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シリーズ・<地域自治会を、国家の住民動員組織にさせない為に> (2014529日)


         地域自治組織を国民総動員組織に変えようとする国家
         −地方行政組織及び警察権力と如何に闘うか



[資料]
平成26年度藤原台自治会 役員ならびに各班長さん、
各会員の皆さんへ
5月22日付で会員に回されてきた「回覧」中、 「4、共同募金等についての手順」の記述は、「自治会の寄付問題に関する平成25年度役員会の<申し送り事項>の趣旨」を根本的に否定するものです。この違法性の高い「手順」を提案された役員の皆さんに対し、その撤回を強く求めます
                                  (前 藤原台自治会副会長) 柴野貞夫

● 自治会は、(目的も趣旨も違う)他組織の為の、金集めの下請けになってはなりません。

1に、私達自治会は、自治会とは趣旨も目的も異なる他組織の為の、寄付活動の代行行為を行う事は、あってはならないと(申し送りで)決定しています。

「回覧」で、「(ア)募金等の要請のあった段階で、各戸に封筒を配布。(イ)募金の意思のある方は封筒に募金を入れて班長に渡す。(ウ)それを役員側でまとめて納付する。」とありますが、これ等一連の流れは、「自治会とは趣旨も目的も異なる他組織の為の、寄付活動(金集め)の代行行為(下請け)」そのものではないのですか?

他の組織のための金集めに、わが自治会の班長が動員され、役員がまとめ、「納付する」など、目的も趣旨も異なる組織の為の金集めに、自治会が、下請けをする、筋合い、整合性がどこにあるのですか?それは、自治会の目的なのですか?

<自治会費に、寄付金を上乗せ徴収することは、会員の基本的人権の侵害>とした2008年最高裁判決・希望が丘(自治会)訴訟は、<上乗せ徴収>だけを問題としたのではありません。同時に、自治会と言う地域のボランティア組織が、目的が異なる他組織の為に金集めをする事から来る問題点を指摘したのです。このような<寄付金の上乗せ徴収>と言う人権侵害行為の原因は、ここにあったのだと。

●「自治会員に封筒を配布し、役員が回収する」行為は、強制的徴収と何等変わるところはありません。これは、自治会として、やってはならない他組織の金集めに、あまりにも深く関与する行為です。

自治会が「募金の集金方法」を決める事は、やってはならない違法行為だと、希望が丘訴訟・吉原主任弁護士は指摘しています。

2に、「@ 募金の強制性をなくす。」と言いながら、「封筒に入れて班長に渡す」と言う、従来から藤原台自治会で行われてきた<寄付徴収行為>を、又繰り返そうとしています。

「封筒を配布する」と言う行為は、1、で指摘したように、自治会としてやってはならない「他組織の金集めの下請け行為」に留まらず、誰が寄付をしたかが特定できる「強制性」を持った金集め、そのものです。

1年間に渡る論議の中で、今後、遣ってはならない事と、確認してきた事なのではないのですか?

私達は、「回覧」で述べているように、「募金に応じようとする会員への協力」は、<申し送り事項>として確認しているところです。しかしそれは、上記の様に、他組織のために、○自治会が金集めの下請けをする。○役員が会員に封筒を配布するのではなく→○募金に関する情報を流す、○協力する意思のある会員だけが、個別に振り込む(振り込み用紙があれば希望者だけ配布)など、知り得た情報は流すが、金の徴収に自治会は、直接、一切かかわらない事を決定しています。これらの基本的な立場にのっとって対応をして頂きたいと考えます。

希望が丘訴訟の吉原稔主任弁護士は、「自治会が、“募金の集金方法”決めるには、会員の100lの賛成が無ければ違法である」と言っています。これは、本来自治会が、他組織の目的のために使われる金を代行して集める事の不当性に基づく募金徴収自体に、違法性がある事を言っているのです。

「回覧」で、自治会役員が、「封筒を渡して班長が集める」と言うのは、吉原弁護士の言う“募金の集金方法”他なりません。「100lの賛成が無ければ違法」とは、やってはならない違法性の別の表現です。自治会は、他組織の金集めや事案に関るなと言う意味です。従って、「回覧」の「募金の手順」は、極めて違法性の高い行為です。

私は、これらの<申し送り事項>は、顧問として26年度新役員の中に残っている前会長代行の杉本氏が、新役員の皆さんに、正しく伝えているものと考えていますが、どうなのでしょう?杉本氏を含め、皆さんの真摯な検討をお願いします。

[もう少し掘り下げて、<寄付行為>を考えて見ましょう]
私たち藤原台自治会が扱って来た、<他の組織の事案>、特に、この「寄付」とは、本来どんな行為なのでしょう。

自分達の自治会組織と異なる、目的や趣旨を持った或る団体が、彼らの組織の為に、自分達以外の個人や団体から資金を集める行為が、「寄付の要請」なのです。このような「要請」に、それらの組織と趣旨も目的も異なる当自治会が、関る事は、自治会の役割でも、目的でもありません。

自治会組織の目的以外の他組織の事案(要請された寄付など)は、その扱いを巡って自治会員の中で、大きく意見が分かれるのです。

1に、他の組織のための寄付行為の代行は、自治会組織の活動目的ではないと言う自治会の組織原則から言っても当然ですし、2に、「どのような理由をつけても、寄付を要請する団体を巡って、自治会員それぞれの主義・主張・意見は、それぞれ異なるからです。

ですから、自治組織では、自分が参加している自治組織の目的・趣旨以外の他の組織の事案を扱う事は、色んな葛藤をうみだします。

そもそも本来、寄付を要請して来た他の組織に対して、私たちは、如何なる意見も差し挟む余地も無ければ、統制を加える権利もありません。人事権もなければ、集められた金額の使途を監査する事もできません。そんな寄付行為に参加するについては、色んな異論が出てくるのも当然ではないでしょうか。

