(韓国ネットニュースPRESSIAN−世界ニュース 2011年3月19日)
http://www.pressian.com/article/article.asp?article_num=40110319161034§ion=05
“50人の決死隊”の日当は10万ウオン(7000円)
−(彼らに)死を強要する権利はあるのか
イ・スンソン記者
東京電力の全員撤収方針を、日本の総理が「不可能だ」と拒絶した
日本福島原発から放射能が大量に放出されている。死を掛けて働く作業要員達に対し、‘現代版サムライ’、‘50人の決死隊’とおだてあげ、‘感動’の涙を流す事に対しては、あまりにも具合の悪い真実が暴露されている。
18日、フランスAFP通信によれば、次のような事実が明らかになった。さる12日、福島第一原発1号機が爆発し、周辺の放射能観測値が高くなり、作業が不可能な400mSv/hまで上がった。その2日後、原発運営会社である東京電力は、作業要員を含む職員全員の撤収を政府に要請した。しかし、菅直人総理は「不可能だ」と一言のもとに拒絶した。
チェルノブイリ事故での作業要員、3か月後に数十名が死亡
東京電力のある関係者は、「放射線に被爆したまま仕事をする途中で、死ねと言う話と同じではないか」と、政府の冷淡さに憤怒を隠さなかったという。1986年チェルノブイリ原発事故時、作業要員ら数十人が、ほんの3カ月後に死亡した事実を知っていたからだ。
400mSv/hは、作業をしようとしても10分程度以上は出来ない量だ。、数日仕事をするだけで、癌と白血病などで死亡するほどの致命的な水準である。
さらに、[ウオールストリート・ジャーナル]によれば、原発に投入された大部分の職員たちは、妻子がいない契約職の職員たちで、僅か日当1万円(約十二万ウオン)だ。
この惨事は、政府の無能と、腐敗した原発産業の政策のもとでおきた。政府が、彼らに‘命まで出せ’と強要する権利がどこにあるのか、と疑問が挙がっている。
(訳注―21日現在の報道によれば、福島原発にとどまる500名以上の人員の多くは、東電の下請け企業、設備納入メーカーの下請け職員であるが、その多くは非正規・契約労働者である。とりわけ、この50名の`決死隊’は、ほとんど非正規契約労働者で、この記事とは異なり妻帯者も多い。民放テレビは、21日、彼等のうち7名が100 mSvを被曝したと伝え、現場周辺は、500b内で2,013〜1,035 mSv/hが計測されている。)
大地震の次の日(12日)に、東電職員のチーム長級の職員がわずか10分で嘔吐症状になり、病院に送られた。100mSv/h以上の放射線を受けながら、1号機原子炉の水素爆発を防ぐために、水蒸気を抜く弁を開ける作業をしている途中だった。
1〜4号機の放射能、近接作業が出来ない程だ
19日の読売新聞によれば、1〜4号機は放射能が強すぎ、電源を連結し、冷却システムを復旧する作業は困難になつている。現在、日本政府は電源復旧作業の為に全力投球しているというが、電源連結のための準備など、放射能が相対的に弱い限定された地点で作業をしている状況だ。読売新聞は、「電源復旧を試みる作業要員らの前には、‘見えない敵’が横たわっている。それは‘ガンマ線’という放射線だ」と述べている。
ガンマ線は光子の一種で、透過力が大きく、1p以上の鉛や厚い鉄板でなければ貫通してしまう。現在作業要員が着ている防護服は、全体を鉛で囲んだものでなく、性殖器など主要部位だけを覆うやりかたになっている。放射能に対する遮蔽力を高めれば重く・厚くなり、作業ができないからだ。したがって、現在の防護服は、放射性物質を吸入したり、体に取りついたりするのを防ぐ以上の効果を発揮する事は難しい。頭や手足などは、ガンマ線などの放射能にそのまま露出していのと同じなのだ。
作業要員の前に、‘見えない敵’が横たわっている
東京電力は、現在作業要員中の相当数は、露出測定計の数値が100mSv内外に到達している事を明らかにした。
一般人の放射線被ばく許容値は1年間に1mSvであるが、レントゲン撮影や自然放射能で1年間に6mSvほど被ばくする。年間100mSvの被ばくは、健康に脅威となる水準だ。年間100mSv以上では、癌発生など人体に致命的な被害を与える可能性が急激に高くなる。
この為、日本厚生労働省は、原発作業要員の場合も年間放射能の被ばく最大値を100mSvと規定していた(これも50mSvから上げたもの)。しかし、福島原発事故が深刻になるや、年間250mSvまで基準を高くした。
現在、福島原発では電源復旧作業などで作業要員が大きく増え、初期の‘決死隊50人’にくわえ‘命を懸けて働く’人々は580名に増えた。
しかし、彼等は10分程度でも作業すれば、すぐに嘔吐と脱力症状を見せる程度の強い放射能と死闘を繰り広げており、放射線被ばくの累積値は限界に達している。
朝日新聞は、「作業要員は1日の放射線被曝上限の80%に達すれば、自動的に警報音が鳴る被ばく測定計をもっている。しかし、放射能が強くなっても急に避難できないので、大量の放射能を被曝している。18日までに負傷者は20名を越えた。」と伝えた。
現在、事故原子炉の近接地域では、1,000mSv/h以上の強力な放射能が出ている。ちなみに、韓国では放射線作業従事者は1年間50mSvを越えない範囲で、5年間で100mSvを限度と定めている。
放射能被曝症状は、100mSv/hから出てくる。嘔吐とともに発癌の危険が急激に高くなる。
1,000mSv/hでは、リンパ球の減少、男性不妊などが発生する。
5,000mSv/hでは、下痢や出血、一時的な脱毛症状が起きて、30日以内に50%死亡する。
10,000mSv/hでは、意識障害が発生する。
50,000mSv/hでは、精神障害とともに48時間以内に死亡する。
しかし、放射能の種類、全身被爆なのか部分被爆なのか、そして吸入などいろんな条件によって、放射線被曝による症状には大きな個人差がある。
(訳 柴野貞夫 2011年3月21日)
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