(韓国・ハンギョレ 社説 2008年3月16日付)
チベット人の自治権保障が道理にかなう
帝国主義的併呑に由来する独立蜂起と武力弾圧が繰り返される悪循環
チベット事態に対する、国際社会の憂慮が広がっている。確認されただけでも主要機関40余箇所が燃え、30余名が息絶えたことを外信が伝える。中国政府の流血鎮圧に対する、チベット人の憤怒と抵抗意識が沸き立っており、何時、どこで、大規模衝突と人命被害が発生するか知れない状況だと言う。帝国主義的併呑に由来する、独立蜂起と武力鎮圧が繰り返される悪循環が気の毒である。
中国政府は、武力鎮圧を放棄して、チベットの自治問題を対話で解かなければならない。即刻的な独立を要求する主張もあるが、どんな犠牲を払っても、チベットの独立を許さないと言う中国政府の態度を考慮するとき、非現実的だ。流血事態を防ぐのに手助けとはならない。チベットは、アジアの覇権を角逐する(競い合う)インドとの関係で、戦略的要衝(ようしょう)地だ。埋蔵された資源もまた豊富だ。その上に、チベットの動きは、(中国全土の)59の少数民族を刺激することが明らかだ。その為、中国政府はすでに二回も、チベット独立蜂起を徹底して武力で鎮圧した。1959年の蜂起の時は、10万余名が犠牲になったという。インド、タラムサラのチベット亡命政府は、その時立てられた。89年蜂起のときは、当時チベット自治区書記だったフジンタオ主席が武力鎮圧の指揮をした。
こんな状況を考慮した所為(せい)なのか、チベット人の精神的指導者ダライラマも、政治的独立の代わりに自治権を要求する現実的路線に後退した。かれは、“(私は)分離主義者ではない。チベット人による自治を願うだけだ。”と語ることもした。そうであるが、中国政府は、むしろ強圧政策の水位を更に高めた。ダライラマなど僧侶指導者らを、大衆から分離させるために仏教弾圧政策まで強化した。‘西北公正’と言って、チベットの歴史を中国の歴史の中に編入させる作業もした。ここに、漢籍をチベットに移住させる大規模植民政策まで拡げた。チベット人の衿持心を重ねて踏みにじったのだ。今回の事態は、過去二つの大規模独立蜂起と違って、こんな強圧政策から由来したところが大きい。
無論、中国政府が主張するように、中国の亀裂を追求する外部の力も疑ってみることも出来る。実際、北京オリンピックを控えて世界各国で反中国デモが相継ぐ。しかし、これが事実だとしても、自治権さえ認めないように流血鎮圧をわざわざする行為を正当化することは出来ない。こうでは、オリンピックを百回しても尊敬を受ける国となることは出来ない。
(訳 柴野貞夫)
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