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(韓国・週刊誌 ハンギョレ21 第694号  2008年1月17日)
http://www.hani.co.kr/section-021067000/2008/01/021067000200801170694050.html



              特別検事と李明博は同じ立場なのか


傷ついたリーダーシップで始めなければならない李明博

<朝鮮日報>は、社説を載せなかった。<東亜日報>は、“‘特定人を狙った特検’へ進む狙いを与えた憲法裁判所の決定”と言う題目を付けて出した。“特検捜査満足に締めくくれ”と言う題目の<中央日報>は、この様だ。“憲裁の決定で李明博大統領当選者は、憲政史上最初に特別検査の捜査を受けることと為った。国の体面が損傷されることだ。しかし、当事者の名誉回復のため望ましい側面もある。当初この事件を捜査した検察が正しく捜査したものが、捜査の結果 立証されれば名誉回復の契機となって、間違いがあったら捜査慣行などを直す機会になることが出来る。”

ハンナラ党の自信感は、どこにある

去る110日、憲法裁判所が‘李明博特検法’(ハンナラ党大統領候補、李明博の株価操作等、犯罪嫌疑の真相究明のための特別検査の任命などに関する法律)に対する‘合憲’決定を下した次の日、保守言論が見せた反応は、少しずつ違った。しかし、すべてが憲裁の決定を激しく批判せずに、満足を見せた。実態的真実は、後の番だ。自称‘実用的中道改革勢力’と言うが、保守団体と言うことが出来る‘先進化改革推進会議’(先改推)が、先日発表した論評はこんな雰囲気を、もう少し率直な話法で表した。
“進歩市民社会団体などを主として、すでに李明博大統領‘弾劾’署名運動を繰り広げる場面に‘李明博特検法’が、今その真偽を明白により分けなければ、これは、進歩市民社会団体らに李明博政権を攻撃することが出来る良い糸口を提供することになるだけだ。従って、‘李明博特検法’に対する憲法裁判所の今日の決定は、李明博大統領当選者が、新任大統領として就任して、前‘BBK’など、それと関連されたあらゆる疑惑に対して実態的真実をより分けて、もう少し、活気に満ちた新しい政府が出帆しなければ為らないと言う意思として評価される。”
昨年、大統領選挙過程で‘BBK対策団長’の役割をしてきたホン・チュンピョ、ハンナラ党クリーン政治委員長は、<ヨンハップ連合ニュース>に“仕事をしようとする政府の足首を握る(大統合民主)新党は、総選挙(49日の国会議員総選挙)で逆風にあうもの”と言って、自信を示した。この様に、ハンナラ党を始めとする保守言論と団体の‘自信感’は、どこから由来するものなのか。
大統領選挙勝利で得た自信感が、一番大きいだろう。更に決定的なのは、少なくとも現時点で、保守陣営が大韓民国検察に見せる、惜しまない‘信頼’だ。その枠組みに検察の捜査結果が100l実態的真実であることを離れているように、特検が検察の捜査結果を覆すのが難しいと言う現実的条件に対する判断と計算が敷かれている。
実際、そうである。李明博・特検の捜査条件は、決して良いと見ることは難しい。捜査期間が非常に短い。チョ・ヨンソン、民弁(民主弁護士会)事務次長(弁護士)は、“これは問題だ。特検が、はたして真実を明らかに出来るか・・・。(事件の核心の、関係者たちである)イ・サンウン(李明博当選者の長兄)氏とキム・ジェジョン(当選者の妻の兄弟)氏は、長い間準備をしてきた人々”だと語った。彼らが捜査に協助するのかも疑問だ。特検は、捜査を着手する115日から40日内に捜査を終えなければならない。通常、特検の捜査期間が100日内外だったのに、悲しいかな期間が極めて短い。そのわりに、BBK事件は金融事件として相当難しく、複雑だ。材料も厖大だ。検察の捜査結果から出発しなければならない場面なのに、捜査材料だけが、大トラックに達する。検察捜査でも同じだったが、78年前起こった事件を扱いながら、新しい証拠を探すと言うことも容易でないのだ。

