踊りの点検・部位の強化

  社交ダンス上達の道しるべ(8)


元セレクションダンサーズ所属・元港区立青年館ダンス講師   福頼静致・政子 (フクヨリ セイチ・マサコ)


ダンスは音楽に乗せて踊りますから、音楽が一瞬も留まることなく流れていくのにあわせて体の形も 絶えず変化していきます。

しかし注意して見ると、その変化し続ける体の形の中から、
はっきりとした特徴を示す瞬間
を見つけ出すことができます。

いわゆる中間バランスの瞬間の形
ワルツで両足を揃えてライズを完了した瞬間の形
は誰の目にもはっきりと見分けの付く特徴の有る形です。

踊りながら自分の形を見ることはできませんが、これらの形を取り出してみたら、ある程度の点検が 可能です。

このような特徴の有る形を点検して それを美しく磨き上げ、その形を作る力を育てることが、
順調に上達するために必要なトレーニングのポイントであると考えます。
ダ ン ス 体 操

* ダンス体操一番 ボールの真上に体重を置いてまっすぐに立った姿勢。ライズ・アンド・フォールの力。

* ダンス体操二番 前進と後退での中間バランスの感覚を確立。体重受け渡しの脚力を強化。

* ダンス体操三番 横移動での中間バランスの感覚を確立。横に移動する脚力の強化。

応用・スウェー

*ダンス体操四番  体重を親指から逃がさないでヒールを強く踏みつける。ヒールターンに必須の力。

*ダンス体操五番  ラテンの ヒップ・ムーブメント。これが不要なのは パソドブレだけ。

*まとめの体操 ブランコ  狭い場所でも ウォークやスイング の要点を練習することは可能。

*癖直し・足首の横揺れ     *左肩が下がる      * ホールドが崩れる

 
 現在、自分の体に備わっている運動の力は長い年月の間に育ってきたものですから、
人それぞれの特徴を持っていて当然ですが、
それらがすべて踊るために望ましいものばかりであるとは限りません。

 早い話が、多数の人が右利きですが、ダンスでは両足を平等に使わなければなりませんから、 その右利きが妨げとなります。

 日常の歩行で多数の人がつま先を開いて歩きますが、
両足のインサイド・エッジを平行に揃えなければ 「スイング」することができなくて
滑らかにはなっても、走り回るダンスの域を超えることはできませんから、
英国式ボールルーム・ダンスの世界に入ることは不可能
です。

 ダンスの練習には踊ることが必要であるのは言うまでもありません。
しかし、体の癖を直さないままで踊るということは、
自分の癖とダンスを結び付けた頑固な癖を作ることになります。

 誰でも最初からダンスに必要な力が強いわけではありませんから、
踊るために必要な、重要な力を強める運動を考案してダンス体操と名づけました。

 「左肩が下がる」 とか 「ホールドが崩れる」 とか、自分の踊りの欠点を指摘されたけれども、
どのようにして直せばよいのか、
直す方法が分からなくて悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

 弱点を補強して悪い癖を取り除くための運動もあわせて以下に記述します。

ダンス体操一番

*  ボール (拇指球を含めてつま先まで全部) の真上に体重を置いてまっすぐに立った姿勢を作る。
* ライズ・アンド・フォールに必要な力を強化する。

1.壁に面して立ち、両手の指先を軽く壁に当てておく。
・指を当てておくのは、ふらついた時には助けてもらえるという安心感のためだから、もたれかかっ
 てはいけない。
・両足のインサイド・エッジを平行に揃える。つま先を開かないよう厳重に注意

2.ヒールを上げられる限り高く上げてトーで立ち、体を真っすぐにする。       [ライズ完了]
・横隔膜を上げておく。肩は下げる。股間節を伸ばす。
・ヒールを上げて爪先立ちになっても、普通は体重をボールで支えていることが多いから、足の甲が
 壁に近づくように前に出して、親指と拇指球の前の縁でコツコツと床を突くことができる 本物のトーを覚える

