(朝鮮民主主義人民共和国・外務省声明 朝鮮中央通信発2008年8月26日
http://www.kcna.co.jp/index-k.htm
<朝鮮外務省声明>核施設無力化作業を即時中断する
△ 2008年6月27日、朝鮮は、当初の合意にないニョンピョンの核施設の付属施設である冷却塔まで爆破した。
ピョンヤン8月26日発、朝鮮中央通信)朝鮮民主主義共和国外務省スポークスマンは26日次のような声明を発表した。
米国が、六者会談の10・3合意の履行を拒否することで、朝鮮半島核問題解決に厳重な難関が作られた。朝鮮半島非核化に関した9・19共同声明履行の、二段階行動措置などを規制した10・3合意には、我々が核申告書を提出して、米国は我が国を《テロ支援国》名簿から削除する義務が含まれていた。我々は、去る6月26日、核申告書を提出することで自身の義務を履行した。
ところが米国は、我々の核施設に対する検証議定書が合意できなかったと言う《理由》で、約束された期日内に、我々を《テロ支援国》名簿から削除しなかった。これは、合意に対する明白な違反だ。
六者や朝米間の、そのどんな合意にも、我々の核申告書に対する検証問題を名簿削除の条件付きで規制した条項はない。
検証に対して言えば、それは9・19共同声明に従って全朝鮮半島を非核化する最終段階に行って、六者すべてが共に受けなければならない義務だ。
南朝鮮とその周辺に、米国の核武器がなく、新たに搬入されたり通過するのもないと言うことを確認する検証が、我々の義務履行に対する検証と同時に進行されなければならないと言うのが、即ち《行動対行動》の原則だ。現段階では、六者の枠組みに、検証機構と監視機構を持ち出すことにしたのが合意事項の全部だ。
しかし米国は、この合意事項を悪用して、急に核申告書に対する検証に《国際的基準》を適用しなければならないと言う問題を持ち出しながら、我が国の何処でも思うままに探し回って、試料を採取して測定をすることと同じ査察を受け入れることを強迫した。
米国が言う《国際的基準》とは、即ち1990年代に国際原子力機構が取り出して、我が国の自主権を侵そうとする上に、結果的には我々の核武器拡散防止条約脱退を招来した《特別査察》だ。
米国が、我が国に対してもイラクのように、思うがまま家宅捜査を出来ると考えたのであれば、それは大きい誤算だ。米国が、我々に対してだけ一方的に査察をすると言うことは、9・19共同声明に従う米国の核脅威除去を骨子とする全朝鮮半島非核化は投げ捨てて、互いに銃口を向けている交戦の一方である我々だけ、武装解除させようとする強盗的要求だ。
我々が、朝鮮半島を非核化しようとするのは、我が民族に加えられている核脅威を除去するためであって、決して、われわれの核抑制力について駆け引きするものだはない。
六者会談が、今のように、大国が小国をむやみに籠絡することができる場所に転落されれば、そんな六者構図(枠組み)が、果たして誰にとって必要なのか。
米国が今回、我が国が《テロ支援国》ではないと言うことを内外に公式宣言するが、検証問題を理由に名簿削除を延期したことは、その名簿と言うものが実施にあってはテロと関連された名簿でないと言うことを自認したことになる。我々は、《米国に従順でない国》の名簿に、そのまま盛られていてもかまわない。
今米国は、我が国の自主権を厳重に侵そうとしている。米国が、合意事項を破った条件で、我々は止むを得ず《行動対行動》原則に従い、次の対応措置を取らざるを得なかった。
最初に、10・3合意に従い進行中にあった我が核施設無力化作業を、即時中断することにした。この措置は、去る14日効力が発生して、すでに関係機関側に通知した。
二つ目に、我が該当機関の強力な要求に従いニョンピョン(寧辺)核施設などを、直ぐ原状のまま復旧する措置を考慮することとした。
主体97(2008)年8月26日 ピョンヤン
(訳 柴野貞夫)
(解説)
〇「北の核申告が不十分だから、テロ支援国指定解除は出来ない」と言う米国は、10・3合意を捻じ曲げ、北に対してだけ「最終段階の義務履行」を要求している。
朝鮮半島非核化の「2段階措置」などを取り決めた2007年10・3合意は、2005年六者会談による「9・19共同声明」にもとずくものだ。
この声明は、朝・韓の1992年の朝鮮半島非核化共同宣言にさかのぼり、北の非核化は、同時に韓米による、朝鮮半島全体の各領域と周辺の、核の配備と持ち込みを許さないことを取り決めた。「六者会談の目的は、平和的な方法による、朝鮮半島の検証可能な非核化」(9・19共同声明)である。
朝鮮外務省声明は、この共同声明に従ったものに他ならない。
「検証に関して言えば、それは9・19共同声明に従って全朝鮮半島を非核化する最終段階にはいって、6者すべてがともに受けなければならない義務だ。南朝鮮とその周辺に、米国の核兵器がなく、新たに搬入されたり通過することもないと言うことを確認する検証が、我々の義務履行に対する検証と同時に進行されなければならないと言うのが、即ち《行動対行動》の原則だ。」と。
10・3合意に従い、核無力化の2段階措置の履行を、ニョンピョン所在の核施設に対する11つの無能力化に手をつけ、「行動対行動」の原則に従って、すでに8つの措置を完了してきた北朝鮮に対し、米国や韓・日が、不断にハードルを一方的に上げて、北の領域のみの全面非核化を迫るとすれば、同時に彼等も、核武器の持ち込み配備を含む自らの非核化とその検証体制を義務として履行しなければならないはずだ。
米国が、朝鮮に要求する“徹底した核申告”は、一方的に朝鮮にのみ、最終段階の履行義務を負わせるものである。北が南の米軍施設の核検証を同時に主張して来たのは、この事が根拠となっている。
現在の「朝鮮半島非核化」の2段階措置の履行段階を、北に対してだけは最終段階での義務履行にすり替え、「テロ支援国家指定解除」の条件としている米国は、韓国、日本、沖縄をはじめとする東北アジアとその周辺からの全面的な核武器の撤去を実行する義務から逃れられない。
(2008年8月26日、柴野貞夫)
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