(韓国 社会主義政治組織・タハムケ機関紙 <労働者連帯>2015年10月7日付) http://wspaper.org/article/16391
安保法案(戦争法案)改定以降の日本の反安倍闘争
安倍政権は直ちに、南スーダンPKOを展開する自衛隊に新安保法の適用準備し、武器の開発・購入・輸出を総括する‘防衛装備(武器)庁’を新設した
安倍政権の≪安保法案≫(別名 ‘戦争法案’)が、7月16日衆議院に続いて9月19日参議院を通過した。
昨年7月1日、憲法解釈変更を通して集団的自衛権を容認した後、1年9か月ぶりだ。安保関連法案諸・改定に、1年を越える時間がかかったのは、反対運動の抵抗が有った為だ。‘安保法案(戦争法案)’に反対し、粘り強く運動を建設して来た日本の運動諸団体が団結するや、その間、不満はあるが立ち上がる事に消極的だった日本の平凡な労働者、市民、学生たちが、自信を持って‘安倍即刻退陣’を叫び、全国で100万人が街路に出た。
今、日本の支配者達は、全世界で米国などと共に戦争する事が出来る法的基盤を置いた。安倍政権は直ぐ、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)を展開している自衛隊に新しい安保法を適用し、任務を拡大しようとしている。PKO活動中の自衛隊の武器使用基準を緩和し、現地で外国軍などが攻撃を受ける場合、自衛隊が緊急出動し、武力が使用出来る様にする‘出動警護’(駆けつけ警護)任務を追加した‘実施計画’を、来年に閣議決定すると言うのだ。
また、10月1日には、防衛省全体予算の約40%を執行し、武器の開発・購入・輸出を総括する‘防衛装備(武器)庁’を新設し、今後活動の幅が広がる自衛隊を積極支援する事とした。
法案成立以降も、‘戦争法廃止、安倍退陣’運動が粘り強く繰り広げられている
しかし、‘安保法案’が成立したとしても、日本の支配者たちが、直ぐ戦争を繰り広げる事が出来るわけではない。依然として憲法9条が存在しており(安保法制に対する違法性の論難)、今回の闘争で急進化した人々の抵抗と反対世論が容易には収まらないからである。安倍の非民主性と傲慢さの為に、しばらく、反対世論と運動が維持される様だ。法案成立以後にも、‘戦争法廃止、安倍退陣’運動が粘り強く繰り広げられている。
‘総力行動実行委員会’は、9月19日即刻声明を出し、“我々は、全国で行われた抗議行動で、政府・与党を窮地に追い詰め、民主・共産・社民・生活党の連帯を作りだし、野党の闘争を強化する画期的な状況を生み出した。我々の行動は継続するであろうし、必ず戦争法の発動に制動をかけ、これを廃止するだろう”と言った。
安倍政権は“人間の命を軽く考え、国家の為に犠牲を強いようとしている”
去る10月2日開かれた‘安倍政権NO!大行進’には、安倍が推進する‘戦争法’、核発電所、憲法改悪、沖縄米軍基地、特定秘密保護法、TPP、消費税増税、社会保障削減、労働法改悪、差別・憎悪の扇動、農業・教育政策などに反対する数万人が集まった。
彼らは、安倍が推進しようとする諸政策には、“人間の命を軽く考え、国家の為に犠牲を強制しようとしている”という共通点があるとし、“安倍は退陣せよ”と叫んだ。
日本共産党の‘国民連合政府’の提案は、反安倍・‘戦争法’廃止運動のなかで肯定的に捉えられている
一方、日本共産党は9月19日、“戦争法廃止の為の国民連合政府”を提案した。これ等は、‘戦争法’廃止、安倍政権打倒闘争を更に発展させ、‘戦争法’戦争法廃止に同意する政党・団体・個人が一緒になって、国民連合政府を作ろうと訴えている。この為に、来年7月の参議院選挙(衆議院解散時の総選挙)で、反安倍(自民党)の選挙連合を提案したものである。この為に日本共産党は、労働組合、市民社会団体等に会い、懇談会を開いている。
日本共産党の‘国民連合政府’構成の為の‘選挙連合’が、少なくない諸運動団体に‘戦争法’成立以後の運動の代案として考えられている様だ。
学生・青年運動として注目を受けている‘シールズ((SEALDs)’などの運動陣営と民主党などは、選挙連合を通した国民連合政府の構成に肯定的な反応を見せている。大きな異変が無い限り、運動の重要性の重心は、選挙対応に移るものと思われる。
多数意見に耳を傾け、命を尊重する政府であるべき、多くの人々はこの事を願っている
今、日本の多くの人々は、多数の意見を無視し暴走する政府でなく、多数の意見に耳を傾け、命を尊重する政府が(その席に)就く事を願っている。
但し、10か月後にある参議院選挙で、どの程度実質的な選挙連合が可能なのかは未知数だ。そして、既に去る2012年の夏を頂点として高揚した日本の反核・反原発運動が、同じ年の12月の総選挙対応の方向に旋回した経験がある。しかし、当時多くの人々が、執権・民主党の後退と背信に失望する反面、代案的政治勢力は不在し、安倍が総理となった。
反安倍の闘いは、究極的には反資本主義的労働者運動に向かわなければならない
したがって、運動を共にした政治家達は、“今、我々の側に立つのか、彼らの側に立つのか”を決断しなければならない。反安倍運動の声が力を得るためには、これを彼らに強制する事が出来る強力な力を見せてやることが重要だ。
未だ、この運動の方向が決定されたわけではない。安倍政権に対決して抵抗し行動する、日本の労働者・民衆に注目しなければならない。
そして、日本の支配者達の軍国化の野心と強い日本を作ることは、安倍個人の欲心だけではない。世界経済の長期化した危機の中で、熾烈な帝国主義経済を反映している。従って、日本でも究極的に、反資本主義的労働者運動が成長する事が重要である。
(訳 柴野貞夫 2015年10月10日)
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