(<書評>春日太一著「仲代達矢が語る日本映画黄金時代」2013年4月7日)
「仲代達矢が語る日本映画黄金時代」を通して学ぶ<戦争体験>
戦後日本は、<個人が国家の犠牲となってはならない社会、国家より個人が尊重される社会>を出発点とする事が出来たか?
「さよなら原発大和高田の会」代表・森本忠紀
春日太一様
「仲代達矢が語る日本映画黄金時代」を、とても楽しく読ませていただきました。一人の映画ファンとして、また、俳優仲代達矢のファンとして手にした本でありましたが、お話にぐいぐい引き込まれて一気に読み終え、映画を何本も観た後のような充足感を味わいました。しかも映画を観るだけでは決してわからない裏話や、エピソードがふんだんに出てくるので、これはもう、この本自体が一つの立体映画とでも呼びたいくらいです。そのなかには、観てない映画で観てみたいと思ったものが幾つもありました。
もう一つ大きな感銘を受けたのは戦争についてのお話です。ご自身が深く関わってきたものとして、映画の歴史をひもとき、内容豊かに語ってくださっていますが、そこに自ずと戦争の話が出てまいります。映画を語ろうとすれば、自身の役者人生を語ろうとすれば、そこに必ず戦争の話が出てくるという事に、改めて強いインパクトを受けました。仲代さんの様な年代の方にとっては(それ以上の年代の方はもちろんですが)人生の中心の部分を、戦争が占めているということが、動かしがたい事実としてあります。(△PHP新書 春日太一著)
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