西沢 和真♂ 無気力系の男の子。根暗なわけじゃありません。 | |||
津久井 祐次♂ 能天気で明るい男の子。良い奴だけど、どこか抜けてる。 | |||
日野 守♂♀ 一見おとなしくて優しそ、な雰囲気。だけど、言う事はきつい。 自分が頭良いと思っている節がある。 |
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笹山 唯♀ おとなしい子。感情がすぐ表に出る。慌てやすい。 | |||
1 | 祐次「もう5月かぁ」 | ||
2 | 和真「そうだなぁ」 | ||
3 | 守「のんきだねえ。二人とも」 | ||
4 | 祐次「なんだよ?」 | ||
5 | 守「来週には中間テストだよ。津久井くん、ほとんどノート取って無いでしょ」 | ||
6 | 祐次「んなことないぞ? ほら」 | ||
7 | 守「……マルチノート? ただ全教科一つのノートにしてるだけじゃん……」 | ||
8 | 祐次「忘れにくくて便利だぞ? カバン軽くなるし」 | ||
9 | 守「そもそもノートなんて持って帰らないくせに」 | ||
10 | 祐次「お前細かいなぁ」 | ||
11 | 守「津久井くんが大雑把すぎるだけだよ」 | ||
12 | 和真「だから、ケンカしてるように見えるって」 | ||
13 | 守「してないよ。大丈夫。」 | ||
14 | 祐次「そうそう。俺がイジメられてるだけ」 | ||
15 | 和真「ならいいけど……と、良くないだろ」 | ||
16 | 祐次「西沢まで細かいこと言うなよなぁ。テキトーでいいじゃん」 | ||
17 | 和真「ああ、うん……けど、日野も細かいよ。ノートくらい良いだろ」 | ||
18 | 守「そうだけどさ……津久井くんは、中学の時からテストの度に僕のノート使うんだよね」 | ||
19 | 祐次「おう、いつも助かってるぞ」 | ||
20 | 守「いつも直前になってコピーする身にもなってよ……」 | ||
21 | 和真「コピー貰ってるのか? それ、自分でコピーすればいいだろ?」 | ||
22 | 守「僕もそう思ってノート渡したんだけどね。結局自分じゃコピーしないんだよ」 | ||
23 | 祐次「あの時期、図書館のコピー機混むだろ。空くの待ってたらテスト終っててよ。まいったよ」 | ||
24 | 守「あのね、まいったのは僕だよ。ノート返してきたのテスト終ってからだったじゃん」 | ||
25 | 祐次「わりぃわりぃ。でも、お前ならノート無くても平気だろ?」 | ||
26 | 守「不便なんだよ」 | ||
27 | 和真「なあ、日野……」 | ||
28 | 守「なに?」 | ||
29 | 和真「今度俺にもノート貸してくれないか?」 | ||
30 | 守「……ノートとってないの?」 | ||
31 | 和真「ほとんど……ああ、津久井の分もコピーするから」 | ||
32 | 守「んー……いいよ。西沢くんならちゃんとやりそうだから」 | ||
33 | 祐次「もう、テストの話はやめようぜ。まだ一ヶ月くらいあるだろ」 | ||
34 | 守「……連休明けたらすぐだよ。さっき言ったよ」 | ||
35 | 祐次「おー、わりぃ。忘れてた」 | ||
36 | 守「最初から覚える気ないんでしょ」 | ||
37 | 祐次「んなことないぞ。今度は覚えたぞ」 | ||
38 | 守「そんなことで胸張らないでいいから……」 | ||
39 | 祐次「今度は西沢がノートコピーしてくれる。って話だろ?」 | ||
40 | 守「はいはい。そうだね」 | ||
41 | 和真「え、ええと、日野、今日貸してくれるか?」 | ||
42 | 守「いいよ。今日持ってるのだけでいい? 残りは明日持ってくるよ」 | ||
43 | 和真「十分。ありがとな」 | ||
44 | 和真「あー、出遅れたな。授業20分も伸びるとはな」 | ||
45 | 祐次「長かったよなぁ。最後は飽きて寝ちまったよ」 | ||
46 | 和真「いや、お前大半寝てたろ」 | ||
47 | 守「はい、ノート。今日の分も書いてあるから」 | ||
48 | 和真「あー、悪いな。助かる。最後、試験範囲言ってたけど時計ばっか見てて」 | ||