・女子は体の上部を少し後ろにそらせる。
 左に寄せるのはもっと後にして、先ず、左右の足に体重を均等にかける。

3.ヒールを降ろす。                          [ロァーを始める動作]
・力を抜いてストンと落ちるのではなく、コントロールしてゆっくりと、ヒールを床に触らせる。
・降ろし始めにヒップが後ろに出て前傾しやすいので、体の垂直を壊さないように注意。
体を伸ばした感覚を失わないように。

4.膝を少しずつ曲げて前に出す。大きすぎないように。             [ロァーの動作]
・ヒールは床に触らせたままで。
・深く曲げた方が楽なのでそのようにしたがるけれども、つらいところで我慢することが重要。

5.体は低い位置に保ったままで、ヒールだけを高く上げる。        [ライズを始める動作]
前進で始める足型の第一歩では、ライズするために明確にこの操作をしなければならない
・日本の選手はこの足首の力が弱いと指摘されている。
 ヒールを上げにくい人は、この状態でヒールを上げたり降ろしたり反復練習。

6.膝を伸ばして最初の高さにもどる。                     [ライズの動作]
・伸ばし始めにヒップが後ろに出て前傾しやすいので、体の垂直を壊さないように注意。
・全身が伸びていることを確認してから繰り返す。

*両足で楽にできるようになったら片足で行う。

ダンス体操二番

* 前進と後退での中間バランスの感覚を確立する。
* 前進と後退で確実に体重を受け渡しする脚力を強化する。

1.壁に片手を当てて横向きに、足を前後に開いて立つ。
(背もたれの高い椅子が二脚あったら、背中合わせに置いてその間に立ち、両手で背もたれを掴んで
行うと、とても好都合。)

・体を頭から腰まで真っすぐにして、前足のヒールと後ろ足のボールの真ん中に垂直に保つ。
・両足のインサイド・エッジを一直線になるように保つ。後ろのトーが外に向きやすいので目で見て
 修正する。体格によって少し左右に離れるのはかまわないが、平行を厳守する。
・両膝はわずかに曲げる。
・後ろの太腿が、しっかり後ろに伸びていることを確認する。横から見たら「Y」の字を逆さに立てたような形。
 座って生活する日本人には、膝から下しか後ろに出ていない人が多い。正座することが多い 女性に、この傾向が多く見られる。

2.前足のトーと後ろ足のヒールを上げ、体を真ん中に垂直に保って、前足のヒールと後ろ足のボールが体重
 を半分ずつ支えている感覚を確かめる。  [中間バランス]

注意 日本人の普通の歩き方は、踵が先に床についても体重を支えることはしないで、
足の裏全部を床に置いて体重を乗せている。

ダンスでは踵から床に置いて、その踵で体の垂直を壊さないように受け取るのだから、
前足のヒールで体重を支えることを意識して、しっかりとヒールで体重を受け取る力をつけなければならない。


3.両膝をわずかに曲げ伸ばしして、体の上下運動をする。
・体が前後左右に傾かないで、垂直に上下運動をすることに注意。

**前後の足の取替えは確実な前進後退の練習。
・前進は前足のトーを降ろし、床を引き寄せる力を使って後ろ足を引き寄せて揃え体重を置き換える。
・後退は後ろ足のヒールが降りないように我慢して、両足を挟みつけるように力をかけ、徐々に体重
 を後ろに移しながら前足を引き寄せて揃える。
 後ろ足のヒールが床に降りるのと、両足の揃うのが同時になるように練習する。

