(韓国・ハンギョレ <記者プログ> 2008年2月18日付)
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/270302.html
日本の教職員組合と右傾化社会
日本の教職員組合は、最近では独善的行動などに非難を受けているのも事実だが基本的な原則は忠実に守っています。例えば、平和憲法改定反対、国家主義反対、歴史歪曲の訂正、日本政府の韓国、中国などに対する謝罪を、継続して主張し日本社会の右傾化をある程度防いでいます。
ところで昨年5月、日教組は、日本の財閥グループの一つである西部グループの系列ホテルであるグランドプリンスホテルと、日教組の教育研究全国集会の為に大会場と客室などを利用しようとして、契約をしました。しかし、集会の三ヶ月前である昨年11月、プリンスホテル側は一方的に契約の解除を日教組側に通告しました。
これに対し日教組は契約解除の不当なことを裁判所に提訴し、東京高等裁判所から解約は無効という判決を受けました。そうであるにも拘らず、プリンスホ、テル側は判決を無視してまで、貸そうとしなかったのです。
今回の契約解除に対し西部グループ側は「顧客の安全、安心という原則に照らして見れば、間違いとならない判断だった。」と主張しています。その理由として[ホテル周囲には住宅地があり、病院や学校も多いので、例年右翼団体の宣伝車両百台以上が会場周辺に集結し、拡声器を使用して集会を妨害する動きが多く、日教組の集会が開かれれば混乱は避けることは出来ない。ホテルには他の利用客も多く万一の事態を考えれば、拒絶する以外なかった。]と言い、[集会の予定日であった2月2日の前日はホテル周辺の中学、高校、大学の、合計9校で入学試験がある。右翼団体の動きを追う警察の厳しい警備で、道路封鎖などがあれば7000名に近い受験生に悪影響を及ぼす]ということがその理由だったのです。
そうであれば、どうして初めからプリンスホテル側は、日教組に会場を貸す契約を結んだのかが問題です。日教組の集会には右翼団体の妨害が伴なう事は誰もが知っており、契約当時にも、その事実は互いに確認したと言うのです。プリンスホテル側は、事実は契約で生まれる利益に目が弱く、そんなこと(?)が起こったといっています。実際は、やはりそうだと、信じる人はいないのです。
西部グループは、流通、鉄道、ホテル、宅地開発、プロ野球チームである西部ライオンズ等を保有し、収入を得て来たし、政府与党とのベタベタした密着関係は、よく知られているのです。そして、代を引き継ぐ創業者の一家が神的な存在として企業を導いて来ました。例えば、グループ幹部などが会長と会うことも、[会長様に謁見する]と言う言葉を使っていると言うのです。
こんな西部グループが、傘下の西武鉄道の、有価証券報告書虚偽記載事件を契機に、いろんな金融不正が暴きだされ破綻の危機に直面し、創業者一族を2線に後退させ、グループ責任者も外部から迎え入れ、[改革]を進めてきたといいます。
ところが、・・・その責任者は、前みずほ銀行グループの責任者として、みずほ銀行の前身である第一勧業銀行の不法行為が発覚して多くの指弾を受けるようになると直ぐ、仕方なく(政府の庇護下に)、倒産直前の他の中小銀行を統合して名前をみずほ銀行に取り替えて、営業をするなどの一連の事件(?)当時の責任者であった人物です。
こんな人物がグループを改革すると迎えられるや、西部グループ内部にも抗争(?)が酷(ひど)くなったのです。そこに、今年1月には西部グループが、社員派遣会社であるグッドウイルから派遣された労働者達を、異なる会社で働かせることにしていた、所謂(いわゆる)「二重派遣」が発覚し、労働法違反の嫌疑で検察の捜査を受けています。
それで、今回の日教組との契約の件も、社内の抗争で、或る一方から契約を故意に成立させ、「一度会ってみろ(あたってみろ)・・」ということも、あったと言う意見もあります。
そうであっても、今回の事の、より大きな理由は、やはり<日本社会の見えない右傾化>です。今回、日教組の集会問題などは、事実、以前までは大きい問題ではありませんでした。右翼団体が騒がしく振舞うことは事実ですが、日本共産党も在日本朝鮮人総連合会も、普通の施設やホテルなどを借りて集会を持つことは、よくあったことです。保守、右翼の考えは、即ち、日本共産党や在日本朝鮮人総連合会の集会に対して、集積的な制裁を加えれば問題が大きくなるので、「敵の鋭鋒は避けて、一旦横腹を叩こう」と言う考えが見えるのです。日本の社会で見ようとすると、これは相当大きな効果があります。
権力や主流に対して知って進むのが堂に入った日本社会から見れば、これからは、各施設、ホテルなどが、[日教組に貸すこともこんなに問題になるのに、日本共産党、在日本朝鮮人総連盟?やれやれ(アイゴー)恐ろしいことだ。絶対貸す事は出来ないだろう!]と言う状況になるのは、仏宝のように明らかなことです。
では、保守右翼の言論の反応はどうでしょう。ホテル側の行動に対して、「やはり当然なことだ」、「精神を整えろ」と言う反応の様なのだろうか。ところが、そうではないのです。日教組に対して多くの紙面と時間を割いて客観的にむしろ温情的に、報道しています。
どうして載せるのでしょう。それは相当、高次元の手段のやり方です。直接日教組を非難することより、遥かにもっと大きい効果を見せる方法です。
第一番目には、現在の日本国民は、政治的思想的な問題に対しては、興味がありません。その為、末梢神経を刺激する記事の種だけ興味を感じます。単信の非難記事で扱ってしまえば、国民が読んで耳を傾けることはありません。そして、相手が[先生さま]であるほど、購読率問題もあって、生半可に非難することも厄介です。
二番目には、日本国民は、道理にかなったこと間違ったことであれ、社会的に問題を引き起こす個人、集団に対しては、拒否感を強く感じます。即ち[はじける(飛び散る)]事に対して拒否感を感じる為に、静かに見てみぬ振りをして・・・は式の、解決が好きです。
そこで、保守右翼言論が、敢えて日教組を非難しないとしても、しきりに大きく継続して報道すれば、ひそかに、[日教組は問題を引き起こす集団]と言う認識が自然に定着(?)します。今回のことは、腐敗した財閥と政権、右翼団体、保守言論の合作で成し遂げられた、(日本)社会の右傾化の[大きな一歩]として考えられます。
(訳 柴野貞夫)
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