(韓国 民衆言論プレシアン 国際ニュース 2016年1月12日付)
http://www.pressian.com/news/article.html?no=132485
オバマは、朝鮮を<スマート核爆弾>で攻撃するつもりか
−ノーベル平和賞を受けたオバマは、核兵器開発競争と朝鮮半島での核戦争を煽っている
チョン・ウンシク(韓国)平和ネットワーク代表
●核兵器現代化計画―戦術核兵器の開発を推し進める米国は、 核戦争と非核戦争の境界を曖昧にし、先制核攻撃をしようとしている。
●オバマは、ノーベル平和賞の根拠となった、2009年4月にチェコ・プラハでの演説、“核兵器無き世界に向けて、 国家安保戦略で、核兵器の役割を減らす”との約束 も、2010年ロシアとの‘新しい戦略兵器削減協定(New
START)’も、反故にした。
●米国は、‘朝鮮の核脅威’を口実に、朝鮮半島には随時、(核搭載)戦略爆撃機を投入し、朝鮮に対し核戦争威嚇を行っている。
“朝鮮が昨年秋、米国のスパイ衛星が見守る中、核実験場のトンネルを掘っている時、オバマ行政府は、ネバダ砂漠で自分の核実験を準備していた。”
<ニューヨークタイムス>が、12日報道した内容だ。この新聞に依れば“米国最初の精密誘導原子爆弾の模擬弾を搭載した戦闘機が、離陸”し、この原子爆弾は“朝鮮と同じような問題を念頭において考案されたもの”だ。
米国の代表的な戦術核―B61の改良型である‘モデル―12’(B61―12)は、主たる敵対国の核実験場や、核武器保有庫を攻撃する為のものとして、正確度は大きく高い代わりに、爆発力は大きく低い方向に開発されている。軍事的効率性は極大化しながら、付随的被害と放射性落塵(落下物)は最小化し、米国の核攻撃オプションを多様化すると言う意図が内包されたものだ。
‘スマート核兵器’と呼ばれる‘B61―12’は、今後30年間、1兆ドルを投入するオバマ行政府の核兵器現代化計画の一環だ。米国は、この様な核クルーズミサイルプロジェクトに約300億ドルを投入し、1000個の核兵器を確保すると言う計画も立てている。
(上写真)小型精密誘導核爆弾―B61-12の落下場面
しかし、オバマの‘スマート核兵器’は、決して賢い選択とはならない。即座にロシアは、この核兵器の実験について、“無責任にも、あからさまな挑発”だと反発している。中国は、米国の核搭載クルーズミサイル増強に神経を尖らせている。朝鮮はやはり、“漸増する米国の核脅威”を非難しながら、自らの核抑制力増強の必要性を訴えている。これに依って、‘核兵器なき世界’を主張し、ノーベル平和賞を受けたオバマ行政府が、新しい核軍備競争を惹起すると言う懸念が、米国の中にも出ている。
特に、‘B61―12’と同じ精密誘導核兵器は、核兵器と非核兵器の境界線を曖昧にする。これは、攻撃する側や、攻撃を受ける側すべてに該当する。攻撃者の立場では、‘スマート核爆弾’が大量殺傷を引き起こさなくとも、軍事的目的を達成する事が出来ると考える事が出来る。それだけ、核兵器使用の敷居が低くなる。
一方攻撃を受ける側の立場では、米国が核兵器を使用する可能性が高いと考えている。それだけ、攻撃を受ける側の核報復の敷居が低くなって、核戦争が起きる懸念が大きくなる。バラク・オバマ大統領は、2009年4月にチェコ・プラハで、‘核兵器無き世界’を主題に演説し、米国が率先垂範を見せると誓った。
特に、“米国の国家安保戦略で、核兵器の役割を減らす”と約束した。この発言は、その年の12月、ノーベル賞委員会が、オバマを平和賞受賞者として発表しながら引用したものでもあった。
また、オバマは、2010年ロシアと‘新しい戦略兵器削減協定(New
START)’を締結する時でも、“米国は、新しい核弾頭を開発したり、核兵器の新しい軍事的任務と能力を追及しない”と言った。
しかし、任期の終わりに彼が見せてくれる姿は、失望極まりない。オバマ行政府は、2015年9月に、30年間に1兆ドルを投入する‘歴代最大級’の核兵器現代化計画を立てた。
北韓( ‘朝鮮)の核脅威’を口実に、朝鮮半島には随時、(核搭載)戦略爆撃機を投入している。とうとう、全くスマートでない精密誘導核兵器開発に突入し、核戦争と非核戦争の境界線を曖昧にしている。
万一、こんな動きにブレーキがかからなければ、米国と戦略的競争を繰り広げているロシアと中国も、核兵器の現代化に拍車を加える公算が大きい。特に、朝鮮半島は、最も懸念に値する(憂慮して当たり前)だ。北韓(朝鮮)は、2次攻撃能力を確保するとして、核能力強化の手綱をもっと引き寄せるだろう。
韓国内の一角では、‘B61―12’(小型核爆弾)を韓国に配置しなければならないと声を高めるであろう。そして、米国が朝鮮半島で、繰り広げる核武力示威の敷居も低くなるだろう。第2の核時代にさしかかった朝鮮半島は,憂鬱でしかも不安な未来でないはずがない。
(訳 柴野貞夫 2016年1月12日)
<参考サイト>
☆ 朝鮮を狙った米国の核兵器は、どれ程のものなのか(朝鮮民主主義人民共和国・労働新聞 2015年2月6日〜12日付)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_482.html
☆主張/米韓合同軍事演習<キー・リゾブル>は第2次朝鮮戦争の導火線(2013年3月11日)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_40.html
☆論考/米国と追随国家の核攻撃から社会主義朝鮮を防衛せよ(2)(2013年3月2日)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_39.html
☆論考/米国と追隋国家の核攻撃戦争から社会主義朝鮮を防衛せよ(1)(2013年2月23日)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_38.html
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