**足を開く時も確実な前進後退の練習。
・支え足で体を持ち上げながら床を押して、正しい中間バランスの形ができるように練習する。

**脚を後ろに広げにくい人は、体重の無い足を少し前に置いて、その足のインサイド・エッジで床を
 カットするように強くこすりながら後ろに引き抜く運動を繰り返すと良い。

**右手を壁に当てた前後開脚のまま、体も腰も足も45度右に向ければ、 タンゴの男子のプロムナード
 の練習ができる。

**左手を壁に当てた前後開脚のまま、体も腰も足も45度左に向ければ、 タンゴの女子のプロムナード
 の練習ができる。
 
ダンス体操三番

* 横に移動する時の中間バランスの感覚を確立する。
* 横に移動する脚力の強化。

応用 スウェーの練習。


1.壁に面して両手を当て、両足を揃えて立つ。
・もたれかかっても良いから、体重をしっかりと足の前の方で支える。
 つま先を開かないように、両足のインサイド・エッジを平行に揃える。
・両膝をわずかに曲げ体重を親指の付け根に置く。
・二三度ヒールを上げ下ろしして、まっすぐな体とボールの体重を確認する。

2.片方の足のボールのインサイドで床を横の外側に押し、一方の足を横に開いてボールのインサイド
 で体重を受け取る。
・足を横に開いても両足のインサイド・エッジは平行に保つ。足に注意するだけではなかなかできない。
 両方の太腿の後ろ側を横に開く力が必要。
・Yの字を逆さに立てたような形。腰が折れないように。体が傾かないように。

3.開いた足のボールのインサイドに床を引き寄せる力をかけ、両脚を挟みつけるようにして両足を閉  じる。体重は移さない。

4.全く同様の運動を、反対の足で反対側に行う。

*右利きの人は右に移動した時に頭が右に行き過ぎて右に傾き、左に移動した時には頭が左に行くこと
を嫌がって、やはり右に傾く傾向があるので、常に背骨の真上に頭が直立しているように注意するこ とが必要。

** 少し慣れたら、両足が揃ったところで終わりにしないで、そのままヒールを上げてライズする。

・右利きの人は左側に行き渋るので、左に伸び上がっていけるように練習する。
・右利きの人は右側には行き過ぎやすいので、行き過ぎないように注意する。
・横に移動した後では、腰が折れて外側にはみ出し、体重が足の外側にかかりやすいので、親指を
 しっかり踏んで体重をインサイドに保つように注意する。
・楽にできるようになったら壁を離れ、ホールドの形も整えて行う。

応用・スウェー

右手を壁に当てて横向きに立ち、ワルツのナチュラル・ターン第一歩
CBM を伴う前進の終わりで体が壁斜めに面するまで回転し、体重が右足ボールまで進んだところから始める。

・カウント1の終わりで膝を前にほうりこむようにして体重をトーに乗せライズを始める。
 右膝を少し曲げ、ヒールを高く上げる(ダンス体操一番)。

 ほとんどの人にこの操作が欠落している。

・カウント2で体は壁に面して左手も壁に当て、
 右のトーで床を右に押して左横に移動し、左足を大きく左横に開いてトーを着床する。
 左ヒールはまだ上げない。
・体は大きく右に傾いて左足から頭までが一直線で、後ろから見るとカタカナの「イ」の字のような
 形になる。

 続いて右トーで床を右に押して体重を左トーに移し、左ヒールを上げてライズを継続する。

体が傾いた一直線の状態のままではライズはできないから、腰が左にせり出していくように股間節を
横に曲げてライズする。
その間に右足は吸い付くように左足に近寄ってくる。

左肩から左腰までの長さと右肩から右腰までの長さは常に長く伸ばしたままで同じ長さに保つ。
肋骨の部分が曲がりやすいから、曲げないように注意が必要である。

後ろから見ると、カタカナの「イ」の字の形がひらがなの「く」の字に近づいていくように変化する。

・カウント3で、右足を閉じて右トーに体重を移してなおライズを継続し、3の終わりでロァーする。
 右スウェーができたら左トーに体重を置いて左スウェーの練習をする。

ダンス体操四番

* 体重を親指から後ろに逃がさないでヒールを強く踏みつける力。
* 体重が通るレール、体重を運ぶ車輪を完成。


・ノーフット・ライズに不可欠の力。
・この力が無いとヒール・ターンが難しい。
・この力が無いとラテンのヒップメムーブメントはできない。

両足を揃えて立ち、両足で交互に足踏みをして見る。
そうすると、最初に親指が床に触るけれども、体重を支えたと感じた時には、足の裏のかなり広い
部分で体重を支えているのが分かるだろう。

