党》は2年ぶりに、2倍に政党得票が伸びた。《正義党》のノ・フェチャン当選人(写真出処―ノフェチャン フェースブック)
《正義党》の綱領は、西欧の主流、社会民主主義政党と同じだ。だから《正義党》は、“韓国資本主義の民主的改革”を標榜する改良主義者だ。
我々社会主義者は、資本主義政党に対決する限りで、《正義党》の様な社会民主主義政党を支持しなければならない。
しかし、社会民主主義が、もともと身に着けている、足りない事を知らぬふりをする機会主義的処身(処世)を許す訳にはいかない。従って、革命的批判を留保してもいけない。
例えば、昨年春、《正義党》指導部は、公務員年金改悪と国民年金改善を(ワンセットで)交換しようとする―しかし、実際、国民年金の改善は、公務員年金の改悪の為の餌だっただけだ―《正義党》は、《セヌリ党》と《新政治連合》の野合を公然と賛成しながら、国会の評決時は、公務員・教師 労働者の反発を意識して棄権した。
‘階級より、国民(民衆)を’意識する《正義党》の改革主義路線から始まった事件だった。また、北韓核実験直後である去る1月8日、パククネ政府の対北強硬策に力を与えてやる為の‘北韓核実験糾弾国会決議案
’に、《正義党》議員らは賛成した。《正義党》指導者達は、資本主義国家の外交・安保政策で、自分達も有能である事を立証したいと考えている。
こんな態度は、地政学的危機情況で、自国安保(即ち、自国の支配階級)を支持する側に進む危険がある。今回の総選挙で《正義党》の一部指導者の‘太極旗マーケティング’は、そんな傾向が発展する兆候を、チラッと見せていた。
また、インチョン(仁川)では、チェジュ(済州島)カンジョン村鎮圧を現場指示した警察幹部−ユン・チョンキと、‘単一化’をした。
《正義党》は、国会内で唯一‘労働改革’に反対する政党であるが、その党指導者達は、民主労総に社会的合意(即ち、組合員達の利益を,一部背信する妥協)を注文した。これは特に、労働者の闘争よりも、国会内の協議、資本主義的野党の議員達との共助を重視し、労働者達を受動的にする危険がある。
我が労働者連帯は、《正義党》が,純然たる資本主義政党より,どんな場合であれ、もっと良いと見ているが、《正義党》のこんな問題点に対する批判を、留保することはない。
《緑の党》は、18万2000余票(0.7を%)を得て、去る地方選挙(17万票)時より若干少し増えた。そうであるが、ピョン・ホンチョル候補は、大邱・タルソカブ地域区で30%を得票したので、この党の未来も無視することは出来ない。
2014年の地方選挙で、《進歩党》が97万票を得たのであるが、その主流派の政党である《
民衆連合党》は、14万5000余票(0.61%)を獲得した。‘民主労働党よりもっと、大きくなって帰って来た’と云う宣伝が、虚言として現れた得票だ。
《労働党》は、去る地方選挙(26万票)より少なく(9万1000余票、0.38%)。恐らく昨年,年末の分党後遺症の為だろう。そうでも、ウルサンの多くの人々に、出馬したイ・ヒャンヒ候補が20.5%を得て、鼻から可能性がないわけではない事を示した。
進歩・左派政党の絶対得票数を見た時、<民衆の声>が進歩・左派政党が分裂して前回総選挙に比べ、議席数が減ったと評価することは、極めて皮相的だ。<民衆の声>は、進歩党に対する従北攻勢に対処できず、進歩・左派政党の支持が過去に比べ減少したと主張する。これは我田引水に過ぎない。
民主労総の総選共闘本部は、労働者候補対資本家候補の対決構図を形成した
○共闘本部は、重要な選挙区で、労働者候補を単一化することが出来るモメンタム(勢い)を作った。
ウルサン(蔚山)北区と東区で、《セヌリ党》候補達は、キム・ジョンフン、ユン・チョンオ候補が、統合進歩党出身である点を、噛みついて食い下がり、執拗に‘従北左派’だと非難したが、労働者達に全く受け入れられなかった。‘従北魔女狩り’の効果を膨らませることは、現実と合わないのだ。一方、こんな皮相的な評価は、今回の選挙での民主労総の役割を、全く無視する事でもある。
民主労総は、今回の選挙で6か所の戦略地域を選定した。(チャンウオン(昌原)ソンサン、ウルサン北区、ウルサン東区、キョンジュ、プサン―チンウル、)この内3か所で、民主労総候補が当選した。チャンウオン ソンサン、ウルサン北区、ウルサン東区。
民主労総が、総選共闘本部を構成し、ウルサンとチャンウオンの様な重要な選挙区で、労働者候補を単一化することが出来るモメンタム(勢い)を作った。(この
