(韓国 「レフト21」・45号 2010年11月25日付)
http://www.left21.com/article/8943
なぜ、北方限界線(NLL)が問題となっているのか
チャン・ホジョン
北韓軍最高司令部は、ヨンピョン島攻撃以後、“領海を0.001ミリメーターでも侵犯したら、躊躇せず無慈悲な軍事的対応打撃を続けて行う”と警告した。また、“朝鮮西海には、もっぱら我々が設定した海上軍事分界線だけが存在”すると、主張した。
無垢な人間を攻撃した許す事が出来ない行為に、人々が憤怒するのは当然だ。 しかし、北韓が北方限界線(NLL)を認めない事には背景がある。
当初、NLLは南韓の領海を表示する線ではない。南北関係を洞察してきたリ・ヨンヒ教授は、次のように根拠を提示する。
1)南北韓の間に、領土と軍事分界線に対する協定は、ただ二つあるが、1953年の停戦協定と1991年の南北基本合意書だ。
2)二つの文書には、もっぱら“双方が”認定した領土と、軍事分界線だけ認定している。
3)停戦協定上、西海上の軍事分界線は、下の地図のA、Bをつなぐ線だけだ。追加で五つの島を“国連総司令官の軍事統制下に残しておく”と明示した。
4)しかし、停戦協定に添付された注釈で、この軍事分界線を延長したり、五つの島を連結して新しい線や、区域を作る事は出来ないと明示した。
5)従って、“北韓が1977年に宣布した50マイル‘軍事警戒水域’や、南韓が主張する、いわゆる‘軍事北方限界線’も、すべて同じ一方的宣言、主張であるだけ。”
6)南韓側が、北方限界線の起原として説明する‘クラーク・ライン’は、戦争中に米国が北韓と中国の海上を封鎖する為に設定した線であって、国連の承認を受ける事が出来なくてクラーク国連(米国)総司令官の名前で、1953年8月27日に撤廃された。
7)南韓政府の主張と異なり、北韓は‘黙視的に’北方限界線を軍事分界線として認定した事はない。国防部が明らかにした北韓の主要衝突の経過を見ると、北韓は、1956年以来毎年長期的に数知れなく多く、北方限界線を「侵犯」した。
リ・ヨンヒ教授は、米国政府の秘密外交文書を公開し、北方限界線の事実は、米国がイ・スンマンの「北進統一戦争」推進を防ぐために作ったものだと言う事実を暴露する。
韓国戦争の終戦と、米軍撤兵を公約として誕生したアイゼンハワーは、イ・スンマンに送った親書で、“閣下が特段に軍事的攻撃行為を決心するなら、私は閣下に・・・永遠に破滅されてしまうだろうと言う本人の確信を伝達する。”と脅迫する事までした。
“何よりも、‘北方’限界線と言う名称自体が奇怪だ。それは南側軍事力の行動範囲の北側の限界を意味する。万一、北韓海軍の南方向の行動圏の限界線であれば‘北方’限界線でなく北韓海軍に対する‘南方’限界線だと名付けなくてはならない。”
南韓政府は、ただ単に、国連司令部(米国)の黙認の下、すぐる何十年もの間、NLL近隣地帯で軍事訓練をして来ただけだ。従って、北韓の武力攻撃だけでなく、南韓の軍事訓練も中断しなければならない。南・北政府は、西海を火薬庫にする一切の行為を止めなければならない。
(訳 柴野貞夫 2010・11・27)
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