これが間違いの始まりであって、 親指が触ったら、その親指で体重を支えて立たなければいけない。

1.ダンス体操一番のようにヒールを高く上げてトーで立つ。
2.親指だけで体重を支えてゆっくりと足踏みをする。
3.親指で支えた体重を後ろに逃がさないでヒールを降ろし、そのヒールを筋肉の力で床に押し付ける。
4.親指からヒールまでのインサイドが強く床に触っているのが感じられる。

これが体重の通るレールであり、体重を運ぶ車輪である。
絶えず足踏み練習を繰り返し、日常の歩行でもこのインサイドが感じられるようになるのが理想で
ある。

ダンス体操五番・ ラテンのヒップ・ムーブメント

* ダンス体操四番の発展としてヒップ・ムーブメントにつなげる。

1.と2.は四番と同じ。

3.親指の体重を後ろに逃がさないでヒールを降ろしたら、膝を伸ばして後ろに押し込む。
4.強く床に触っているインサイド・エッジで床に切れ込みを作るつもりで、もっと強く床に押し付ける。
・左足を強く踏めばヒップが左に寄ってきて、同時に少し左に向く。
・右足を強く踏めばヒップが右に寄ってきて、同時に少し右に向く。

 根気よく練習を積んだら、やがて背中の筋肉までもが動くようになり、お尻を後ろに突き出した
 ように見える形に変わってくる。
・誤解して腰を折り曲げた尻振りダンスなら、ヒップが左に動いた時に左に向かないで右に向いて
 いるから、はっきりと見分けが付く。

** 最初は「親指---かかと---インサイド---ヒップ゚」とゆっくり唱えて確かめながら左右交互に
 足踏みを繰り返して練習し、無理なく自然に踏めるようになったらルンバの音楽にあわせて、
 2,3,4,1とリズミカルに足踏みができるようになるまで練習する。

  ちなみに、テクニックブックのラテン・アメリカン・ルンバでは、この動作を、
  足型一番 ベーシック・ムーブメント・イン・プレイス と言う。

まとめの体操・ブランコ

ボールルームダンスの基本中の基本はポイズ(姿勢・立ち方)とウォーク(歩き方)、そして、これに
ライズ・アンド・フォールを加えて発展させたスイングです。

上達を目指す人は絶えずこれを練習することが必要です。


しかしながら、ウォークやスイングにはかなり広い場所が必要ですから、思いついたら即実行と
言うわけには行きません。

そこで、広い場所を必要とせず、 いつでも簡単にできるように、まとめの体操を考案して、これを
ブランコと名づけました(壁に当てる手は自分のやりやすい方で)。

1.壁に右手を当て、両足を揃え、体重を左足に置いて横向きに立ち、膝はわずかに曲げる。

2.左膝をもう少し深く曲げ(ウォークするためにはロァーが必要)、ボールで体を持ち上げながら
 床を後ろに押して体を前に運び、同時に右脚をヒップから前方に振り出してヒールを床に置く。
 (二番を確認する)

3.右足のトーを降ろし、床を引き寄せる力をかけて体重を移しながら、左足も引き寄せて、右足に
 体重が乗り切るのと同時に左足も揃える。しかし体の動きと足の動きは止めない。

4.右膝を前にほうりこむようにして右ヒールを上げ、体重をトーに移してライズを始める。
 左足はトーで床をさすりながら前方に振れて出て行く。

5.右足でライズを続け、左足は床から離してトーを下に向けて前に振り上げる。(一番ライズ)

6.右のトーから体重を逃がさないように注意して右ヒールを降ろす。(一番と四番)
 同時に前方に振り上げてあった左足を振り下ろして右足に揃える。しかし止めない。

7.右膝を少し深く曲げ、体重を持ち上げながら床を前に押して体を後ろに運ぶ。
 同時に左脚を後ろに開き、両足が開いたら始めに左トーを床に置き、次いでヒールを少し下げて
 体重を受け取る。(二番確認)