引継ぎ委員がどうするかによって異なる

短い捜査期間は、225日大統領就任前に終えねば為らないと言う政治的判断から出てきた。実態的真実それ自体だけを考慮したとき十分な捜査期間が必用だと言うことは、再論の余地が無い。しかし、憲法上大統領は“内乱、更に外憂の罪を犯した場合を除外しては、在職中、刑事上の訴追を受けることはしない”(第84条)となっている。現職大統領を調査する特検は、法理的、政治的物議と、これに依った社会的費用を甘受しなければならない。
短い捜査期間に対して、事件の重要参考人達を調査することも難しくなった。憲裁(憲法裁判所)は、李明博特検法中、参考人の同行命令の条項が、参考人の身体の自由を事実上抑圧することに、憲法が決めた令状主義と過剰禁止原則に外れると、違憲決定を出した。李明博特検には、“特別検事は、事件の参考人として、出席の要求を受けたものが正当な事由なく出席の要求に応じないときには、該当参考人に対して指定した場所まで同行することを命令することが出来る”と決めた後、これに従わなければ一千万ウォン以下の罰金に処すと規定しておいた。憲裁(憲法裁判所)の決定で、すでにこの部分の法的効力は、喪失された。強制力が無くなった状況で、まもなく就任する大統領に、有利な証言をする参考人であっても、反対に、自白した証言をする参考人であっても特権の出席要求を無視することと為る計算だ。
新しい政府がまさに、出発しようとする状況で、特検を取り巻いた政治・社会的雰囲気も捜査の障害物だ。‘今、捜査をして何になる’と言う雰囲気が、ずいぶん幅広く広がっている。こんな雰囲気の中で当選者を調査する問題も決して簡単ではないと見える.難しい条件で、李明博当選者の株価操作などの疑惑を捜査するチョン・ミョホン(60)特別検事が、果たして成果を出すことが出来るのか。
おかしなことだが、特検の捜査を受けることとなった李明博当選者も、難しい政治的条件にぶつかることと為った。憲政世上最初に、特別検事の捜査を受ける大統領当選者として記録された。昨年1219日、大選(大統領選挙)を最後に、候補の時期、1年を越える、飽きるまで追い回したあらゆる疑惑と道徳的欠陥が、特検を契機として再び国民たちの頭の中に浮かび上がって、批判の声が上がり下がりすることとなった。
特検は、胎生的に(生まれながらに)検察捜査結果を乗り越える‘プラスアルファ’を出さなければ為らない。当選者に対して最善は、検察捜査結果の発表で‘一点1画’も更に出てこないが、そんな可能性は低い。たとえ特検で何も出ないとしても、すでに‘BBK動画(李明博本人が株価操作に関与したことを示すビデオ記録・・訳注)’を見た国民たちが、李明博当選者を取り巻くあらゆる道徳的疑惑が、すでにすっかり解消したと見逃す可能性は非常に低い。無論重大な嫌疑や嘘が、追加で明らかに為らない限り、 “大勢に支障がない“と言う事が出来る。何はともあれ、新たに飛び出した弱点で政府出帆の初期、大統領のリーダーシップに欠点が出るのは、不可避と見える。
特検は大統領職引継ぎ委員会と、総選挙など他の政治的条件とも噛み合わせて、展開されることができる。ハン・クイヨン韓国社会世論研究所(KSOI)研究室長は、“当選者が、引き継ぎ委員会の政局で、成果も出しながら良く導いてゆけば特検政局は弾力を受けにくい。”とし、“しかし引き継ぎ委員会政局で成果に汲々として、独善を曝け出して‘やはり、庶民らを生かそうとする意志があるのか’と言うなどの、批判的牽制の世論が作動し始まれば、特検政局を通して国民たちが、選挙での判断を留保した道徳性問題が、再び突き出ることが出来る。”と語った。その違いで、49日の総選挙を前にした政治圏は、絶えることなく、李明博当選者と特検の緊張の局面を活用するのだ。

イ・ミョンパク(李明博)とチョン・ホミョン(特別検事)、いつ会うのか

憲裁が発表をした日、チョン・ホミョン特別検事は、捜査陣を立ち上げようと忙しかった。彼は記者会見で“(特別検事補)適任者を探すことも容易でなく、探し出しても本人たちが固辞する場合が多く、難関が大きい。”と語った。イ・ミョンパク当選者も忙しかった。クリストファーヒル米国務部東アジア太平洋担当次官補と、福田康夫日本総理の特使で訪韓した森善郎前総理の一行の礼訪を受けた。イ・ギョンスク・大統領職引継ぎ委員長は、この日幹事団の会議で“(大運河は)国内の民間投資を受けなければ為らないために実際の着工までは、就任後1年が繋ると確実に(李当選者が)語った。”と紹介した。イ・ミョンパクとチョン・ホミョン、二人は、1月15日以後、何時どんな形式でなのか、一度会う可能性は大きい。 
                                                         (訳 柴野貞夫)


参考サイト>

○ <世界の新聞から>→58・ハンナラ党は戒厳軍になろうとするのか, 57・(イ・ミョンパク)の特別検察官捜査への発言に失望する, 55・政治人の責任と国民の選択 

○ <最新の世界情勢を分析する>→韓国大統領選挙の結果は何を語っているか