(英国・反資本主義週刊誌 ソーシャリストワーカー掲載文-韓国タハムケ・レフト21より転訳2011/10/06)
http://www.left21.com/article/10258
ギリシャに、更に強力な緊縮を要求する銀行
クレイアム・ターナー(経済学者)
経済学者クレイアム・ターナーが、どうして債権者達が普通の人々の犠牲は関係なしに、金だけ返せと催促するのか、説明する。
ギリシャ経済が今、更に深い不況に落ち込んでいる。ギリシャの財政赤字も一段とひどくなっている。そうであるのに、西洋列強がギリシャに無条件に債務を履行し様と固執する理由は何なのか?
ヨーロッパ連合、国際通貨基金、ヨーロッパ中央銀行は、最近、ギリシャ救済金融プログラムの一部として80億ユーロをギリシャに貸し与える問題について、言い争いを繰り拡げた。
△ ギリシャの反緊縮示威 写真出処・ギリシャ教師労働者
しかし、この額は、ギリシャの銀行財政赤字がGDPの8.5%水準だろうと言う楽観的予測に基調したものだ。ギリシャ[中央銀行]は、財政赤字が事実は、13%程度まで駆け上がるだろうと言う。
今は、CIAさえも憂慮している。CIAは“危機に直面するギリシャでは、継続される街頭示威が、暴力事態と反乱へ突っ走る事が出来るし、…ギリシャ政府が統制力を失うことになる。”と憂慮する。
税務公務員達が罷業中だ。中小事業者達が付加価値税引き上げに反対し、それを価格から削ってしまった。
ギリシャ経済は、今年初頭から急激に悪化した。こんな経済悪化で、赤字規模がはるかに大きくなるだろう。
ギリシャは破産した。金が引き潮の様にギリシャを抜け出ている。僅か二年間、銀行預金の20%以上がスイスとドイツに逃げて行った。ギリシャの諸銀行が潰れたら、国境を越える金融取引に対する統制が、実際に施行される事も出来る。
一方ギリシャの負債が急増している。ギリシャ政府の総負債額は、ギリシャGDPの147%水準だ。これに比べ、英国政府の負債は、82%水準だ。GDP対比ギリシャの政府負債比率は、今年末まで169%を指し示す態勢だ。来年には、おそらく194%に上昇するだろう。
デフォルト(債務不履行)
これこそが、西欧がギリシャに借金を返済せよと催促する理由だ。
ギリシャ緊縮の本当のきっかけは、フランス、ドイツ、ベルギー、スペイン、イタリアの諸銀行を守ろうとすることだ。
ギリシャがデフォルト(債務不履行)を宣言すれば、フランス、ドイツ、ベルギー、三つの国の多くの銀行が破産するだろう。
これは結局、投資者達を怖じ気させ、スペインとイタリアからもっと多くの金を引き出すようにする事が出来る。その様になれば、スペインとイタリア、二つの国の銀行達も極めて脆弱(ぜいじゃく)となるだろう。
ヨーロッパの投資者達は、これが結局、ユーロ圏の崩壊へ続くかも知れないと考えて、憂慮している。しかし、ギリシャがデフォルトを宣言しなくとも、多くの問題が残る。ユーロ圏に結ばれている限り、ギリシャは、ドイツ工業力の相手となる事は出来ない。
したがって、現在の協力が‘秩序ある’デフォルトと、実質的な負債免除へ続く場合でも、ギリシャの不況は継続されるだろうし、失業は増大し続けるだろう。
デフォルトは、恐らくギリシャのユーロ圏離脱を意味するだろう。ユーロ圏政府官吏達に退歩と映るものであり、多くの銀行にとってもそうであろう。
しかしそれは、ギリシャの人々に経済に対する統制権を一部取り戻してくれる事にもなる。ギリシャは現在、ブリュッセル、フランクフルト、ワシントンの官吏達によって、思うままにされている。
ギリシャがデフォルトをすれば、市場がスペインを攻撃する可能性もある。
経済が全般的に回復しなければ、数か月内にヨーロッパ全体で深刻な政治的激変が広がるに違いない。
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