8.左ヒールをゆっくりとコントロールして下ろしながら右足を引き寄せ、左足に体重が移り終わるの
 と同時に右足も揃える。しかし止めない。

9.左足ボールの体重を後ろに逃がさないように注意し、膝を伸ばし背筋を伸ばし、ヒールを床に
 押し付けてノーフット・ライズを始める。
 右足はトーで床をさすりながら後ろに振れていく。

10.全身を伸ばしてノーフット・ライズしながら、右足を後ろに振り上げる。

* 前へ後ろへと繰り返し、ブランコが振れるような滑らかな運動ができるように練習する。

* 足を取り替えて同様に練習する。

* 時には前や後ろに振れたらそのまま進んで、振れて出た足のトーで体重を受け取ってみる。
 正しい形で受け取った場合にはコツンと当たる感覚がある。

* フワッと柔らかく当たった場合には、股関節か、膝か、足首か、どこかに大きな曲がりはないか、
 それとも全身のトーンが失われてはいないか、点検する必要がある。


癖直し・足首の横揺れ

男子の靴は踵の面積が広いので、体重が小指側にかかっていても靴が目立って外側に傾くことは
ありませんが、踵の外側がちびるので分かります。

ハイヒールを履いている女子の場合には、体重が小指側にかかったら靴ごと外側に傾いてしまいます。
後ろから見ていると、踵がぐらぐらと揺れている女子は少なくはありません。

ダンスを踊る時には、インサイド・エッジがレールや車輪の役割を果たさなければならないのですから、
インサイドをしっかり踏んで、足首が外へ揺れないようにしなければなりません。

足首が外へ揺れる人の踊りは、ステップを踏む度に、足首だけではなくてヒップも外へ揺れてはみ出し
ますので、スッキリとした切れ味のよさが感じられないのです。

たとえばピンボケの写真を見るようなぼやけた感じがあって、ピントがしっかり合った写真のような
シャープさが見られません。

東京タワーの基礎は四方へ大きく広がっていればこそ、あれだけ高いものを支えていられるのです。

体の全体からすれば決して面積が広いとはいえない足の裏で体を支えて、真っすぐな姿勢を保って
踊るのですから、足首に強い力をつけたいものです。

足首の強化運動

1.壁に面して立ち、両手を少し広げて指先を軽く壁に当てておく。

2.両足を肩幅より少し広めに開く。
・両足は決して爪先開きにならないように、インサイドの平行を厳守する。

3.壁に少しもたれかかってよいから、腰を少し前に出して親指で体重を支え、膝はしっかり伸ばして
 おく。

4.小指と床の間に隙間を作るように、ゆっくりと足の外側を浮かし、ゆっくりと元に戻す。
・これを三回繰り返す。

5.次は今のように小指の下に隙間を作ったら、ゆっくりと爪先立ちになり、ゆっくりと元に戻す。
・これを三回繰り返す。

6.今の感覚を無くさないようにして片方の足のボールで体重を支え、体を少し傾けてよいから体重の
 無い方の足を床から少し離して横に上げる。

7.今の動作を足を横に開いたままの左右の足踏みのように二三回繰り返す。

8.壁から離れて横歩きをする。

・右足を横に開き、中間バランスを確認してから左足を閉じる。

・何歩か歩いたら今度は左側へ横歩きをする。

・ホールドの形を整えて行う。

左肩が下がる

右利きで生活してきた人にとって、左半身はあまり働かされなかった部分ですから、
右半身に比べて運動能力が劣っています。

ISTDが ボールルーム・ダンスの基準として示した ザ・ボールルーム・テクニックでは、
女子のポイズを <女子は体の上部をわずか後方で少し左側に>と示してありますが、
女子が体の上部を左側に寄せて保つためには、
カウンター・バランスと言って、男子の左側の柱がしっかりしていなければなりません。