総選共闘本部の推進力は、パククネ政権の攻勢に、罷業と民衆総決起等で対決した昨年、民主労総労働者の抵抗だった。)そのお陰で、この地域で労働者候補対、資本家候補の対決構図を形成し、労働者達の階級投票を引き出す事が出来た。2012年総選に比べ、ウルサン北区では、1万9000票を、東区では更に1万7千票を得た。ウルサン(蔚山)中区のイ・ヒャンヒ候補も、2012年の4千200票から、2万2000票に支持が増えた。
この気勢に抑えられ、この地域のセヌリ党・資本家候補者達さえ、‘労働改革’に反対すると言った程である。‘組織労働者達が,社会的に孤立させられている’とか、‘組織労働者達の団結力が、新自由主義で切り裂かれた’と云う,一部民衆主義者達の主張が、どれ程現実とかけ離れたものであるかを知ることが出来る。
民主労総の戦略選挙区の脊髄骨は、すべて民主労総・金属労組だった。ウルサン北区と東区は、それぞれ現代車と現代重工業労組が主軸だった。チャンウオンとキョンジュも、それぞれ金属労組キョンナムと、金属労組キョンジュ支部が下支えをしてくれた。これも、組織労働者達(特に金属労組)の支持のお陰だった。闘争でだけでなく、‘政治’領域でも金属労組が最も先進部位であることを確認することが出来た。(金属労組指導部は、金属労組政治実践団を組織し、バスツアーをした。)
進歩・左派の展望
○来年の大統領選に向けた、<汎進歩・左派―選挙連合政党案>を支持。
労働者運動と進歩・左派運動の中で、来年の大統領選挙を念頭に置いた展望論議が必ずあるだろう。民主労総は昨年12月、選挙連合政党案を提案したことがある。(最終挫折されたが)。すべての進歩・左派の政治勢力を一緒にする選挙連合政党を構成しようと云う案だった。今回、当選した戦略候補達を中心に、民主労総が連合政党を推進する可能性がある。むろん、《正義党》が受け入れなければ、非効果的な再構成に終わり易いだろう。
昨年《労働者連帯》は、階級闘争とその中での根本的社会変革の組織建設をすることに、優先順位を置きながらも、民主労総の選挙連合党の提案を支持した事がある。以後、民主労総の論議でも、我々は前に言及した優先順位を明らかにしながら、<汎進歩・左派連合党>の提案を支持するものである。
このとき、 汎進歩・左派連合党問題が、階級連合主義的常設連帯体の構築の狙いに、変質されない様に注意しなければならない。この為に、汎進歩・左派連合党は、資本主義野党勢力を除外した、進歩・左派陣営としてだけに限定しなければならないと云う点、資本主義野党と共同の執権を追及してはならないと云う点、参与団体などの独自性を保証する緩い共同運命方式でする事などを主張しようとした。
最後に、選挙の敗北で、パククネの労働改悪など各種改悪計画が水の泡となり、執権党の来年の大統領選挙競争も、(パククネにとって)厳しくなるだろうと云う観測が多い。しかしこれは、生半可な楽観だ。むしろ、世界の資本家どもの有力新聞<フィナンシャルタイムス>の展望がもっと正確だ。
“選挙の敗北は、パククネ大統領にとって、大きな打撃だ。彼女は自分の経済の議題を、もっと強力に推進する方法を探すだろう。選挙結果は、パククネの権威主義的政治スタイルに、大衆が疲労感を感じている事を見せているが、彼女のスタイルは変わることはないだろう。”
経済危機が深刻になっている状況で、資本家たちが‘強い’政府を願っているためだ。だから、パククネは、早期のレイムダックを防止し、選挙惨敗の記憶を消すために、数日の内に他の争点で大衆の視線を逸らそうとするだろう。
まもなく、‘労働改革’法案通過も推進するだろう。そうであれば、セヌリ党の敗北で各種改悪が、特に労働改悪が水の泡になったと考えるのは浅はかだ。特に、セヌリ党は、<無所属>と<国民の党>と、<ともに民主党>の一部を引き込み、‘労働改革’法案を推進することが出来る。
無論、労働者階級と青年・学生達は、パククネの敗北に鼓舞され、闘争に出ていくだろう。社会主義者達は、こんな闘争と根本的な社会変革組織の建設に邁進しなければならない。
(訳 柴野貞夫 2016年4月20日)
<関連サイト>
☆471 憲法裁判所による統合進歩党(強制)解散(韓国・チャムセサン 2014年12月19日付)
☆ 世界を見る−世界の新聞/パク・クネの容易い解雇と、賃金削減のための政府指針を廃棄せよ(韓国・<労働者連帯>166号 2016年1月27日付)
☆ 民衆闘争報道/戦争法廃止と朝米平和協定の締結で、東アジアの平和を実現しよう−「日韓平和連帯」結成の集いが開催された(2016年2月23日)
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