その件で、一人でも不快に感じたり、自分の考えに、そぐわないと思う人が出てくるのも当然ですから、その会員の思想・信条・意見を尊重しなければなりません。その会員の意見や思いを無視することは許されません。

特に、<赤い羽根募金>(日赤社債や緑の羽根なども含め)は、この自治会組織の原則を破り、むしろこれを利用する事で、戦後、運営を継続してきました。

1年余りで交替する自治会役員>と言う、地域自治会の組織的特性に乗りかかり、また、特徴的には、「行政の庇護と癒着」を利用しながら、習慣的、伝統的にこの事を許して来たと言えます。しかし、この長年の慣行によって、<赤い羽根寄付>が、他の寄付行為とは違う特別の関係があるなどと言うのは、自治会との長年の間違った関係によって「特別の関係」があるに過ぎません。赤い羽根募金が、「自治会の目的・趣旨とは異なる、他組織」と言う、基本的概念を忘れてはなりません。
  赤い羽根の実態、70%が人件費、赤十字社とは無関係。執拗な自治会連合組織を使っての寄付徴収活動。
  藤原台自治会で、何の寄付か、分からず徴収してきた実態

この説明に異論を唱える人も居るでしょう。“この説明は、そうではない”と。或いは、“そうであっても良いではないか”と。そんな意見も未だあるかも知れません。積極的に寄付に応じてきた人もいたかも知れません。“大した金額で無いからとやかく言わずに寄付をすればよい”と言う会員もいます

しかし一方で、自治会の目的と異なる他組織に対し、会員それぞれの信条・思想の違いから「協力したくない」「寄付行為そのものに反対」、また、とくに従来から、その寄付行為・寄付の徴収は封筒の配布など、<役員による>半強制を感じさせる徴収形態を伴ってきましたから、不満をもっていた。ただ、知らず知らずに従ってきただけだとおっしゃる方もいるのです。

ただ、明らかな事は、この様に、当該の自治会の趣旨・目的と異なる、他組織が求めてくる要請事案と言うものにたいしては、必ず、自治会員の意見が分かれると言うことです。

ここで、「どちらが正しいか」を巡って討論する必要はありません。主義主張を争う様な事案を、自治会で取り上げる事自体が間違っているのですから。A党とB党のどちらが正しいかを争う様な、不毛の論争になるのがオチです。藤原台自治会は、藤原台に住む住民の快適な生活を求める非政治的ポランティア組織であって、主義信条をぶつけ合う所ではありません。だからこそ、信条や主義の異なる会員一人一人の人権が、自治会と自治会員によって、大切に守られなければなりません。

自治会の目的以外の事案を自治会に持ち込み、会員に押し付けた場合、あるいは、会員にとってそれが押し付けと感じられた場合、それに不満を持つか、反対し異を唱える自治会員にとっては、その内心の自由・信条を毀損され、踏みにじられる事になります。自治会は、会員に対し、<重大な、人権侵害>を犯す事になりますから、この様な事案は、自治会として扱ってはならないと言う事です。人の人権を否定してまで、他組織の寄付行為の代行をする事は、許せません。もし、それでも平気で、自治会が人権侵害行為をするようであれば、自治会の自殺行為です。

2008年の最高裁判決に対し、「福祉協議会」の幹部が“自治会で<多数決で>決議をすれば、問題は無い”と、HPで嘯(うそぶ)きましたが、全国で非難が巻き起こりました。“人権にかかわる問題を、多数決で決める事になるではないか。馬鹿な事を言うな”と。

  2008年の「寄付行為で、自治会費の上乗せ徴収は違憲」と言う判決についてですが、これは、二つの事実を明らかにしています。

@  長年行われてきた、自治会を利用すると言う、常態化した寄付行為(特に赤い羽根募金)の強制性ないしは半強制が、「上乗せ徴収」と言う、度が過ぎた所に来てしまった事例であると言う点です。→裁判にまで持ち込まれた理由です。
A  しかし、この問題は、裁判沙汰以前から、「自治会における常態化した寄付行為」の問題として、全国的に燻っていた事を明らかにし、「度が過ぎる」以前に、「自治会の本来の目的に反した行為」である事と、強制性を感じさせる自治会の寄付行為が、「自治会員の個々人の内心の自由、思想・信条を貶める人権侵害」となってきた事を強く指摘しています。

即ち、「度が過ぎ無いからよい」と言う類の問題でもなく、「上乗せ徴収」だけが問題なのでもなく、会員の意に反した自治会の寄付行為が、異を唱える人の人権を否定していると言う指摘です。

他組織のために、金集めをする行為に、自治会は一切かかわってはならないのです。(寄付を希望する会員については、先ほど触れた通り、いくらでも工夫があります。)

新役員の皆さんの、この問題に対するいろんな角度からの、ご検討ご研鑽を期待します。


もう一度繰り返します寄付(募金)に対する、自治会の取るべき方針は以下の通りです。

(募金に協力したい人には、)募金に関する情報を流す。
●協力する意思のある会員だけが、個別に振り込む(街頭募金もあります。振り込み用紙があるものについては、希望者だけ配布)など、知り得た情報は流すが、金の徴収に自治会は、直接、一切かかわらない事を決定しています。

滋賀県・希望が丘(自治会)訴訟・吉原主任弁護士の指摘100lの賛成がないのに、募金の集金方法を決めるのは違法である」事を、肝に銘じて下さい。

                                              2014525

 

 

<シリーズ2
●自治会の自主防災・防犯組織に、国家権力は何を狙うか?