ただでさえ力の足りない左足の上に、体の上部を左側に保って立たなければならない女子が
左半身を強化しなければならないのは勿論の事ですが、
男子もまた、それと釣り合う左半身の力を要求されているのです。

男子がワルツのナチュラル・ターン第一歩で右足前進の時、
右足で体を支えれば左半身が大きな負担となりますから、
左半身の力が弱いと、ぶら下がって左肩が下がります。

人間の二本の脚は腰骨の両端に近いところに分かれて付いているのですから、
その片方の右足だけで体を支えるためには、
左半身に相当な力が必要であることは明らかです。

どのようにして左半身の強化を図ればよいのでしょうか。
単純に考えて、これまで運動をする機会の少なかった左半身の筋肉に運動の機会を増やしてやることが 第一です。

床に落としたものを拾ったり高いところにあるものを取ったりする時に、右半身を縮めたり伸ばした りしたでしょう。
 同じように左半身にも縮めたり伸ばしたりする運動をさせましょう。

縮める運動

1.壁に左手を当てて横向きに、両足を揃え体重を左足のインサイド・エッジに置いて立ち、左半身で
 半円形を作るつもりで腰を思いっきり右に押し出す。

2.ゆっくり元に戻す。この動作を三回繰り返す。

3.同じようにして半円形を作ったら、そのまま両足のヒールをゆっくり上げてトーで立つ。

4.ゆっくりと元に戻す。この運動を三回繰り返す。

伸ばす運動

1.前の運動のように立ってから、左手の指先で壁のできるだけ上の方を触るように伸び上がる。
 まだヒールは上げない。

2.ゆっくと元に戻す。この運動を三回繰り返す。

3.同じように伸び上がったら、そのままヒールをゆっくり上げてトーで立つ。

4.ゆっくりと元に戻す。この運動を三回繰り返す。

癖直し・ホールドが崩れる

肘が下がるとか、肩が上がるとか、ホールドの崩れを指摘された人は多いと思いますが、その人たち が上手なホールドを見る機会に恵まれなかったわけではありません。

踊る時には周りに上手なホールドの人がたくさんいますから、見る機会はたくさんあります。
それでも真似する事ができません。

上級者が踊っている目を引くバリエーションを真似たつもりでも、筋肉の力で理解するまでは本当に
分かったのではないという良い例です。


英国の大先輩 アンソニー・ハーレー(1969-72年 全英チャンピオン)は次のように教えました。

『ホールドでは、ボディーの両側の筋肉を使って、両腕が背中の延長であると感じるように両腕を
 伸張する。胸あるいは胸郭の延長ではない。』


これだけでは理解することが難しいと思いますので、もう少し分かりやすく説明します。

1.両手を、手のひらが自分の方に向くように胸の前に上げて、五本の指を組み合わせる。

2.胸を張り、肘を上げて、両腕で輪を作る。これが「胸あるいは胸郭の延長」の形。

・両肩を上げてみると簡単に上がるし、頭を前に出し背中を丸くすれば簡単に猫背ができる。
(崩れやすいホールドは、このような力を使っている。)

3.手のひらを下に向けるように回し、そのまま回し続けて前方に向くまで回してから、親指がもっと
 向こうに行くまで押し出す。
これが 「ボディーの両側の筋肉を使って、両腕が背中の延長であると感じる」形。

・両肩を上げようとしても簡単には上がらないし、猫背になろうとしても強い抵抗がある。

4.今の感覚を変えないで、肘から先や手首から先の形だけを変えて、男女それぞれホールドの形を作る。

このホールドを壊さないように注意しながら、ヒールの上げ下ろしをしたり、膝の屈伸をしたり、
フロアーを歩き回ったり、シャドー・ダンスを踊ったりして、ホールドの安定を図ります。

背が高くなったような、頭が高いところにあるようなこの感覚を、アンソニー・ハーレーが次のように
面白く表現しました。

『踊り手の身長というのは、足から頭のてっぺんまでではなく、頭のてっぺんから足までである。』




「社交ダンス上達の道しるべ」

(9)足型には基礎の足型がある



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