49 | 守「どうせコピーするんだから 書くこともないでしょ」 | ||
50 | 和真「まあな。でも、頼って悪い気がしちゃって」 | ||
51 | 守「いいって。早く行った方がいいよ。まあ……もう遅いかもしれないけどね」 | ||
52 | 和真「ああ、行ってくる」 | ||
53 | 祐次「頑張ってこいよー」 | ||
54 | 和真「お前も来いって……」 | ||
55 | 和真「結局来ないでやんの。 | ||
56 | トイレ 行くって言って、鞄持って階段降りるやつは普通居ないよな」 | ||
57 | 和真「さて、コピー機は……ああ、あったあった……って、なんだよあの行列」 | ||
58 | 唯「あ、あの……ええと――」 | ||
59 | 和真「あ、笹山……」 | ||
60 | 唯「どうしよぅ……ここでいいのかな」 | ||
61 | 和真「笹山」 | ||
62 | 唯「あっ! ごめんなさい。 邪魔でしたか? って、あれ?」 | ||
63 | 和真「大丈夫?」 | ||
64 | 唯「あ、西沢君……あ、あの、梢ちゃんからノート貸してもらってコピーしようと思ったんだけど」 | ||
65 | 和真「そこ、貸し出しの列だよ」 | ||
66 | 唯「どこにコピー機あるのか分からなくて困ってたんです」 | ||
67 | 和真「……だから、そこは貸し出しの列」 | ||
68 | 唯「え? 貸し出し?」 | ||
69 | 和真「うん、コピー機はあっち。って……うあ、さっきより人増えてるし」 | ||
70 | 唯「ぅーん、あれ、どれくらい待ちますか?」 | ||
71 | 和真「いや、俺も分かんないよ。まあ、30分は待たないといけなそうだね」 | ||
72 | 唯「うー、困りました。早くコピーできるとこ知りませんか?」 | ||
73 | 和真「悪いけど、知ってたらここ来てないよ」 | ||
74 | 唯「ですよねぇ……」 | ||
75 | 和真「何か用でもあるの?」 | ||
76 | 唯「はい。今日はお姉ちゃんがバイトだから食事当番私なんです」 | ||
77 | 和真「そっか。って店のもん食べればいいんじゃないの?」 | ||
78 | 唯「んー……ラーメンばっかり食えるか、ってお父さんが言うので」 | ||
79 | 和真「なんだか不条理な人だな。気持ちは分かるが」 | ||
80 | 唯「私もラーメンあんまり好きじゃないですし……」 | ||
81 | 和真「そ、そっか……じゃあ、明日にやれば?」 | ||
82 | 唯「でも、それは梢ちゃんに悪いから……」 | ||
83 | 和真「はぁ……仕方ないな。やっておこうか? 良ければ、だけど」 | ||
84 | 唯「でも、悪いです」 | ||
85 | 和真「そうは言っても二人で並んでてもなぁ」 | ||
86 | 唯「有難いですけど、迷惑はかけられませんから」 | ||
87 | 和真「んんー……笹山、英語得意?」 | ||
88 | 唯「え? えと、そんな得意じゃないです」 | ||
89 | 和真「じゃあ、苦手?」 | ||
90 | 唯「えと、苦手でもないです」 | ||
91 | 和真「よし、じゃあ今度英語教えてよ」 | ||
92 | 唯「わたしで良ければ良いですけど……?」 | ||
93 | 和真「うん、じゃあそれで。交換条件」 | ||
94 | 唯「あの、どういう?」 | ||
95 | 和真「その代わりコピー取ってくるから。ほら」 | ||
96 | 唯「あ、はいっ……でも、いいんですか?」 | ||
97 | 和真「うん。あ、何かまずい?」 | ||
98 | 唯「いえ! そんなことないです。でも、わたし英語、だいたい70点くらいですよ?」 | ||
99 | 和真「あははは、そんだけありゃ十分だよ」 | ||
100 | 唯「でも、でも……」 | ||
101 | 和真「いいから、早く帰りなよ。時間無いんでしょ?」 | ||
102 | 唯「……はい。では、ありがとうございます」 | ||
103 | 和真「うん、っておい、走るなよー……あ、図書委員に怒られてる」 | ||
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